未来かたるが開催!みんなによく分かる

株式教室

« PERの評価 | 最新の記事 | 業績相場へ »

敗戦分析(2006年07月22日)

まずお詫びです。昨日の「今日の市況」で誤りがありました。ソフトバンクの値上がり率の誤りです。訂正させていただきました。ご指摘ありがとう。

この株式教室では自分で銘柄を選択できるような投資家を育てることが主眼になっておりますが、最近は専門的になり過ぎでしょうか? 株価が上がる為には誰もが納得する背景がなくてはなりません。人気と言うのは多くの場合、直ぐに冷めるものです。ところが会社の持っている不動産などの資産や、毎年、稼ぎ出す利益は人気ではなく事実ですからね。故に資産価値を背景にPBRと言う純資産価値を基準にした「ものさし」と、毎年、稼ぐ利益を基準にしたPERと言う「ものさし」が重要視されるのです。

ネット投資家の多くは株が上がるか、下がるかに関心が向き、会社の利益や資産などには見向きもしませんね。株価の値動きを基準にして、大きく上がる株や下がる株を選んで売り買いをしているようです。所謂、ボラティラティー(変動率)の高い株を好むわけです。しかし変動率が高いということは、株価の板が薄く流動性が乏しいことを示しています。つまり、人気に株価が左右されるのですね。普通、市場参加者はその日の相場が安いと、もっと下がると思いますし、逆にその日の相場が高いと、もっと高くなると考えます。

こうした人気によって実際の実力以上に上がったり、下がったりする株がよくあります。つまり、その会社の本来の価値を自分なりに見極め、自分の頭の中で仮想株価を想定し、その株価からマイナス乖離が大きくなれば買えば良いし、逆にその仮想株価より市場が人気になりプラス乖離が多くなれば売れば良いわけですね。個別銘柄の問題はこれで良いのですが…昨今の相場のように、どの銘柄も売られ続く場面があります。

今回のような場面ですね。一度、人気が冷めると、元の心理状態に市場を戻すのは容易ではありません。ましてや、下落率が大きくなると投資家の傷も大きく、なかなか心理が戻らないのが普通です。下の日経平均株価の推移を見てください。1月16日にライブドアの地検捜査が公になり、3月9日が量的緩和解除です。その後4月にかけ一度戻し、ご丁寧に駄目天井(二番天井)を付けてからの下落です。私が予測したゴールデンウィーク明けの期待相場が裏切られ、失望感で大きな陰線を付け、決定的な下げを決めました。そうして6月の下げを加速させたのが村上ファンドの問題です。

r20060722a.gif

追加的に起こる北朝鮮のミサイル問題やイスラエルの侵攻問題などの外部環境も極めて不透明です。しかし日本株の本当の下げの理由は、官僚社会主義の反撃なのでしょう。1月と6月に…9月に安倍政権が誕生し、どのような政策を採るのか? この辺りが日本株の行方を左右するのでしょう。今回の下げの主だったものは新興株市場です。新興株の賑わいの背景に、北朝鮮マネーの介入説まであるのですから驚きですが…。マザーズ市場やJQ市場の株価を見ると既に2004年の最安値を下に突き抜ける下げを演じているのです。半値は良い方で…1/3、1/4は当たり前の様相。業績や資産価値を如何に無視して株価が形成されていた事か…

日経平均株価の推移を見ると、6月末にデットクロスを付け、完全な株価の調整場面に入っています。来週は非常に重要な一週間になります。一度、7月4日の15710円をクリアし、16000円台の株価が欲しいのです。7月後半から8月にかけ…、後で下がっても良いから、一度、16000円台に入ってもらいたいものです。その意味で福田氏の総裁選辞退のニュースは大きな意味を持つのですが…。市場はどう反応するか? 理想を言えば、何かリードする株が登場し75日線の15944円をクリアする力強い展開を切望するのです。

しかし、おそらくこの形が出来ても再び下落し、ボックス相場の形成期間を余儀なくされるだろうと予測しています。年初からの下げが、そろそろ、一度落ち着き、個別株物色相場に移行して欲しいものです。多くの市場参加者は、今回の下げで色んな教訓を得たと思います。人気で売り買いをする恐さなど…。私は、今度こそ、嫌いでもショート・ポジションを持つ事にします。ロング・アンド・ショート戦略を利用しようと猛反省をしておる所です。思い返せば、この公開ページでもダイワボウや富山化学の限界を書いていましたからね。そうして株価位置により比率を変えるヘッジをしようと考えています。10%のロスカットルールの採用など…様々な方法論があり、リスク管理を勉強しないと一流のプレイヤーになれないと実感した次第です。

今日の株式教室はデットクロスの意味を考えました。全体市況が落ち着かない以上、個別株論を述べても意味がありません。市場は、まだまだ弱き相場なのですが、8月8日のFOMCは上げ相場の切っ掛けになるかもしれませんね。一番有り得るシナリオは来週から反転し、緩やかに16000円を目指すシナリオです。下げるにしても、一度、反転すべき株価位置なのでしょう。かなりマイナス乖離状態が長いですからね。敗戦分析は非常に重要です。二度と同じ間違いを繰り返さないように…今日の株式教室は敗戦分析をしました。