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株価(流れ)の決まり方(2006年12月23日)
株価はどうして決まるのでしょう?
株価=市場要因+個別株要因
大きく分けて二つの要素により株価は決まっていくと考えられます。しかしその過程は様々な複合的な要因で、形成されていくのでしょう。今、市場に人気になっている鉄鋼株の新日鉄について考えて見たいと思います。

まず、市場要因として幾つかの背景が挙げられます。
1. 日銀による金融緩和政策、現在のわが国の金利は非常に低い水準だという事です。
2. BRICs諸国の繁栄、特に中国経済の躍進
3. ミタル・スチールとアルセロールの合併
4. 三角合併の動き
5. 新興株式への懸念
一方、個別株要因としては…
1. 徹底した効率化経営(リストラクチャリング)
2. 鉄鋼市況の回復
3. 持ち合いを含む自社株買いと株価意識
今の日本市場は日銀の利上げが見送られ、金融相場再熱の動きがあります。配当利回りで株を買う動きですね。(金利裁定)先日、共済年金が株式の保有割合を増やす決議をし、保守的な運用者の資金が増えました。そうして新日鉄はミタルからのTOB懸念から、持ち合い株制度復活に動き、世界的に提携交渉を進めています。加えて自社株買いを実施するなど株価意識を高めています。
このような動きの中で、中国経済の固定資本形成が30%を越え、北京オリンピックを控え建設ラッシュに沸き、東アジア一体の鉄鋼市況は高止まりのまま推移、市況が崩れなくなっています。加えてBRICsの台頭と原油高により日本車が売れ、薄板市況が収益を支える環境にあります。しかし、ミタルは世界的な覇権をよりいっそう強める為に、戦略を拡大させています。このような環境下で、来年5月に三角合併が解禁される為に、異常なくらいに神経質なのが新日鉄の経営陣です。
90年代後半からの徹底したリストラクチャリング(事業の再構築)で、人員を減らした鉄鋼業界は市況の回復に支えられ、過去最大の好決算に沸いています。3月決算を控え高配当を求める資金と、新興株式の危うさに脅える個人の投資心理が新日鉄の好業績と配当に惹かれ、ディーリング相場に発展している。これら微妙な係わり合いが新日鉄の株価を演出しているのでしょう。
面白いものですね。
何故、かたるは、今回、鉄鋼株に参加しないのか?
新日鉄は1000億円の自社株買いをする一方で、増資を実施している。
経営者の安泰を図るために、株式の持ち合いをやっている。
経団連に働きかけ、三角合併の会社法への圧力を掛けている。
2007年後半は中国の鉄鋼市況が崩れる可能性がある。
日銀が利上げに動く準備をしている。
相場が短いかもしれない株を、お客様に目先の鞘のためにお薦めできるのか? 主義主張を通す事が正しい証券マンの行動か? 難しいジレンマを抱えています。新安値を付けるかたる銘柄と新高値を付ける鉄鋼株。

私には官僚社会主義派の鉄鋼株に見えるのですね。本間さんの辞任も財務官僚派閥のやらせでしょう。無論、本間さんにも非があるが…開き直ればいいのに石原慎太郎のように…。何が正義か、何が日本に必要なのでしょうか? 新日鉄が…必要なのでしょうか? 既に日本ではインフラ整備が終わり、保守管理するだけの生産性がないところに資金を集めて、明日の日本が築けるのかな?
むかしの尊皇攘夷派が新日鉄に見え、開国論派がソフトバンクに思えるのですが、間違っているのでしょうかね? 新興会社が明日の日本を創るのです。だから新興株式にお金を流し豊かな資金が明日の日本を創る信念を貫きたい。証券マンらしくないか…

相場論から言えば、理想的な相場展開が進み、雁行理論の新日鉄から住金へやがて出遅れ感から、神戸製鋼や造船株へと流れるうねりが相場に生まれ、行き詰ると、先頭を走っていた新日鉄に再びバトンを戻す。好循環の相場の流れは生まれ、相場の雁行理論は確立されます。所謂、金利裁定ならぬ株価裁定が相場の中で演出されるのです。
さぁ、あなたは、どちら派なのでしょう?
ライブドアショックが起きた時点で、この鉄鋼株相場の流れが決まっていたようなもの。その集大成が今回の相場なのでしょう。乗れない悩みか、好環境は理解しているのに…心情が邪魔をする。はぁ、情けないセールスマンだ。