PERの評価(2006年07月15日)

さて先週はお休みを頂きました。今週はこれまで何度も述べていますが、株式を買うタイミングを勉強しようと思います。上の図は業績と株価のイメージ図です。普通、株価は業績の6ヶ月ほど前を行くといわれています。つまり6ヵ月後に赤字幅が最大の時期に株式投資をすれば、一番安値を買えるとの判断ですね。悪材料が出尽くしで株価が上がることはよくあります。実際の業績が、赤字から黒字転換する瞬間に、株価は一番、変化率が高く上がります。二番目は復配の時期だと云われています。しかし過去最高利益を更新しても、なかなか株価が伸びない事がよくあります。三菱商事などはいい例でしょう。
しかし、このイメージ図は必ずしも正しいとは言えません。常にチャレンジし、ステップを踏みながら大きく成長する企業があるからです。最近では、ヤフーなどはその代表的な会社ですね。一般的に一時的な利益に対する評価は低く、独創的な他社が真似を出来ない利益の評価は高いのです。背景には継続的な利益であるかどうかと言う基準があります。その会社の成長ステップによりPERなどの投資評価は変わります。赤字から黒字転換する段階では高PERで評価され、最高利益を更新する段階では低PERになります。
かたる銘柄の多くは、この赤字段階から取り組み始め、黒字そうして復配まで取り組んでいます。現在成長が期待されるベンチャーリンクの業績推移と株価を見てくださいね。この会社は最近、ようやく予想利益を超える実績を上げ始めています。この利益の質は、積み重ねの価値の高い利益です。松下やトヨタの利益は、一回、製品を売れば終わりですが、ベンチャーリンクのFC事業は、リスクをオーナーに押し付け、自分達はそのブランドで稼ぐのですね。しかも、このBLPと言う組織は何度も継続して使える環境下にあります。
嘗て、この会社は1万円台で活躍したことがあります。その時のFC事業本部は他社の管理下でした。サンマルクやレックスHDなどが成長すると、自前で組織を維持し始め、ベンチャーリンクから脱退したのです。その為に株価は大きく売り込まれ、一時は153円まで売られました。倒産の危機にあったのです。そうして自前の七つの習慣、カーブスなどのブランドを開発し、再び成長軌道に乗り始めました。かたるが大きく期待している株の一つです。PERの評価が高いのは、この時期の特徴です。この時期(赤字から黒字への転換時期)の株式をPERで評価するものではありません。このような成長形態が明らかな場合は、過去最高利益を基準に考えるべきなのです。
しかし現在は株価が低迷しています。これは外部要因のせいです。相場を取り巻く環境が悪化すると、このような成長期待する銘柄は敬遠され、より確かな企業の選択に動きます。日本を代表する企業の株価の値下がりが小さく、業績が不安定な新興企業の株式が売られるのは、この外部要因が大きいのでしょう。お金は臆病ですからね。もっと、不安定になれば日本を代表する企業も売られ、債券が買われる様になります。現在は金利上昇局面ですから、短期債でしょが…
相場を見ていると、既に下げ過ぎの銘柄も多く散見されるようです。理由は投資家が儲かってない為に、極端に下げ要因を過剰懸念しているのでしょう。しかし何処で反転するのか? 誰にも分かりません。既に下げすぎの局面などで、これから下げても知れています。当面は下値固めをする局面なのでしょう。前の図をもう一度見てください。この黒字局面の面積の大きな企業を探すのが、儲かる銘柄を当てる事になります。基本的にいい銘柄が見つかれば、後は下げれば買えば良いのです。独創的な他社が真似のできない利益や、社会貢献度の大きな利益は高いPERで評価されます。
PER10倍の評価とPER50倍の評価の違いがあるのです。実に同じ利益でも5倍も評価が変わります。一番、PERの評価が変わるのは利益の質より成長力ですね。20%成長より50%成長が高く評価されるのは当たり前です。あまり感じないかもしれませんが、1%の違いは、期間を長くとれば大きな違いを生みます。かたる銘柄の多くは業績予想を背景にしています。しかし昨年の上げ以降、大きなプレミアム相場になっていたために、そのオーバー評価を訂正しているのが今の相場なのでしょう。
反省が生まれ、過剰な期待が排除され、逆に悲観色が漂い始めたのが昨今の相場です。そろそろ、難平買いを考える段階に来ていますが、投資資金の少ない方は、完全に上昇相場に移ってから買い始めても良いのです。何も安い所を買わなくて、株は大丈夫です。業績動向の成長が続く限り、株価は上がり続けます。買値を下回ると心配な気持ちは分かりますが、現物なら売る必要もないのでしょう。信用取引の判断は難しいのです。個別投資家動向により、変化させねばなりません。
日銀が第一回目の利上げに踏み切ったのですが、普通、株価は更に上昇するものです。そろそろ業績相場に移行するのでしょうが、既に多くの企業は、海外景気動向が好調で、過去最高利益段階なので、投資判断は難しいものがあります。これからの景気は、政策により中弛みに入る可能性があります。勢いのある新興企業の評価が低くなり、折角の復活ムードを壊すような政策を採ると、その可能性もあります。どっちにしても過剰な悲観相場に入ったので、チャンスは広がっていると判断をしています。
今日は上の図のベクトルを考えながら、PER評価を考えて見ました。その企業の成長段階が、今、何処に位置しているか? この事を考えながら投資すると良いですね。