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仕手戦(2006年08月26日)

仕手株とは…市場の人気を背負い強弱感が対立する銘柄を示すのでしょう。今、市場で大きく意見が割れている銘柄にソフトバンクがあります。ソフトバンクは孫氏が開発したソフトをシャープが1億円で買い、それを元手に事業をした会社です。先見性がありアメリカヤフーと共同でスタートした日本のヤフーが大成功となりました。その後、パラソル戦略でADSLブームを興し、日本のインターネット・インフラ整備に大きく貢献しました。今は固定電話や携帯電話の会社として事業を展開しています。

現在の株価は2140円で発行済み株式総数は10億55305千株ですから、時価総額は2兆2583億5270万円ですね。僅かな期間に1億円が2兆円に膨らんだのですね。2万倍です。素晴らしい付加価値創造力ですね。おそらく日本でも指折りで、世界でも稀なケースでしょうね。

そのソフトバンクが、ここに来て信用の売り残が増え、買い残が減少し強弱感が対立して、市場の人気株になっています。普通、株価は一株利益を元に、その利益の何倍まで買うか? PERと言う尺度で比較されます。しかし、この会社は利益を出す事より、拡大経営を目指しているのですね。ADSL事業でも多額の先行投資を実施しましたし、今回の携帯電話でも同じような戦略のようです。朋友の北尾氏と意見対立があり、北尾氏はソフトバンクを去りSBIを独立させました。この原因が時価総額経営と従来型の利益を上げる方法の経営の意見対立とも言われています。勿論、真相は分かりません。北尾氏は予てから野村を越える金融会社を目指していましたからね。

兎も角、携帯電話などの料金産業は多額の先行投資を必要とします。しかし一度、その基盤が出来れば後は継続的に収益が見込める産業ですね。電力やガス、鉄道、通信などはそのようなグループですね。ソフトバンクは、今、新たな戦いに挑んでいます。携帯市場の開拓ですね。この業界は日進月歩で技術革新が起こっています。最近では金融と結び付き、無限の可能性が見えはじめしています。ネットと金融と携帯の融合ですね。お財布携帯は便利ですね。携帯電話一台あれば、なんでも用が足りる世の中になります。

ソフトバンクの現状の利益は100円もありません。KDDIやNTTドコモのPERはおよそ17倍前後で推移しています。つまり125円の利益がないとソフトバンクは業界平均にならないわけです。四季報予想では一株利益が28円しかありません。故に利益が少ないので、株価は高いという見方が生じ、空売りが入るのでしょう。しかしソフトバンクのボーダフォンを除いた保有有価証券の時価総額は1兆4456億円あります。ボーダフォンの買収資金はおよそ1兆7500億円だったと思いますが、合計で3兆1956億円あります。LBOで資金調達しており、ボーダフォン絡みの借金は1兆2000億円ほどあります。しかしソフトバンク・モバイルを上場したら…その借金は簡単に返済できるでしょう。

故に、一株あたりの株式保有額は3028円と言う試算も成り立ちますね。1億円を2万倍にした男が、官僚意識のあるNTTドコモに挑む。しかもソフトバンクはインターネット産業の色んなブランドを持っている会社です。現状は一株利益が上がっていませんが、勝算はあると買い方は考えているかもしれません。この秋はナンバー・ポータビリティ制度がスタートし、株価が動意づいても不思議ではありませんね。1/3のシェアを獲得するとソフトバンクの株価は3600円が最低ラインになるという読みも出来ます。リーマンのレポートは読んでいませんが、現状の利益だけで判断したレポートなのでしょう。ここを焦点にして、株価に対し強弱感が対立するのです。

将来の利益が見込めない株は仕手化しても意味がありません。しかし1億円を2兆円にした実績のある男が挑んでいる仕事です。株は将来を買うものであり、現状の業績を買うものではありません。当然、ソフトバンクに空売りが入り強弱感が対立します。面白い存在ですね。残念ながら日本株が大きく上がる局面は終りました。業績の変化率の大きな成長株は、ほとんどありません。私が見ている範囲ではVぐらいのものでしょう。そんな中で相場になるとすれば、信用の売り残を梃子に、相場に挑む仕手戦が繰り広げられても不思議ではありませんね。

ソフトバンクには指標性があります。この株が元気付くと不思議に他の新興株も元気になります。来週はこの株にとって非常に重要な場面を迎えますね。相場は面白いですね。下のチャートを見てください。既に25日線は上向きに転じています。そうして最初の押しなのです。仕手戦にはよく最初の波動で、このような押しを入れるものです。面白いですね。株には、こういう仕手戦の相場もあるのでしょう。結果は2年か3年後出なければ分かりませんが、果たして皆さんは現状容認派か、夢見る投資家派か?

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