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PSR(2007年12月08日)

今日はPSRについて考えて見ます。
企業の評価は色んな捉え方があり難しいですね。会社には土地や建物、機械などの財産があります。そのような有形資産の他に、その会社が必要な経営資源を使い、将来、生み出す価値と言うのがあります。『ブランド』と言う価値は計り知れません。何年もかかり、ようやく消費者の信頼を勝ち取った価格ですね。どうやって会社の企業価値を計るのでしょうか? 株価には色んな考え方がありますね。市場で評価される株価が理解できれば良いですね。そうすれば大金持ちになりますね。しかしこの尺度と言うのは難しいのです。

例えば、同じ会社の株式尺度、例えば一般的なPERにしても環境によって大きく変わります。信用買い残を見ると分かりますね。この2年間の間にもずいぶん上下があります。最近のピークは2006年2月で5兆9836億円ありました。それが最近では3兆1479億円まで減っています。実に2兆8357億円も減ったのです。約5割ですね。人気がなくなれば需給関係が悪くなりますから、いくら割安を強調しても無駄ですね。おそらく最終的な価値は配当利回りになるのでしょう。実は株式にはもう一つの価値があります。解散価値とよばれる純資産ですね。会社を解散し、帳簿上は全ての資産を売却し負債を返済すれば純資産は残ります。

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私が異常に新日鐵の三村さんの批判や、TBS、ブルドック事件を、とやかく言うのは、いくら株価が適正価格になっても、TOBなどの手法を用いて経営権を奪う手段がなくなると、正常な市場倫理が働かないからです。最近の兆候は、折角、20年近く時間をかけて持合い株を整理してきたのに、馬鹿な経営者の判断により社会が逆行していますね。市場原理が働く環境にしておかないと、株式市場は機能しなくなります。PBR1倍以下の会社がゴロゴロしています。このような会社の経営者は失格です。会社の財産を有効に活用してないのです。効率経営を実施し営業効率を上げるとPBRの尺度も2倍、3倍と上がって行きます。PBR1倍以下の会社がTOBに遭い経営者が変わることは、従業員にとっても株主にとっても良いのです。

三協精機と言う、昔、オルゴールを製作していた会社が経営不振に陥り日本電産に買収されました。そうして今では立派に事業を行い社員の人も喜んでいますね。このケースは友好的な買収でしたが、それでも当初は反対がありました。日本人は…変化を嫌いますね。PBR1倍以下になれば買収されるから、一所懸命に利益を上げて経営しようとするのが市場原理ですね。そのタガが外れます。TBSは大幅な減益になりますが、どう井上さんは判断されているのでしょう。貴重な経営資源(お金)を使い株式持合いを実施し、無駄にお金を使った責任はどうなるのでしょうか? 私が新日鐵の三村さんが行っている経営に異を唱えるのはご理解頂けると思います。経営者はまっとうに勝負すべきですね。

さて、今日はこのPBRのほかにPSRと言う耳慣れない指標を紹介します。ただ残念ながら一般的でないのは、全ての業種に使えないのですね。使えるのはケース・バイ・ケースなのです。故に一般化してないのでしょう。しかし成長業で売上が伸びているのに、成長を重視するあまり利益が、一時的に、おろそかになる場合があります。大規模な設備投資をしたりM&Aによって企業買収したり…そのような時には有効な指標だと考えています。売上が大きいのに…利益が上がらない。

PSRで割安な業種に商社などが上がってきますが、商社は品物を大量に右から左に動かす商売ですからね。だから売り上げの基準がおかしいのでしょう。銀行のように経常収益にすべきかな?と考えますが…薄利多売の業種には使えませんが、しかし考え方は面白く、私はこのPSRを基準に株価を考える事が良くあります。PSR=Price to Sales Ratioとは時価総額を年間売上高で割ったものです。

考えて下さい。通常は売上の10%が営業利益になるとすると、実効税率を50%にすれば、利益は5%になりますね。PER20倍が正常な基準だとすると、売上高と時価総額は同じになります。PSR1倍、これが一つの基準だろうと私は考えています。

例えば任天堂です。2007.3の売上は9665億34百万円、最終利益は1742億90百万円ですね。株式時価総額は9兆5909億91百万円です。なんとPSRは9.92倍です。先ほどPSR1倍が基準と言いましたが、高い効率化によって市場から高い評価を受けていることがうかがえます。PERは55.0倍です。(有価証券報告書には一株利益が1362円になっていますが、約1376万株の自社株買いを実施しており、その分の考え方が違う為。実際は償却しない限り一株利益は希薄化されるはずです。ヤフーのなどの指標はPER49.6倍になっていますね。)非常に効率的な経営をしている為に、高い評価を市場で受けています。良い会社ですが、既に市場は適正な評価を下しているのでしょう。

一方、日立製作所の連結売上は10兆2479億03百万円、最終利益は赤字で、株式時価総額は2兆7483億91百万円です。PSRの評価は0.27倍です。非常に低い評価ですね。通常は時価総額が10兆円ほど、あっても良いわけです。このような企業は買収され経営者が変わるべきです。同じ重電でも三菱電機は売上が3兆8557億45百万円で最終利益が1230億80百万円です。株式時価総額は2兆7355億35百万円ですね。PSRは0.71倍です。効率的な三菱電機は評価されていますね。それでも三菱電機もまだまだ半人前ですね。

このPSRが一般的でない理由は…日本の幅広い構造がありますね。大企業にはあまり使えません。日本の企業の生い立ちは「村本位社会」から「会社本位社会」に移行した為に、売上を無理して増やそうとした時代が長かったからですね。その為に効率を無視した売上が増えたのでしょう。今、起こっている市場主義原理は、売上の拡大より効率化を求める動きです。昔は日立の株価が、三菱電機のはるか上にありました。しかし現在は完全に逆転しています。この理由は、三菱電機は効率経営に転換しましたが、日立は依然、昔の経営スタイルなのでしょう。過去の実績に甘え構造改革を実施していない会社です。まるで日本のように…日立など買収され経営者が変わったほうが、従業員も良いし日本のためにもなります。無駄に資源を利用している会社(経営者)は撤退すべきです。本来の市場原理はこのような非効率の経営者を淘汰する為にあるのでしょう。

PSRは本来、小さな成長企業の尺度に利用されるといいます。
ヤフーはどうでしょうか?
ヤフーの連結売上は2125億52百万円で最終利益は579億63百万円しかありません。ところが株式時価総額は3兆2178億94百万円もあります。PSR15.13倍PERは55.5倍ですね。楽天は売上が2032億71百万円、最終利益は27億02百万円、時価総額は7348億48百万円です。PSRは3.62倍です。PER268.2倍。まぁ、特別損失計上なのでPERはあてにできませんが…今、人気株のDENAはどうでしょうか?売上が僅か141億81百万円最終利益は25億39百万円です。ところが時価総額は3712億52百万円ですね。PSRは26.18倍PERは146.2倍ですね。まぁ、前期を基準に書いているから、こういう不思議な計算結果が生まれるのでしょう。

実はここまで書いて、後半の原稿は削除しようかと思いました。しかし僕が原稿を書くにあたって色々調べて、文章にあった内容のサンプルを提示している過程も理解しておくと良いですね。故に今日はこのまま載せます。分かりますかね? 日経新聞の記者も同じような作業をしているのです。自分の意見に都合の良い作文をするということです。僕ら日本人は活字になると、何でも信じる傾向があります。そうして日経新聞、朝日新聞、読売新聞やNHKなどの大企業は、嘘を報道しないと思っていますが、実は裏では作為的に、ある意図を持って作文されたり、映像が捏造とまで言いませんが、作為的に創作されているのでしょう。故に最後は自分で考え、自分で決断をしないと駄目だということですね。やはり株式市場は難しいのです。こう表現すると、いやらしい感じがしますが、創作は芸術かも知れませんね。事実を美しく分かりやすく解説する…。

実は私もある意図があって、PSRと言う指標の話を書こうと思いました。先日、サイバードが上場廃止になりINDEXを代わりに…と言いましたが、INDEXにも可能性があるのでPSRを紹介したのです。連結売上は1298億20百万円で最終利益は158億40百万円の赤字です。株式時価総額は770億88百万円しかありません。PSRは0.59倍です。私の狙いは明白ですね。まともな経営になれば…と考えています。故にハイリスクなのですが…新興株を考える場合、一時的な損失ならばPSRと言う尺度は有益だと私は考えます。本当はもっと作為的に書こうかとも思ったのですが…
この辺の微妙な表現をよく理解して下さい。プロが書く「会社レポート」も、かなり作為的に作られています。同じ数字を使ったグラフでも、たてと横の割合を変えるとずいぶん印象が代わるものです。(チャートなど)我々、市場参加者は、作者の隠れた意図を読む姿勢も必要なのでしょう。

今日は中途半端ですがPSRの基本的な考え方は、理解できると思います。売上がガンガン伸びる企業のPSRは割高でも良いのですね。指標は相場環境によって、価値が変わることも念頭に置いておかなければなりません。