一つの四季報の見方(2006年10月28日)
この株式教室も続けてずいぶん経ちますね。今日は相場の流れに乗る投資の仕方と業績推移を見ながら投資をする二通りのやり方がある事を考えましょう。
「今日の市況」では、主に相場の流れを中心に解説しています。現在の流れはトヨタを中心とする国際優良株の流れです。自動車株がPER20倍近くに買われるのは考え辛い光景ですが、省エネ化を推進した日本車の躍進振りを見れば、ある程度は頷けるのも事実です。そうして、ソフトバンクと言う新興株のエースが相場の流れを作っています。しかし、そのような相場の流れと違う個別株も大きく上がる事があります。業績への変化率を捉えた相場ですね。
株価は業績が良くなれば、必ず上がるのですが、年がら年中、株価が上げ続けるわけではありません。仕掛けどころがあり、現在のような決算発表の季節は、その仕掛け時期の一つでもあります。しかし業績が向上しない銘柄を仕掛けても一時的な現象に終ります。どの株もしばらく時間が経過すれば、業績に結び付かないと、何れ夢は冷めて人気は下火になり、株価も下がります。だから自分が買おうと思う銘柄に、本当に業績を向上させる根拠があるのか? 考えねばなりません。
基本は業績動向です。
一時、人気になった富山化学は合成抗菌剤「T-311」の承認申請取り下げで人気が冷めました。もともと一株利益から見ると過大評価だったのですが、この新薬が認可されると大きな利益が転がり込み、株価に見合った利益になると期待され、一時は1400円台まで上がったのですが…新薬の見込みが薄くなり、株価は500円台に急落しました。
このケースに見られるように、会社の収益の読みが当たるかどうか?
時代は変化し経済も変わっていますが、幾つかの山を越え、確実に収益を伸ばせるかどうか?ここに株式投資の夢を抱き、可能性にかけるのです。富山化学のケースはT-311と言う薬品に夢を乗せたのでしょうが、どうも自ら承認申請を取り下げるということは、何か訳があるのでしょうね。幸い富山化学は、他にも新薬候補があるようですが…。私には怪しいように感じます。この程度の会社の実力で、いくつもの新薬の研究が出来るとは…。まぁ、どうなるか分かりませんが…
以前、損益分岐点の解説のときに、かたるは銘柄選びの基本は、赤字から黒字に転換する銘柄を選んでいると解説しました。その理由は、この時期の会社の業績は、一番、変化率が高いからです。株式投資はいい会社を選ぶものと違います。変化する会社を選ぶのです。勿論、赤字から黒字なら、買いの会社を選びますし、逆に黒字から赤字なら、売りの会社を選ぶ事になります。
今度はかたる銘柄のベンチャーリンクを見ましょう。それとSDホールディングを見てください。ベンチャーリンクは損益計算書もキャッシュフローも赤字から黒字に転換していますが、SDホールディングの損益計算書は黒字ですが、営業キャッシュフローは赤字続きですね。会計士の注記もあるようですが…、一見すると、同じように赤字から黒字に変化しているようですが、SDホールディングスの場合は違います。何らかの決算操作の可能性が否めません。ベンチャーリンクは無借金で自己資本比率は62%ですが、SDホールディングのほうは借金もあり、しかも自己資本比率が22%しかありません。健全化といわれる50%を遥かに下回っていますね。


PLの判断だけでなく、BSの中身をみる必要もありますし、特に営業キャッシュフローは重要です。この営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを引いたフリーキャッシュフローを増やす会社の株を買えば儲かる可能性はさらに高まります。四季報を見る場合も注意深く読む必要がありますね。今日は四季報の読みかたも勉強しました。