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仰げば尊し(2006年04月29日)
現在、藤原先生の「国家の品格」につづき、 「父の威厳」を読んでいるのですが、いいですね彼は…文句なしに好きです。市場原理主義派である株屋の僕は、彼とは程遠い考え方の人種かと思っていましたが、実に近いのです。…と言うより、僕が古風なのかも知れない。武士道の精神は好きだし、いつ死んでも…と言う「死に場所」を求める為に生きる武士の精神も好きです。現在はどうか分かりませんが、大蔵省の不祥事が起こると、ノンキャリアの部下は、キャリアである上司の責任をかぶって死んだという話しを聞いたことがあります。実際に、あれは竹下元首相だったと思いますが、秘書が罪をかぶって自殺しましたね。殿様のために死んでいく武士道を美化するのはどうかとも考えますが、男が男のために死んでいく。なんとなく好きです。
僕は株屋なので、お客様のお金を増やすのが商売です。90年代、沈んでいくお客様の姿を見て、自分の技量のなさに愕然としました。そうして、最後に国家体制を考えさせられました。上司は部下の責任をかぶり、日ごろから世話をするのが当たり前だと感じていました。昔、社員時代に、どうしょうもない男が部下にいました。いつも自分のノルマを果たせず、いつも僕らは彼を責めていたのです。とうとう僕は彼に辞表を求めたのです。あれは課長補佐の時代だったかな? 部下は6人ほど居ましたかね? 他にフロアの女の子4人ほどの教育指導もしていました。僕はあの時の選択を、今も正しいと思っています。証券会社は過酷なノルマとの戦いだったですから…新人で入ってきた彼は、他の道がよかったと思っています。
だから、上場会社の社長が公で発言した言葉に責任を持つべきだと考えているのです。ましてや、フジテレビの日枝などをみていると、腹立たしくなってきます。自分は鹿内ファミリーを追い出したクーデター男だった過去を聞いたことがあります。ライブドアの堀江さんを応援したのも、そんな感情が交錯したのでしょう。だから新日鉄にような株式持合いグループの経営者を見るとカチンと来るのです。現在の公務員と一緒に映るのです。個人事業主である僕らには自宅の家賃などの事務所経費はほとんど認められません。しかし公務員(高級官僚)は、民間家賃が40万から50万円ほどの所に10万円程度で入居し、その差額は経費扱いです。財務省の独身寮は、今もたしか3000円の家賃です。(郊外ですが東京ですよ) 年金財源も報道の通りです。格差が明らかになった現在も、12年後に統合される時間的な配慮があるのです。民間なら、遡って差額負担を求められるかもしれないのに…
私は公平な社会で平等の機会を与え競争をすれば良いと考えています。公務員など他人の痛みが分かる転職2回以上の、15年くらい民間で働いた人の、救済場にすれば良いとさえ思っています。エリートが自分の裁量で全ての決断をし、馬鹿な国民はエリートの言うとおりに生きれば良い。それが画一化教育なのでしょう。良いでしょう。それも…。それならエリートはエリートらしく失敗したら責任を取るべきなのです。然るに、平成に入ってからの国家運営を見れば失敗ばかりなのに、誰も責任を取らない。
残念ながら、引き合いに出すのは、いつも小川是(ただし)です。丁度、僕がサラリーマンを辞め上京してきた頃の証券局長だったのです。このポストから大蔵事務次官になるのは異例でした。普通は主計なのですが…。彼は事務次官後、国税局長官、JT会長、今は横浜銀行の頭取です。失敗した人間が天下りし退職金の谷渡りです。そのたびに税金割引の退職金をもらい利殖をする。普通の人間は一生に一回しか使えない特権を、彼は何度も利用している。別に彼だけじゃないでしょうが…、代表的なケースなので挙げているだけです。これが武士道を誇る国家体制でしょうかね? 呆れます。せめて、ひっそりと一線からはなれのんびり余生を送るならまだ許せますが…。失敗した多くの高級官僚は、西村のように早稲田などの大学で教鞭を取っています。失敗した人間が教えているのです。三重野もしかり…この国はどうなっているか…だから株式市場にも本物が育ってないのです。悲しい現実です。
読者のメールを読むと、残念ながら上手くいってないようです。そりゃ、そうですね。こんなに素晴らしい相場でも儲けられない人間が居るから、儲かっている人も居るのでしょう。私が大学を卒業して証券マンとして働き、10年間、儲けることができなかったのです。商売のはずのプロの証券マンが指導したお客様が儲からなかった。株の基礎も分からずに、チャートだって奥が深いのに…無防備な赤ちゃん同然の投資家が儲けるには、余程の努力が必要でしょう。
今日は株式教室の日ですが、実は、儲けるためには研究熱心な心と向上心があり、一番必要なのは忍耐と言う訳の分からない精神力が必要なのです。しかし最後はやはり「度量」なのでしょうね。心の広さ寛容さ、大きな人間。最初から株式教室には一見関係ないと思われる事象を並べましたが、実は儲けるには「心」が必要なのですね。豊かな心です。道端にさりげなく咲く花を見て感動するかどうか? 夜空を見上げ星の輝きに何かを感じることが出来るのか? 自然の声が自分の耳に聞こえるかどうか? そんな豊か感情を持つ心が必要なのだろうと、最近、富に思うのです。
冒頭の「父の威厳」を読んで、115ページに「仰げば尊し」のコラムの記載があります。近代日本文学を専攻するアメリカ人の学生が、ハンカチを手にする場面が載っていました。彼の説によれば卒業式でアメリカ人は泣かないのだそうです。日本人は「仰げば尊し」の歌詞を考えながら歌っているのでしょうか? 私はお茶の水大の校歌を聞いたことはありませんが、皇后陛下より賜った校歌だそうです。 「みがかずば 玉もかがみもなにかせん 学びの道もかくこそありけれ」雅楽調の調べの中で、歌われるのだそうです。
「仰げば尊しわが師の恩 教えの庭にもはや幾歳(いくとせ) 思えばい疾(と)しこの年月 今こそ別れめいざさらば …互いにむつみし日頃の恩 別るる後にもやよ忘るな…」
馬鹿らしいと思う方も居られるかもしれませんが、最近、かたるは株で儲けるということは、自分自身の心の問題なんだと、考えるようになっています。こんな心境になってきたのは、最近なのですね。株で儲けようと色んな本を読み漁り、自分なりの投資方法なども、自分のお金だけでなく、何十倍も大きなお客様のお金を使って実験してきたのです。しかし、今は勉強も大切ですが、豊かな心が何より大切なのだと痛感しているのです。疲れたら自然と触れ合えば良いのです。やがて癒される心を感じてくるでしょう。投資とは「自分との戦い」なのでしょう。