株価の決定要素(外部要因)(2006年06月24日)
今日は前回の外部環境による株価変化と言う観点から、株価を考えて見ましょう。前回の株式教室では外部要因と内部要因から株価が構成されているという説明をしました。今回のように日経平均株価が急落すると、どんなに業績がよくても個別株の要素に関係なく、外部要因による下げで、ほとんどの株が下げます。幸い先物の観点から、今回の急落の仕組みを一要因を、是金が書いてくれました。ノックオンを利用した投資信託がたくさん発売され、一見、高利率の確定利回り商品だとされる仕組み債が背景にあるのですね。年率2%、3%(実際の利回りはどの程度か分かりませんが…仕組み債と説明するための架空利回りです。)と言う少し高い利回りの投資信託が発売され、ただし日経平均株価が15000円を割れると、元本だけが帰る仕組みになっているものです。
今回の場合は、幾つかの要因が重なり日経平均株価が下がったのでしょうが…この外部要因には、このような個別の会社の業績に関係ない経済的な要因により、株価が変動するものがたくさんあります。金利が上がると無借金企業などの財務内容のよい企業は、現預金に利息が付き増益要因になりますが、借金の多い装置産業や商社などは、逆に金利負担が増えマイナス要因になります。他には原油価格に敏感に感応する企業もありますね。国際石油開発帝石HDや関東天然ガス開発などの会社は潤いますが、燃料価格が上がる為に、海運や運輸などの業種は、逆にマイナス要因になりますね。また為替による感応度もあります。
このような過去の相場変動により、検証したデータを元に、相関係数をデータ化し株価の感応度を測る分析の仕方もあります。しかし過去の株価データは、必ずしもテキスト通りの動きをするものではありません。ここで重要な事は、逆風化の銘柄選別の考え方です。例えば具体例を挙げると、読者から「エネサーブ」と言う銘柄が下がり続けており、注目しているというメールを頂きましたが、この会社の仕組みを勉強してみると、燃料費が上がると電気料の方が安くなるケースが出てくるのですね。もともと、この会社は電気料の仕組みを利用した節約対策の会社だったのですが、原油価格が上がり、この節約メリットが薄れ、業績が低迷しているのですね。故に純資産倍率1倍割れになりましたが、原油価格が高止まりする以上、買える根拠がないのですね。しかし、仮に原油価格が下がり始めたら…この会社の株価は大きく上がるでしょうね。
エネサーブは非常に特殊のケースですが、円高になると輸出企業の株価が押さえられるケースがよくあります。そうして国際優良株が下げた原因を、円高により採算が悪化し、株価が下がったと、よく解説されます。しかし多くの輸出企業は、為替予約を実施しており、非常に為替の影響を受けにくくなっているケースが現代です。また市場の誤解があるケースもありますね。輸出企業だといっても、精密機器の中ではユーロ圏への輸出比率が高く、円ドルでは採算が悪化してもユーロではそうでもないケースもあります。個別企業により、その会社のセグメントにより、業績への影響度が違いますね。この点を考慮する必要があります。だから一概に円高だから、業績が悪化するという輸出企業への評価が正しいかどうか、良く検証する必要があります。現地生産割合が多いかもしれませんし…
ケース・バイ・ケースなのですが、株価の上下は必ず個別企業の問題だけではなく、全体の経済環境にも影響を受けるということを、ここでは学んでもらえればいいのでしょう。先ほどの例で、明らかに原油価格が下落をするなら、エネサーブなどは非常に感応度の高い企業で株価は大きく上がるでしょうし、現状では赤字が続く可能性があり、いくら割安だといっても、なかなか投資に踏み切れないものです。株は業績の方向性が非常に重要なのです。その傾き(業績の変化率)が大きければ、大きいほど株価は良く上がる事になります。故に銘柄選別において、このような外部要因を良く考える必要があるのです。
今日は株価の決定要素の一つを考えてみました。