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M&A(2006年08月05日)

こんにちは…今日はこれからの日本経済で重要なキーワードである「M&A」について考えてみたいと思います。M&A(Mergers and Acquisitions)とは、企業の買収や合併を総称してこのように言います。王子製紙が北越製紙に対し、敵対的なTOB(Take Over Bid 、又はTender Offer Bid)に踏み切りました。TOBとは経営権の取得を目的として買い付け期間、買取株数、価格などを発表し市場外で買い集める制度のことです。

報道によりますと、王子製紙は前から提携(合併か?)を北越製紙に申し入れていたようなのですが、北越製紙はこの提案を拒否し、この事後、暗黙に三菱商事を相手に第三者割当増資を決めたようです。果たして三菱商事は、この王子の提案を事前に知っていたかどうかは分かりません。つまり北越の三輪社長は保身の為に動いたと推測されるような行動なのです。市場で生きている私からすると、株主価値を損なうような行動は許せないのです。

これからの日本の課題の一つは、コーポレートガバナンス(企業統治)です。村上ファンドの躍進は、この動きが背景にあります。「会社は誰のものか?」と言う問いに対し、多くの意見があります。

日本の『失われた時代』の背景に、株式の持ち合い制度問題がありました。企業経営者は、努力もせずに普通に経営をすれば、社会から守られている制度ですね。ギブアンドテイクか…。製品の良し悪しではなく、しがらみで購入を決める。親会社の製品だから、多少、性能が劣っていても購入する非効率な仕組みですね。株式の持ち合いは、そんな意味のない行動です。

日本の資本主義は変わった形態でスタートします。国家予算の配分を、官がコントロールし、適正配分して国力を強めてきました。所謂、官民共同で追いつけ追い越せの精神で、先進国の仲間入りをしたのですね。この過程で資本をコントロールしたのが護送船団方式です。官僚組織を頂点に、銀行が産業を支配する構図です。全ての意向は官が決定するのです。わが国の体制が共産主義体制の資本主義と呼ばれる由縁です。

アメリカは戦後、内務省と大蔵省のうち大蔵省を残し戦後の復興にあたり、この組織を利用したのですね。他国が羨むほどの見事な復興です。イラクと比べて下さい。中国が市場経済を取り入れ始めたのは、日本をモデルにしているのです。しかし…官の組織には独創性がない。組織が疲弊し腐り始めたのが、田中政権の辺りから…その腐敗が広がりをみせるのです。僕は新潟出身なので彼を尊敬していますが…それが現実でしょう。この辺りの背景を書くと長くなりますから…この辺にして。社会変化に対応できなくなった日本の組織は失われた時代を迎えます。ベルリンの壁の崩壊の意味は、市場経済のスタートなのです。しかし日本だけが体質転換できずに苦しんだのです。現在はこの回復過程の後半局面になります。

市場経済の中で未だに意識転換できない人種が多く見られるのです。この原因は日本の村論理にあります。みんなで助け合い仲良く暮らそうとする。たいへん素晴らしい精神なのですが、国民の中でこの精神に甘える弊害があるのですね。昭和一桁世代をかたるは、ずっと批判しています。彼らの戦争体験はほとんどありません。多少、ひもじい思いをした程度でしょう。同時に日本経済が空前の成長期を見せた時代に、働き盛りを迎える恵まれた世代です。そうして、今、のうのうと年金生活を楽しんでいるのです。彼らの多くは与えられるものはなんでももらう。貰わなくては損だという認識です。社会貢献意識の欠片もない世代です。勿論、例外はたくさんありますよ。怒らないでくださいね。一般論ですからね。病気をすれば新薬を貰い、いらない薬も無料だから貰う。そんな精神構造なのです。町医者の待合室を喫茶店代わりに使う輩ですね。

少し言葉が過ぎました。御免なさい。日本人には多かれ少なかれ、このような甘えの精神構造がたぶんにあるのです。自分は努力をしないのに、他人批判ばかりする。他人の誹謗中傷は大好きです。芸能ニュースに人気があるのを見れば分かります。低脳な種族が多く存在します。

市場経済は常に真剣勝負なのです。株価は経営者の努力の賜物なのです。頑張れ経営者には高い評価が与えられ、楽をする経営者には、株価が安い評価しか与えられない仕組みになっています。ここでコーポレートガバナンスの問題が出てきます。会社は誰のものか? 従業員、お客さん、取引先、株主…色んな回答がでてきますが、私は市場に公開されれば、社会のものだと考えています。公開企業には公開企業の責任があるのです。多くの企業経営者は株価を支える末端の証券セールスの苦労を知りません。お客様と共に追証に立ち向かい株価を支える苦労が証券マンにはあります。しかし…企業経営者の多くはオーナーではないから、自社株への「いとしみ」が株主以下なのですね。

北越製紙の例は、どう考えても王子製紙の論理に歩があります。三輪社長は卑劣な奴ですね。卑怯ですよ。明確なビジョンも示さずに、ただ感情論を用いているように感じます。それに加担する三菱商事は日本を代表する会社なのでしょうか? 自社株はPER11倍程度ですね。商社は世界に類を見ない日本の素晴らしい業種ですね。グローバル経済の中で橋渡しをするのは商社の役目です。なのに…業界のTOPが自社株を市場平均以下に放置し、日本の成長阻止とも取れる行動を取るとは…情けない。今のところ、そのように感じます。しかし三菱商事が日本製紙と三菱紙などの統合に動けば話は変わりますね。スケールの大きな話で面白くなります。果たして…どんな展開になるか? 日本にとって、どの道が一番良いのか…

そう、市場経済は社会の方向性を市場が決めるのです。
M&Aはこれからドンドン盛んになります。MBO(Management Buyout)は経営者や従業員が自己資金は少なくても、将来の企業の価値を担保にお金を借り入れて、公開株を買い入れ非公開にすることを云います。最近ではすかいらーくが実施しましたね。更にソフトバンクはボーダーフォンをLBO(Leveraged Buyout)の活用で買収しました。買収相手の資産価値などを担保にお金を借りることですね。

この他にもホワイトナイトなど様々な用語がM&Aに絡み登場します。ここで大切なことは社会の方向性です。誰が成功するのかではなく、会社にとって日本にとって、もっとも好ましいと思われる選択が正しいのだということです。当初、私はこの話しを聞いたときに北越製紙の株を買って見たいと思いました。そうして800円を割り760円前後になったときにお客様に、儲けは僅かですが、買ってみようと提案をしました。しかし結果は途中の説明でお客様の意思でゲームから降りました。ポーカーのようなものです。これから日本は日本村から脱皮しグローバル化の道を歩みます。その時に重要になるのは日本の背景がどんな形であるのか?これから、どのような形が日本のためになるのか?この二つの意味を良く考えることでしょう。

上場企業の皆さん、会社が他人のものになっても経営者が変わるだけです。変化を恐れないでほしい。逆に組織を強くするチャンスなのです。みんなが努力すれば良いのです。どの社会でも頑張る人は尊ばれます。要するに自分自身の問題なのですね。北越製紙の皆さん。経営者が変わっても悪くなるわけじゃないよ。逆によくなる選択かもしれないね。社会が欲しているからM&Aが起こるのです。これからの日本はM&Aの嵐がやってくるのです。