新興株とオールド株(2007年02月10日)
今日は利益成長と配当利回りについて考えてみます。
株式市場の一番ポピュラーな株価尺度はPERです。他には資産価値から判断するPBR、配当利回り、投下資本に対する利益水準のROEなど様々な尺度があります。
最近、新興株式が下げ、重厚長大の大型株の人気が復活し、金利が低い為に配当利回り株が賑わっています。しかし私の目から見ると、これらの配当利回り株の株価水準は少し買われ過ぎだな?と感じるのです。その根拠をこれから説明したいと思います。比較対象として新興株のヤフーと重厚長大株では東京電力を選びました。
さて下の図のように、業績推移と株価チャートを掲載しました。ヤフーの売上の過去5年間の平均伸び率は46%増で、利益成長率は61%増です。一方、東京電力の売り上げは0%の伸び率で、利益は10%の伸び率です。両社の違いは、ヤフーはインターネットと言う新しく産まれた市場で、東京電力は産業の要である電力を供給する会社です。東京電力は景気が良くなると売上が伸び、景気の成長スピードが落ちると売上は減ります。

更に電力会社は産業資本に必ず必要な産業で、利益が減れば料金の引き上げで対処し、利益が増えれば料金の引き下げを求められる公共株だということを忘れていけません。このような産業資本の要であり許認可事業の会社はガス会社、水道、下水道、電鉄、タクシー、バス、NHKなど多くの会社があります。間違ってはいけないのです。これら公共株は利益をあげることより、安全や安定的な供給に主眼が置かれる産業なのですね。
東京電力の配当利回りは1.3%?
異常ですね。国債の市場利回りが1.7%ですよ。どう考えても国債を発行する日本国より東京電力の方が、信用度が上の訳がないですよね。成長を求め行動すれば、電力料金を引き下げられるのです。成長性のない株式がPER20倍と市場平均並みに買われるのは異常です。さて次に、この表を見てください。

奇妙な計算をしました。こんな事はありませんが、仮に今期の伸び率をあてはめると…僕が恣意的な観点から原稿を書けば、平均伸び率を用いるかもしれませんが、そこは保守的に今期の伸び率を採用しました。ヤフーのケースは売上の伸びが20%で利益は21%、東京電力は売上が0.8%の伸び率で利益は10.8%の伸びで計算しました。通常ありえないことが起こります。このような計算式にすると、20年後の電力会社の売上高最終利益が36%ですからね。非現実的ですが、計算は計算だから…。そう考えると、東京電力はどう考えても、今の評価は高い気がしますね。
合理的な判断からすれば…売上高営業利益率10%が基準の電力会社の利益が伸びれば、料金の引き下げを求められるのは、社会上の通念でしょう。しかしヤフーは違います。主な収益源が広告とオークション収入ですからね。ネットの広告割合は全ての広告料の僅か4.7%の世界なのですから…。まぁ、数字は少しおかしいが、ここで言いたいのは20%の伸び率はすごいということです。如何に東京電力が割高か、この業績推移を見れば分かります。
ここで多くのファンドのマネージャーは簡単な裁定取引を思い浮かべます。そうです。東京電力株を借りて売り、ヤフ株をそのお金で買うのです。たった5年待てば、ヤフーはPER20倍以下になるのです。如何に新興株式が割安に売られているか分かると思います。
さて次は同じインターネット株の業界比較を行ってみましょう。多くの皆さんは新興株の割安感を実感できると思います。この後の原稿はIRNETの有料サイト(明日ご紹介する新しいサイト)でご覧なってください。