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ROE(2006年11月18日)

今日は決算書の幾つかの種類と、株式の評価方法を考えてみました。有価証券報告書には主だった財務諸表が載っています。その財務諸表には貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)とキャッシュフロー計算書、更に利益処分計算書があります。

一般的に株価の評価として用いられるのは、ESP(一株利益)を基にしたPERと言う評価とBSP(一株純資産)を基にしたPBRと言う基準があります。今日は更にROEと言う指標も考えて見たいと思います。出来ればEBITDA辺りまで解説できればと思いますが欲張りかな?

かたる銘柄のサイバードが決算の事前発表し売上の伸びも好調で営業利益もマズマズのようですが、経常利益並びに最終利益は特別損失を計上し大幅な赤字転落を発表しました。基本的に株式は損益計算書の中でも営業損益に注目します。理由は本業の儲けにより株価を判断するものだからです。

しかし一時的な損失でもその額が大きければ、株価への影響は避けられないでしょう。先ず株価は一株利益で判断しますが、その中身が検証されます。だから営業利益の水準が一番大切なのですが、損益が大きくなると、その損を埋めるために資産が劣化し、資産価値が軽減しますからね。そうしてBSPを毀損しPBRの評価が下がるので株価に影響を及ぼすのです。

一時的なダメージは株価の復元力を増すもので、今後の業績が注目されるわけです。期待される携帯コンテンツ事業は二桁の伸びを示していると報道されており、ソフトバンクの定額料金の影響など環境はいい方向にあると考えます。また楽天とNTTドコモの提携に見られるように、JIMOSとの合併は時代を先見するもので評価されるものだと思います。

残念ながら市場環境は非常に悪く、一時的な損失であれ、多額の評価損を計上するので株価への影響は避けられないでしょう。この程度で読者の皆さんへのコメントは良いでしょうか?

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さて、ROEの話しです。ROEは株主資本をもとに、どれくらいの利益をあげたかと言う指標で最近の市場では、この数字を目標に挙げることが経営者の課題とも言われています。先日、トヨタを見ていて驚いたのです。なんと自己資本比率が四季報数字で36.8%しかないのです。ビックリしましたね。世界の優良企業のトヨタが…(個別では67.5%なのですが…)そこで今日はROEを分解するデュポンシステムについて考えてみます。

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   この式に分解されます。つまりトヨタは海外において積極的な投資戦略を行い、利益を上げている様子が覗えます。

トヨタの当期純利益予想は1兆5500億円で売上は23兆2000億円、総資産は30兆478億円で純資産(自己資本)は10兆9945億円です。これをもとに式を当てはめると下記のようになり、ROEは14%になります。一般的に15%が目標数字と言われます。意外に財務レバレッジをかけた戦略を採用しているのですね。優秀なかんばん方式を採用しているのですが、もうすこし総資産回転率もあげるひつようがあるかもしれませんね。

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このような分析を行うと、トヨタは低い金利水準を利用し、積極的に海外戦略を進めシャアを拡大している様子も見えますが、日本の金利が上がると他人資本(負債)の部分を減らさなくてはなりません。またBRICsの恩恵や省エネの環境が変化するとレバレッジをかけた戦略の為に環境変化への配慮が欠かせないとも言えますね。