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かたる銘柄のパターン(2006年04月08日)
2006年の相場を見ると、1月にライブドアショックがあり、個人投資家に警告が放たれました。業績を無視した株価、値動きだけの株価に楔(くさび)を打ったのでしょう。2000年のITバブルは悲惨でしたからね。光通信の大幅な下落は常識を大きく越えたもので、それから比べれば、ライブドアなど小さな余震程度の評価でしょうか? しかしこの事件はいろんな問題をはらみ、考えさせられましたね。結論は出ていませんが、どうなるのか? 裁判の結果、仮に粉飾が無実だとしたら、国の体制や東証は、どう自己弁護するのでしょう。多くはありませんが、最近、国税当局と争い勝訴する例もありますから…。東証のシステム不安をライブドアになすり付けた「いやらしさ」を感じるのは私だけなのでしょうか?
市場は誰も助けてくれません。儲かっている時は、自分の考えが正しいと思い、人間誰しも有頂天になります。しかしその瞬間から、多くの場合、崩落が始まっています。他人任せの作られた業績は、偽物のケースが多いですね。逆境を乗り越えた利益こそが本物の利益です。経済環境も何も関係ありません。試練は人も企業も強くします。その意味で、かたる銘柄の多くは赤字転落企業を選んでいるようです。再生は多くの困難を抱えていますが、立ち上がったときは本物の企業に変わるケースが多いのです。
2003年に試練を受けた「みずほ銀行」は前田氏の豪腕で1兆円増資を実施し、面白おかしく書いたマスコミに立ち向かいました。あの時に、勇気を持って倒産企業評価のみずほ株を買った投資家は、既に充分な報酬を受け取りました。ハイリスクとハイリターンの関係は、生きているのです。3年で役目を果たしたと思っています。今日は、かたる銘柄の多くをパターン化した図をもとに、企業の推移と株価、そうして株価評価のPERの関係について考えて見ます。下の図をご覧下さい。

青い線は企業の業績推移を示しています。赤字になり、それから立ち上がるパターンですね。この段階の変化率が一番大きく、株を買って儲かる段階です。次に儲かるのは、復配をする時期ですね。企業は累損を一層し復配に向かいますが、この時期も株価が市場から信任を得る段階です。通常、株価は業績に6ヶ月間先行すると言われています。大幅な赤字計上段階に、業績回復が明らかなら、株価は既に上がり始めています。しかし、この時期は非常に買いにくいのです。場合によれば、倒産の心配がチラつくからです。
段々、時間と共に業績の黒字が明らかになると、安心感が働き株を買う投資家が増えます。しかし、この時期は高いPERでとても買えないのです。徐々に利益が出てきてPERは下がり復配をすると、機関投資家が株を買えるようになります。機関投資家は多くの制約を抱えています。お金を預かる立場ですので、常に説明責任が生じるのです。大切な預かったお金を相場観だけで、無配の企業に投じるわけに行きませんし、ましてや、赤字企業など論外ですね。冒頭の相場観ですが、今の相場は明らかに投資信託などのプロの投資家が相場の主体になっています。だから日経平均株価が上がりやすい業績の良い大型の値嵩株が上がるのです。
このパターンは不変です。多くの場合、どの企業にも使えます。ただし業績が回復しなくては駄目ですよ。赤字が続き赤字幅が更に予想より大きくなる場合は、株価も更に下押すのです。続いて、その中でも業績の変化率の大きな会社を選ぶのですが、やはり、谷が大きい企業が有利になります。業績の落ち込みが大きく、倒産の危機にある会社が、立ち上がるときの株価の勢いは、凄まじいものがあります。下のみずほの株価を見てください。2003年の春には、たった58300円だったのです。倒産の危機が変化率を高めたのでしょう。このような存亡の危機から立ち上がる会社の多くは10倍程度の儲けを享受できる可能性を有しています。

さて業績のベクトルの話しです。この回復度合いの変化が急で、息の長い業績が続く会社ほど値上がり率は高くなります。今度は利益の質が問題になるのです。資源価格の高騰による利益や、資材価格の高騰による利益など市況関連の利益のPERは低く評価されます。海運市況や鉄鋼市況の回復により利益を上げた海運株や鉄鋼株のPERは低くて仕方ないのです。代わって、継続的な利益で独創的な利益、世界で唯一つの製造企業…そのような利益は、他社がマネを出来ない為に高く評価されます。かたる銘柄の浜松ホトニクスのPERは、もっと高くて良いのです。このベクトルの角度が大きく、長い利益が期待できる会社が良いのですね。
さて、右はベンチャーリンクの「四季報の業績予想」です。現時点ではとても、とても…株価500円台を買う勇気は出てこない利益です。しかし契約数に見ると、回復度合いは既に明らかで、契約金が入っているせいか、他社の支援の為に第三者増資を引き受けるほど業績が回復している様子が窺えますね。故に、これまでのところ業績推移は順調のようです。
過去のベンチャーリンクのベクトルの角度は、非常に高い会社ですね。赤字から一株利益が100円、200円と加速して行きました。しかし、この間の変化が二つあります。一つは途中の倒産危機のために、発行済み株式総数が増えたこと。もう一つは契約基準から実績基準に会計を見直したこと。この二つの変化は株価変化にマイナスですが(会計が健全化されますが…)…、みずほが倒産危機に陥った年の100億円のお金の価値は、現在の500億から1000億の価値がありますね。小林氏の力と言うのはすごいのですね。故に270円の5倍から10倍の程度の株価を、かたるは期待できると考えているのです。これは感覚的な評価です。
いずれ詳しいレポートが出るでしょうね。僕も時間があれば作っても良いのですが…何しろ時間がない。既にかなりのデータは揃いつつありますからね。誰にでも作れる段階に来ています。この意味が皆さんに分かるかな?
兎も角、赤字から黒字の段階の銘柄を探し、次にベクトルを評価します。この角度の高さと長さが大きな企業が見つかったら、かたるにも教えてください。このような情報こそが、くだらないアナリストレポートより、数段、価値が上なのです。市場にはまやかしの情報が、さも大切なことのように思われていますが、意外に「真の情報」と言うのはシンプルなものなのです。マスコミ各社に取り上げられるようになったら、相場はいつもピークです。強弱感が対立するから、相場は面白いのですね。