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システマチックリスク(2008年01月12日)

株式市場の環境は余り良くないようですね。世界景気の後退が懸念され株式市場の値動きが鈍くなっています。不思議なのは景気がダウンすれば鉱物資源などの一次産品の価格は下がるのが道理なのに、原油価格、金価格は共に高値で推移しています。まぁ、金価格は少し意味合いが違うのかも知れませんが、オルタナティブ投資と言う耳慣れない言葉を聞くようになって、既に数年を経ていると思うのですが…金融商品から実物資産まで投資の範囲は広がっているようですね。金融商品の幅がどんどん広がり金融経済が拡大していますが、サブプライム問題はこの錬金術にブレーキをかけたようです。

今日は「システマティック・リスク」と言う話を考えてみます。私は「今日の市況」でライブドア、村上ファンド、新日鐵、ブルドックを初めとする株式の問題と政策批判を度々しています。一介の証券マンが国策を批判しても仕方がないことです。昔から、国策に逆らうなと言われています。まぁ、ここが「未来かたる」の弱点でしょうね。もう一つは、GDP拡大における成長路線を前提に捉えているので下げ相場には弱いようです。この「システマティック・リスク」とは、市場全体のリスクのことです。株の変動要因で一番大きな事は個別株の要因ですが、その変動率を拡大させるのがこの市場リスクですね。儲かれば人間誰しもリスクを取れるようになりますが、損をし始めるとマイナス思考になりリスクを嫌います。リスク抵抗力の低い小型株への投資が減るのは道理でしょう。

わが国の株式市場は二つの違った流れの中で動いているようです。下のグラフを見てください。日経平均株価と東証一部の単純平均株価の動向を比較したものです。この違いを考えていくとある重要な事実に突き当たります。残念ですがこれが現実です。グラフを見ながら、しばらく何が原因か考えて下さい。2003年5月の7603円から日経平均株価は、上がり始め2007年2月の一番天井(18300円)、7月の二番天井(18295円)でピークを打ちます。一方、一部単純平均株価は2003年の3月(308円)から上がり始め2006年2月(579円)で天井を打ち下げ始めます。1の局面は一体化し力強い上昇になります。しかし調整後の上げ相場(2の局面)は新興国の成長の恩恵を受ける業種に限られました。しかし2の局面も新興株は下げており調整を続けていました。そうして下げ相場(3の局面)ここで新興株は反発を見せますが…単純平均は一貫して2006年1月より下げています。4の場面ですね。現在の単純平均は348円、以前の日経平均株価に直すと、なんと現在の体感株価は8557円なのですね。この一貫して下がり続ける単純平均は僕等の投資成果の実感と似ていますね。まぁ、BRICs株を仕掛けなかった僕だけの個人的な感覚でしょうが…共感される方も多いと思います。

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奇妙に似ています。偶然でしょうか? 2006年1月はライブドア問題が起こり、6月は村上逮捕の話、そうして2007年7月はブルドック問題、昨年の後半からは新日鐵を代表とする株式持合いの動き…何故か株価の動きと一致していますね。偶然でしょうか? テレビを見ていたら株価は実態を反映してないと町村官房長官が述べていましたね。そうして日銀副総裁の武藤さんも景気は拡大を続け利上げ環境が整うと利上げ姿勢派のようです。僕らは日本国内で生きているので、どうしても単純平均株価の影響を受けるのでしょう。多くの人は…しかしグローバル企業で働いている一部のエリートマンは好業績を謳歌してボーナスも過去最高を貰ったのでしょうね。商社マンは代表的なサラリーマンでしょう。

さてここで、先ほどの問題に対するかたるの答えを述べました。日経平均株価の構成銘柄はグローバル企業が多く入っていますね。つまり国内だけでやっている企業は景況感が悪く、BRICs中心の輸出で商売をしている企業の景況感は良いわけですね。通産官僚出身の官房長官の町村さんや大蔵省出身の日銀副総裁の武藤さんはエリートですから、常にほんの僅か数%程度のグローバル企業を中心に政策を実行しているのでしょうか? 私には単純平均株価と日経平均株価の違いがそのように映ります。表面的な市場リスクはどんどん悪化しているのでしょう。外部環境を考えると確かに弱い展開ですが、実は既に新しい動きが始まっていると思っています。