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雁行理論(2006年10月14日)

どの銘柄を選ぶのか?

多くの人が悩む事ですね。相場には流れがあり、その流れの主人公を探す事が重要です。この時代変化をどう見るか? この見方により選択が大きく変わるのです。どの業種にも業績のいい会社と悪い会社があります。株価が上がる為には業績が向上しなくてはなりませんが、ただ業績が良いだけでは株価は上がりません。その背景に株価を上げようとする「筋の手」が入らなくてはなりません。「筋の手」と言うのは、例えば外資系のファンド、投資信託や仕手集団とか…大きな買い勢力のことですね。しかし、その仕掛けも不発に終る事があります。

お金さえあれば、誰でも株を上げる事は簡単にできます。無限のお金で、市場に出てくる株の売り物を買えば、需給のバランスで当然、株価は上がりますからね。しかし儲ける為には自分が売らなくてはならない。自分が株を買って株価が高くなっても、皆が更に上の株価を買うような合理的な根拠があれば、上値を買いに来る投資家が存在し、自分は高値で売り抜けられるのです。つまり株式投資は「現在の株価」と「将来の株価」との差が大きな銘柄を探すゲームなのですね。

その背景には経済的なバランス感覚が常に働いています。一つは資金コスト。まぁ、金利ですね。もう一つは投資対象の収益還元とのバランスです。PERと言う尺度でもいいですね。(配当性向も重要ですね。)金利とPERのバランスを見るのがイールド・スプレッドと言う指標ですね。この話は昔、何度かしていますから省きます。このような観点で相場は形成されているのです。経済的な合理性を有し、人気になる銘柄が、相場の流れとなって、株価が動いているのです。

景気波動の波もあります。薄型テレビ、車、工作機械、建設機械、住宅、道路、鉄道、原子力発電、火力発電、携帯電話、インターネット、情報通信、ITS…世の中が便利になるとどんどん技術も進化し、家電製品も変わっていきますし、消費のパターンも変わります。時代の流れに乗る会社を探し、その会社の業績が期待通りの成長を続ける。そんな銘柄が相場の主役なのでしょう。

わが国のPERが米国などに比べ高いのは道理なのです。単純に米国より高いPERで日本株の割高説もありますが、ベルリンの壁崩壊から、世界では市場主義の流れになり、BRICsと言う新興市場が生まれました。加工貿易国の日本が潤うのは当然の帰結です。車を輸出し、薄型テレビを輸出し、新興市場が求めるものを供給できますからね。中国(BRICs)のインフラ整備の為にキャタピラーやコマツが上がるのは道理だったのですね。貧しい国のGDPが上がり、新しい購買力が生まれ耐久消費財は売れます。

r20061014b.gifこのような景気の波に技術革新の波がぶつかっています。トヨタの株が上がるのは道理ですし、インターネット関連株がもてはやされるのも当たり前です。一番長い技術革新の波の雄がソフトバンクで、新しい市場経済の誕生の波の雄がトヨタなのでしょう。

ここで株を買う購買力セクターの考え方が需要です。多くのファンドの運用決定権を持つ年代は50代です。この年代はITに疎い世代です。故に自信が付き始めた今の投資環境の主役はトヨタでもあるのでしょう。しかし一番大きな景気波動の波は技術革新です。


産業革命時代に蒸気機関車の鉄道、やがてテレビが生まれ、今はインターネット。コンピュータとあらゆる技術が融合し、文明が開化する情報通信の時代なのです。ソフトバンクが人気株になるのはある意味で道理なのですね。ただ、無限に株価が上がるわけではありません。上げたり下げたり、業績に見合う水準を探すのです。現在の市場にはトヨタの流れとソフトバンクの流れがあります。

r20061014c.jpgそろそろソフトバンクの調整波動も終盤を迎えたようです。新興産業の雄であるソフトバンクが上がれば、新安値を更新する楽天の株価も上がるのです。同じ仲間ですからね。渡り鳥の群れと一緒です。リーダーの先頭を羽ばたくソフトバンクが調整波動を終えて上がり始めているのに、二番手の楽天が南に降らない筈がない。楽天だけが北に羽ばたくことはないですね。それが世の中の摂理です。だからこそリーダーの存在は重要です。

誰にも株価の動きは分かりません。だからこそ、業績の推移とトレンドラインは重要です。テクニカル分析がようやく必要になるのです。時代の感覚があり、業績を見て、トレンドラインを調べるのが相場を考える道筋なのです。さてチャートを見てみましょう。トレンドライン(傾向線)の引き方を一つ掲げましょう。下降波動の時には高値と高値を結ぶのが普通ですが、たくさんの山がありますね。一番重要なのは出来高です。

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ご覧のように、6月2日出来高が特出しており、その後の高値が2765円です。この時にメリルリンチ証券がレーティングを引き下げ株価は急落しました。この地点と次の山のリーマンの地点を結んだラインAのラインを超えた株価の位置から、相場の流れが変わります。上昇波動を確認する為には、2765円を抜く必要がありますね。既にクレディとリーマンを抜き、上昇波動確認と言う見方もあるでしょうが…この判断は難しい。Bの傾向線もある程度、意味を持ちますが、やはり出来高を伴なった視点の方が重要ですね。このようにチャートをみて、ラインを幾つか引くのです。これがテクニカル分析の一つの見方ですね。

今日の勉強は雁行理論です。リーダーが相場の流れを決めるのです。そのリーダーの行方が、だから大切で、他の新興株などの動きを論じても意味がないから、かたるは最近、「今日の市況」でソフトバンクしか取り上げなかったのです。一方の雄である「トヨタ」を取り上げても良かったけれど、僕らは貧乏人だからね。年率10%程度の世界の話をしても面白くもない。それに景気循環は、やはり一番長いコンドラチェフの波が、相場に大きな影響を与えますからね。もう一つは、傾向線の書き方と見方を勉強したかな? 雁行理論は自然の摂理なので正しいと信じています。さて、どうなるか?