中間反落局面(2006年05月27日)
相場は何処に位置しているのでしょうか?

一番重要なことは今年3月9日に日銀が量的緩和策を解除した事にあります。現在、日銀の方針は当座預金の残高を30兆円から35兆円だったものを、徐々に減らし始めています。この25日に12兆円まで減ってきた当座残高ですが、外資系金融機関からの資金調達により金利が上昇し、それを阻止するために日銀は5000億円の公開市場操作を実施しました。IMFからは日銀は当面ゼロ金利を維持しろと言われ異例の注文が出ています。
FRBもECBも利上げ方向が続き、世界的にお金の供給が細り、中東の株式に異変がおき、インド株などが急落しました。この原因は世界的な資金の流動性が失われつつあることなのでしょう。事のほか大きな影響を与えているのが日銀の量的資金緩和策の解除にあるといわれています。僅か2ヶ月で30兆円を超えていたものが16兆円ですからね。いきなり半分です。既にグローバル化した世界経済は日本もアメリカも欧州も金融の世界では一体化しているのでしょう。
多くの投資家はポジションの調整を迫られる現象が起こっているのでしょう。昔は金利水準を上下させ資金量を調整していましたが、量的緩和もゼロ金利でも同じことなのでしょう。市場のだぶつくマネーはヘッジファンドの拡大を手助け、彼らの動きが経済に与える影響が大きいといわれていました。ようやく、彼らの増殖にブレーキが掛かり始めました。日本株も彼らの影響を大きく受け、株式相場の循環論が、近年、歪んでいます。5月に相場が下がるようなことは、以前は余りありませんでしたが、近年はヘッジファンドの決算にあわせポジション調整を迫られているようです。
日銀の福井氏はこの点への認識があるのでしょうか?
急がないほうがいいですね。折角の立ち上げリ局面を大切に育てないと…未だに政策のツケを払わされている大手銀行は入院状態なのです。順調に回復に向かっているものの政策の失敗を押し付けられた銀行は、今期にようやく退院を果たすのです。りそななどは、まだまだ蚊帳の外ですからね。一般企業は今回の政策失敗の影響を受けはしましたが、傷は浅かったですからね。ひどい政策です。しかも失政を押し付けておきながら誰も責任を取らないのですから…
相場は日銀の態度を踏まえ、中間反落相場に入っているのでしょう。ライブドア事件は一つの政策の転換を示す事例に過ぎないのでしょう。誰もが株をやって儲かる時代は終焉しました。私は中間反落相場だと認識していますが、人により業績相場の後半だと思われる方も居られるかもしれません。真っ暗闇の先の見えない「強気相場は悲観のなかで生まれ…」の金融相場は終焉し、「懐疑の中で育ち」から「楽観の中で成熟し」…辺りに位置しているのでしょう。
日銀の政策姿勢によりますが、中間反落から業績相場への移行は非常に緩やかなのでしょう。既に業績相場後半なのかもしれません。日銀がゼロ金利政策をいつまで堅持するのか? その辺りが今後の相場展開に大きな影響を与えそうです。現在の金利は1.9%前後です。短期金利は公開市場操作によりゼロ金利が維持されていますが、それもいつまで実施されるか…25日の出来事は、徐々に一般的な現象になり、やがて金利が引き上げられるときが来るのでしょう。
重要な事は「今日の市況」でも何度も述べていますが、金融相場の主軸銘柄である銀行・証券・不動産株には手を出すべきではありません。変わって物色の中心は素材から加工産業に目を向けるべきでしょう。そうして大型株から中小型株へ物色動向の変わることでしょう。急落している新興市場株の中でキラリと光る銘柄が必ず在る筈です。はたして運がよければ、その銘柄に出会えるし…どうなるのでしょうか?