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円ドルキャリー取引(2007年03月03日)
この3日ほど異常な展開で株式市場が急落しています。幸いと言うべきか、どうか分かりませんが、手掛けている銘柄は新興株で、買われてない分大きな下げにはなっていないのですが、指数だけ見ると、すごい下げなのですね。過去の経験で、こんなのを経験したことがあるかな?
今回の下げの要因を考えると、円ドルキャリー取引の縮小、中国株のバブル、アメリカ経済の後退などが挙げられますが…奇妙な事に原因がサッパリなのです。主力株が下げているわけではなく、指数から始まった下げなのですね。しかし過去、このようなチャートの下げから反発した例は多くなく、大概はその後も下落するケースが多いようです。
今日は原因の一つといわれる、円ドルキャリー取引を説明しましょう。
日本の金利は安く1.7%程度です。この低金利を利用して世界中にお金がばら撒かれていました。アメリカなどの投資銀行は日本の資金を借り入れて、自国の国債を買います。そうすると4.5%程度に回りますから手数料や為替の影響を考慮しないと、2.8%の鞘が抜けます。これが円ドルキャリー取引の原型です。しかし、このようにしてアメリカに流れ込んだお金は膨らんで生きます。
信用力で資金を借り、その資金を元手にレバレッジをかけて、大きな取引に資金を膨らまします。仮に100万ドルの資金を元に、4倍の資金を買い入れ投資します。100万ドルなら4万5千ドルしか利息がもらえませんから、たいした事がありませんが、500万ドルなら22万5千ドルになります。借りた400万ドルの金利は1.7%なので6万8千ドルですから、利息を引いた15万7千ドルが残り、年率15.7%の運用になりますね。
問題は、この400万ドルを売った投資家です。儲かって売ったのでまた投資をしますね。今度はこの400万ドルをジャンク債に投じます。ジャンク債のリスクが高いので利回りは高いのです。今度はジャンク債を売った投資家は、もっとリスクの高い株式を購入したりします。こうやって金融の輪がどんどん拡大していきます。
多くのヘッジファンドが日本の低金利を利用して投資しているといわれています。最近のデリバティブ取引は複雑でその実態が分かりません。過去にLTC(ロングタームキャピタルマネージメント)のような大型倒産により、金融システムの混乱を防ぐ為にも、ガス抜きが必要だといわれています。今回はG7で日本の為替問題が指摘されたといわれています。
更に中国に流れ込むお金の量など、多くの行き過ぎた投機を絞る狙いも日銀の金利引き上げにあったのでしょう。たかが0.25%の引き上げで、これほど世界的に株が下落するなんて考えると少しおかしいので、他に株安の原因があるのかもしれません。株で儲ける事も大切ですが、損をしないことも大切ですので、しばらく静観されるのも一方かも知れません。
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