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株式教室

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セグメント(2006年09月02日)

人間、誰しも自分の持っている株式が値下がりすると不安になるもので、特に信用取引の場合は借金をして株を買っているわけで、追証の心配もあり投げたくなるものです。しかし株式投資は株価の動きだけで、株を売り買いをするものではありません。背景にはその会社が生み出す日々の利益が源泉となっています。その利益、所謂、業績動向が株価の位置を決めるのですが…困った事に最近の市場は、その日の人気で株式が乱高下するようです。

多くの皆さんは一株利益の何倍まで株式を買うのか? と言うPERの考え方は身についていると思いますが、今日はもう少し業績の見方を突っ込んで考えて見ましょう。有価証券報告書などには売上の中身が表示されています。最近、会社のIR説明会でもセグメントをキチンと発表している会社が多く見られます。

今日は、今、話題の楽天をモデルに業績を見てみましょう。楽天は、先頃、中間決算を発表しました。売上が1053.18億円、営業利益は192.92百万円、経常利益は208.69億円、利益は71.01億円で一株利益は569円です。この数字を元に四季報では売上が2250億円、営業利益は500億円、経常利益は515億円、利益は285億円、一株利益は2192円と予想しています。

一般的にはこのような四季報数字などを基準に業績推移を考えるわけですが、今日はもう一歩進めてセグメントを見ながら、楽天の業績を考えて見ます。

第二四半期の売上割合は、EC事業が25.9%(137/531)クレジット・ペイメント事業は39.2%(208/531)ポータル・メディア事業5.9%(31/531)トラベル事業4.6%(24/531)証券事業22.3%(118/531)プロスポーツ事業5.2%(27/531)と売上構成が出来ています。

一方、経常利益の割合は証券事業が56.1%(58/103)EC事業41.5%(42/103)トラベル事業は11.6%(12/103)となっています。

つまり楽天の収益は証券業に大きく依存しているわけです。証券業の利益は相場の変動により大きく変化し安定的でないために通常はPER10倍前後の評価しか出来ませんね。ところが過去の楽天の平均PERを見ると高いときに77倍で評価し、安いときでも37倍で評価するわけです。四季報数字を元に現在のPERを弾くと、株価が48850円で一株利益予想が2192円ですから、PER22.2倍の水準です。過去、株価が安いときのPERは37倍ですので、本来なら81104円前後でも不思議ではありませんが、近年の証券業に対する利益貢献度が大きいことが株価の評価を下げているとも考えられます。

しかしEC事業の伸び率は76%、トラベル事業は53%と伸びており、今回クレジット・ペイナント事業の赤字を転換する為に、オリコに同部門の分割売却をしたものと思われ、収益は改善するのでしょう。更に積極的に投資しているポータル・メディア事業の黒字化も考えられます。利益頭の証券の後期は第二四半期程度の水準がやっとでしょう。しかしEC事業は伸びが続くものと思われます。特損計上もあり今期の業績不安は残りますが、このグループの株価としては、PER水準は低く、そう更に株価が下押す展開は考え辛いと思います。

参考にしたのは会社のホームページの資料です。此方から…

更にこのような売上に対する利益のセグメントだけでなく、グローバル企業なら輸出先の景気動向も気にしなくてはなりません。アメリカ依存度が高いホンダはアメリカの景気動向が業績の読みを左右しますし、現在、ユーロ高になっており、欧州への輸出比率が高い精密などのメーカーの業績は為替利益が生まれ増額になる可能性もあります。そのような変化を見るために会社が発表している資料をもとに、自分なりにその分野が伸びるか、地域経済はどうか? 予想してみるのも面白いですね。輸出企業の場合、輸出先の売上などが公開されています。

因みに、トヨタは第一四半期の販売割合が公開されており、それによると日本は25.9%、北米が35.7%、欧州は14.6%です。欧州への売上比率が高いと、市場で評判のキヤノンは日本が25.9%、米州が30.2%で欧州が31.2%なのですね。

今日は売上の中身にも目を向ける必要があることを学びました。株価の動きより、その会社の業績の推移を確り見極める必要があるのでしょう。