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流動性の考慮(2006年06月03日)
今日は流動性と言う観点から、株式を考えて見ましょう。昨今の株式市場を見ていると、値動きだけを信条に売り買いをしている投資家が非常に多いのでしょう。ガンホーなどと言う株が異常な高値で取引され、ずいぶん下げましたが、未だにPER100倍以上の水準だと言います。なんと上場直後に2310万円(462万円)まで買われるのです。その後1:5の株式分割を実施し現在は102万円の株価です。この株の大株主はソフトバンクです。この会社の会長は孫さんの弟さんだそうでネットゲームの会社です。単独の売り上げの伸びは高く30百万円、95、159、2847、4245、5645百万円です。2005年3月に上場し、上場直後の売上が56億円しかないのです。売り上げの伸び率も大きく鈍り、異常なPERの修正は、これからも必死でしょう。何故、この会社が2310万円もの馬鹿高値を付けたのでしょう。

背景には発行済み株式総数が少ない点が上げられます。2005年10月に株式分割をしていますが、上場直後の発行済み株式総数は16000株しかないのです。しかも株主構成を見れば、ソフトバンクが44.5%を握り、関連企業と思われるアジアンGが24.4%を支配し、四季報調べの浮動株率では11.6%しかないと言います。市場に流通する株が2000株もない企業の株式が乱舞するのは、誰が考えても明らかですね。ソフトバンクグループは市場をうまく利用し、市場は彼の主張を応援しているのですね。5月31日の日経新聞の一面に孫さんのインタビューが載っています。彼は良いね。一番やりのサムライ魂か…妬みを跳ね返し、逆境下の挑戦こそ素晴らしいものが見える。彼の言動を市場は応援するわけです。フジテレビの日枝や阪神の手塚、西川などの経営者を嫌うのは僕だけかな?
保身を信条に仕組みの中でしか生きられない人間が、権力を傘に庇護を受ける社会は、何れ崩れるのです。役人が作った平等精神の構造は、ある意味で素晴らしいのですが、90年代の日本の挫折はなんだったのでしょう? 役人の横暴が歪んだ投資になり、無駄金を使った結果なのでしょう。違うのでしょうか? 戦後、日本は盛んにODAを実施してきましたが、何故、日本への中韓の国民感情は変わらないのでしょう。戦後補償の方が分り易かったのではないでしょうか? 掘っては生める道路工事、年度末に増える公共事業、それに甘える国民。日本人の多くが所得税を納めていないし、サラリーマンだってごく僅かな税負担です。一所懸命に生きる奴は矛盾を感じ、海外へ移住する。そんな社会への反発があるから、孫氏の言動に注目が集まり応援する人がたくさん居るのでしょう。僕も、たった100株ですが、依然、株主ですからね。
話はそれました。ガンホーの馬鹿株価がどうなるのか? 1999年7月に同じような過小資本の銘柄が上場されました。ソフトバンク・テクノロジーです。46千円の初値が267千円までいくのです。その後1:3の株式分割を実施し、今の株価は1700円です。最近、私が買い始めた銘柄です。7年の歳月を経過し、ようやく、まともな投資価値の水準となりました。一株利益が80円ほどで株価が1700円です。これからボーダーフォン関係の工事案件が増え利益も上がるでしょう。値動きだけを信条に買う投資家層は限られます。しかし投資に対しまともなリターンが期待される収益還元法的な考え方の投資家は世界中にたくさんいます。双日の株価も利益が490億円も上がっているのですから、時価総額が10倍前後なら買う人はたくさん居るでしょう。だから株価は下がらない。
ガンホーのような会社にPER100倍の評価を下す為には、売上が30%近く伸び続けなくてはならないでしょう。かげりが見えた段階で評価は変わります。故に収益還元法的な考え方の株価まで、成長がなくなると売られる事になります。自立反発だけが命の株として、長い時間、整理を続けるのでしょう。売りたくても売れない。板が薄くて売れないから乱高下するのです。それでは流動性とは何なのでしょう?
1億円程度のお金を投じても、ビクともしない会社ですね。売買代金が1961億円もあるソフトバンクは、ディーラの格好な投資対象となります。しかもボラティリティー(変動率)が高く人気の的になっています。100万株近くの板が簡単に消化されるのです。すごいですね。ネット・トレイダーが一喜一憂する存在でしょう。天下のみずほは728億円しか売買代金がないのです。3位のトヨタは549億円なのです。強弱感が対立し株価をめぐり論争が起こるのです。やがて時間の経過が株価の位置を決めるのです。企業努力と時間が競われます。市場は株価を決め、資金配分を決めていきます。その株価を利用し経営者は再投資をし、社会に貢献する事業をしていくのです。常に市場から企業(株価)は監視されているのです。
しかし官僚社会主義者は国家権力を傘に自分達で資金の配分を決めます。一般会計より多い特別会計の存在は、最近、マスコミ報道により明らかになったのです。掘っては埋める無駄な公共事業から鞘を抜き、官僚が天下る団体や政治家に流れ、無駄な投資が監視もされずに行われてきた結果が、90年代の低迷です。その失政のツケを銀行に押し付けたのです。銀行はお上に逆らえない。UFJの早川常務が噛み付いてサムライ魂を見せたために干され、官僚社会主義に近い三菱に渡されたのです。チャチャを入れた住友銀行の西川さんが叩かれるのは忍びないですね。残念です。
株式は流動性が必要なのです。市場は必ず動揺します。お金はある意味で臆病なのです。お金持ちで成功されている方を見ると、概ね、慎重過ぎるなと感じることがあります。失うものがあるから慎重になるのでしょうが、僕みたいな成り上がり者には分かりません。失うものがない人間は一番強いですね。家族も親戚も居なければ、なんでも出来ます。中国人の不正入国者の犯罪が多いのも当たり前の現象です。
今回の動揺の原因は流動性ですね。日銀が35兆円ほど、ばら撒いていた資金回収に動いているのです。既に16兆かな?12兆円程度まで減らすと言われていますね。僕は518兆円あまりある時価総額の1%レベルの信用買い残が多いとは思いませんが、一般的には、アホな日経新聞の記者がそう報道すると既成事実になります。一面トップで「村上銘柄の下落で個人に新たな信用取引の追加担保の差し入れ義務が生じたらしい。」アホな記者解説です。もう一つはFRBの金利引き上げです。しかし…おっと脱線。相場の解説ではなかった。
景気や株価など簡単に浮揚できるのです。ところが、経験のない馬鹿なエリートが教科書を頼りに政策を動かしているから、国民は大変ですね。流動性を供給し続ければ、豊かな国力を維持できるのです。問題は信用性になりますが…流動性があっても、市場の信頼性がなければ、ただの紙くずです。その点、ソフトバンクはきわどい賭けをしているわけです。
マザーズ指数が下げ続け、個人投資家は痛みを覚えました。しかし多くの投資家は元本を失ったわけではありません。貴重な教訓を代わりに手に入れましたね。流動性と世間の認識です。僕の今回の失敗は、相場の「時間の流れ」を読み間違った為に、安易に儲けを急ぎすぎたようです。正直に言えば、日銀の量的緩和解除の影響が、ここまで広がるとは考えてなかったのです。ドコモなどの大型株で、株価が長年調整している株を、もっと入れておけばよかったのですね。明らかに失敗です。流動性をあまり考慮に入れなかった。儲けを急ぎすぎたあまり、ポジションをアクティブにしすぎましたね。「生きることを急ぎすぎたかな?」ホリエモンの反省の弁が生きなかった。
まぁ、いずれ時間の問題なのですが…そんなに悲観することもないのです。市場に出回る株券が少なければ、株価が乱高下するのは当たり前です。このようなチャンスの時に、ドコモやトヨタを売って、銘柄を入れ替えれば、乱高下の鞘を抜けますね。そうして乱高下の利益を収めたら、再びポジションをドコモやトヨタに戻せば良いのです。今日は2日間の敗北宣言から流動性を考えました。大きくなってきた資金配分に流動性の考慮がもっと必要だったですね。
同じように見える株式も流動性の観点からボラティリティーが高くなり、信用銘柄と貸借銘柄の違いや現物株の流動性など…素人の人は分かりにくいでしょうが、プロの投資家ならこれだけ書けば、僕の真意は理解できるでしょう。景気変動に揺れる業績の会社と、景気変動に関係ない利益の会社と、相場の循環によりホジションの組み換えを要求されるわけで、カントリーリスクを考えるグローバルな投資姿勢が運用者に求められる時代なのでしょう。
なにもお金を円ばかりに置いておく必要もないし、規制の多い日本に留まる必要もないのかもしれません。僕らはもっと利口にならないと官僚社会主義者の餌食にされてしまう。逆に彼らの横暴を利用すれば良いのでしょう。そのためには、もっと勉強をしないとなりませんね。今回は失ったお金は大きいですが、逆に貴重な体験を手にしましたね。