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成長力(楽天)(2007年11月17日)
今日は成長力とPERの関係について考えて見たいと思います。
通常、株価は企業の成長力により、異なったPERで評価されています。高い成長を誇る会社のPERは高く評価され、電力、鉄道、薬品、食品などの公共料金産業や日用品の分野の産業は成長が望みにくい為に低いPERで評価されます。成長の著しい産業(ネット関連)は、たかいPERで評価されます。社会の変化と共に新しいサービスが提供される業界の普及期は高い成長なので、高いPERで株価は買われますね。
産業革命の頃、鉄道株だって高成長だったのです。現代の中国はインフラ整備が行われ、高速道路の会社や携帯電話の会社などは高い評価を受けていましたね。現代はネット株が生活環境の変化と共に高い評価を受けています。分かりやすい例では、最近ではゲーム市場かな? 任天堂がゲームを売り出したのがおよそ20年前です。その後、世界中にこの日本の文化が普及していきました。ゲームの他にはカラオケ、カーナビ、ウォシュレットなどかな?

さて、上の表を見てください。
毎年10%ずつ増える売上の伸びの会社はやがてどんどん大きくなりますが、50%も成長する会社なら5年後には4.7倍も差が付きます。この違いに注目したのがPERです。通常、金利水準並みの成長ならPER15倍前後、10%成長ならPER20倍ぐらいでしょうか?30%成長を続ける会社はPER40倍程度のイメージかな?50%成長ならPER60~70倍程度で評価されるのでしょう。問題は期間を3年におくか、5年におくか? この辺りの評価により、PERの評価も変わります。任天堂はこの20年間に低迷期も経験していますからね。
今日は楽天を選びました。下の売上の伸びを見てください。高評価になるのがお分かり頂けると思います。ただ、楽天はM&Aで伸びてきた会社です。中核事業はEC部門ですね。ネット・ショッピングなどの分野です。M&Aを繰り返してきたせいで事業の再構築に時間を要しました。(法令改正を含む環境変化あり)しかし今第三四半期で懸案だったKC部門、楽天クレジットの分野の出血が止まり、戦力化するものと思われますね。この見込みは大きいのです。最近、武富士などもサラ金株も上昇傾向にあるのは業界全体で環境激変の対応が、ほぼ終了したのでしょう。楽天に残る問題はTBSとフュージョンです。クレジット分野の再建の手腕を見れば、フュージョンの通信事業も再建が可能で戦略化できると考えますが、その点の評価は難しいですね。


市場での現状の評価は低いですね。
15%程度の伸びですが、クレジット部門などの評価を考えねばなりません。PER40倍程度が妥当だろうと考えています。楽天は4Qの業績が毎年大きく上がります。同時にTBSの評価損の考え方、フュージョンの考え方が、株価に大きく影響を与えるものと思われます。EC事業などの売上は前年同期比28%の伸び率ですね。
昨年の4Qの売上が501.5億、営業利益が114.9億円、経常利益が125.8億円ですから、単純に1Q~3Qの実績に昨年の水準を足すと、今期の予想売上高は2011.6億円、営業利益は314.5億円、経常利益は339.4億円になります。実効税率を45%として最終利益が186.67億円なので一株利益は1428円になります。PER40倍なら57116円の評価になりますね。

さて会社側では説明会でクレジット分野の改善を強調しており、引き当て金を除いた数字である100億円の利益の上乗せの可能性を指摘していました。この数字は楽天にとって大きいですね。実効税率を45%にすると、一株利益421円にあたります。PER40倍なら16840円の株価上昇の可能性がある事になります。つまり株価が73956円に…変化する可能性が既に存在するのです。
この会社の評価は難しいですね。EC事業の伸び率は落ちているかもしれないし、フュージョンの再建の行方、TBS問題など、見方により、どっちにでも評価が変わりますからね。この事業再建力などを考えれば私は高評価です。PER50倍程度の世界標準並みのネット株評価を与えても良いと思います。それなら潜在的高評価株価なら、1428円と421円の足して、PER50倍なので92450円になるのですが…果たして市場は、どのような評価を下すのでしょうか?
