思わぬ相場の真実が発見できる

コラム

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早まる進化のスピード(2013年06月16日)

今更ながらに、インターネットの利便性を感じている所です。株屋と言うのは技術的な評価が分からないと「未来の利益」が読めずに、苦労します。カタルは昔、日経産業新聞の記事を鵜呑みにし、痛い目に遭いました。日本ケミファと言う会社が、続々と新薬を登場させると言う観測記事が、連日掲載されていました。4日間程度だったと記憶しています。記者も日本ケミファのIR担当者から、取材しての内容なのでしょうが…。きっとウラを取らずに掲載したのでしょう。全ての新薬の市場規模が、過大に評価され掲載されていたのです。カタルもお客様に薦める以上、記者と同様に会社側のIR担当者に記事を読んでの疑問をぶつけ回答を求め、大丈夫だと判断してお客様に薦めたのですが…。一時は人気になったのですが、期待通りに株価が上昇しなかったのですね。買い始め、しばらく経ってから、おかしいな…。と感じ始め、当時、勤めていた証券会社の担当アナリストの電話をし、詳しく教えて貰ったら…理由が判明します。

その中の新薬の一つの血圧降下剤ですが、アナリストが言うには「その種類の市場規模はいくら位で、患者数や日本ケミファのプロパーの数からすれば、絶対にその数字には届かず、せいぜい売れても数億円でしょう。」…と応えていました。新聞では数十億の市場規模となっていたのです。一ケタ違っていましたね。血圧を下げる仕組みがいくつかあり、例えばカルシウム拮抗薬やアンジオテンシン変換酵素阻害薬など数種類のパターンがあり、尚且つ、その仕組みのグループには幾つかの製薬会社各社から薬が発売されており、プロパーの数に比例して薬が販売されており、既に実績が確立されていると言うのです。知識とは、こんなものですね。素人のレベルと専門家では雲泥の差があります。

カタルは新聞記事を信じたばかりに大きな失敗を犯しました。日経新聞の観測記事に引っかかったことも、良くあります。会社側の数字が発表される前に、日経新聞は良く観測記事を掲載します。あれはミツミ電機でした。好業績を掲載しているのに…、なかなか高値を抜けないのです。不思議だな…と思っていましたが…。記事掲載の2日後に、実際の数字が会社側から発表されると、その後、ミツミは2日間連続でストップ安を演じます。過大な日経新聞の業績予測記事が原因でした。

記憶に新しいのはシャープの増資観測記事でしょう。川重と同じで内紛があったのですね。だから取材ルートにより、記事が変わるのです。あれは毎日新聞が最初でしたかね。日経も盛んに、増資に焦点を充てた記事を掲載していましたね。しかし現実は先に延びています。おそらくお金は欲しいのでしょうが…それほど切迫はしてないのでしょう。IGZOの活躍で工場の稼働率も上がり始めているのでしょうね。既にアップルやサムソンの新型機への対応が始まっているのでしょう。それにLG電子の有機ELは、厳密な意味で有機ELではなく、なかなか量産によるコストの壁は破れないようです。既に10年以上の歳月が流れますね。カタルが惚れていたトッキの製造機械は、幻ですね。結局、キャノンが買収しましたが…。

皆さんは、此方の記事を読むと、予測の難しさが分かるかと思います。半導体を製造するために様々な機械設備があり、ステッパーの話が掲載され、日本人の気質が効率を落としていると言うレポートが掲載されています。ボーイングとエアバスの戦いのような構図ですね。エアバスはボーイングに性能面で劣りますが、パイロットの育成などの総合コストで勝っていると言われており、間もなくボーイングを抜き去る勢いがあります。知識的な背景がないと、カタルの記事はなかなか分かり辛いと思いますが…。

ここで言いたいのは、新聞やテレビなどの情報は、自分で価値を判断しなくてはなりません。鵜呑みにしては駄目なのですね。日本人は戦後の画一化教育により、ロボット化されています。数学の問題を解くのも例題通りに解答を導くことを教わってきました。しかし現実の解は、様々なアプローチにより解を導くことが出来ます。インターネットの記事は精査されておらず、テレビや新聞に比べると格段に精度が落ちます。その反面、多様性がありますね。情報も使い方次第なのです。

さて「スマート・コミュニティー」(未来社会)の到来の意味は、非常に曖昧で分かり辛いと思います。カタルは「情報」の生活活用だと…根底にあるものを考えて解釈しています。スマートグリッド、スマートテレビ、スマートメーター、スマートアグリなど…情報を活用するのですね。近年、センサー機能が発達し、様々な情報がデータに置き換わりコンピュータ上に眠っています。そのデータを活用することで、効率的な社会が構築されます。

分かりやすい事例を述べれば、本州四国連絡橋などは代表事例かな? むかしは、フェリーの発着時刻があり、乗り降りの手間を入れて非効率な時間を使っていましたが、今では海が荒れても好きな時に、自分の判断で四国や本州に行けますね。もし川に橋が在ったら…わざわざ遠回りして2時間も3時間もかけて迂回しなくても、あっという間に対岸に到達できます。交通の渋滞情報を活用することで、瞬時にカーナビが目的地への時間を割り出し、的確に空いている道路を教えてくれれば…、僕らは有効に時間を活用することが出来ます。手術室にロボットさえあれば、東京の名医が、離島の患者を村の診療所で直す事も出来ますね。血液の診断も同じです。マザーコンピュタさえあれば、遠隔地で採血された血液の分析データを送れば、様々な診断の可能性をスーパーコンピュータが教えてくれるようになります。「スマート・コミュニティー」、ユビキタス時代の到来ですね。

私が川重やシャープの内紛に触れたのは、取材している記者も、当事者(経営者)も、未来が分からないのですね。その中で株屋は見えない利益を予測します。だから「時代の方向性」が、如何に大切か、分かるかと思います。007が発表したウェザーニュースと東大の実験は、気象観測情報「ソラテナ」を使ったものですが、現在の技術は子供の遊び道具程度のものなのでしょう。業績にも現在は寄与しません。しかしこの技術革新はスマート・コミュニティーの発展に繋がっており、スマートアグリにもやがて応用できます。農家の悩みは、的確な温度や水分の調整などの管理なのですね。分かりますかね? 技術の広がり具合が…。カタルが007を長く、支持し続けている理由は、社名が示すようにユビキタス時代の象徴的な企業だからですね。何故、インターネットが便利かと言えば、「IEEE1888」などの知らないことを、簡単に調べる事が出来ます。ただ信頼性は低いですよ。

世の中の理論は、命題なのですね。何時だったか忘れていましたが、NHKではポアンカレ予想の特集をしていました。1904年にフランスの数学者のアンリ・ポアンカレが提起した謎ですね。世界中の数学者が、一生を掛けて謎に挑んでいます。ポアンカレ予想とは…「宇宙の中の任意の一点から長いロープを結んだロケットが宇宙を一周して戻って来たとする。ロケットがどんな軌道を描いた場合でもロープの両端を引っ張ってロープを全て回収できるようであれば、宇宙の形は概ね球体である(ドーナツ型のような穴のある形、ではない)と言えるのではないか、というのが(3次元)ポアンカレ予想の主張である。」だそうです。

何故、数学界のノーベル賞であるフィールズ賞などの話しを持ち出したかと言えば、進歩と言う本質は、仮説の中で成り立っているのです。行動とは…仮説を元にして研究して確証が得られたら、活用できるのですね。最近は素粒子の加速器の話しなどが話題になっていますが、あれは仮説を実証しようとしているのですね。発明と言う世界は、最初は、閃きと言う空想なのです。時代の流れが必要としていれば、人間はそれを創ろうとします。有機ELもやがて一般化するでしょう。壁掛けテレビも一般化しますよ。2009年に誕生したスマフォは、ユビキタス時代のスピード進化をドンドン早めています。昔なら夢に過ぎなかった技術が、あっという間に、一気に華が開く時代なのですね。

アンティキテラ島の機械の解明は、インターネット時代だから解決できたのですね。世界中の様々な学者が独自のヒントを公開することで、一人の発想が、あっという間に世界に広がるのですね。まだ20歳代の若い名古屋大学の三宅ふささんが、西暦774-775年に宇宙線が増加していたと言う発見は、瞬く間に世界中の研究者の命題になりました。誰かがインターネットの世界に、石を投げ込むと…、あっという間に、その波紋は世界に広がります。しかも双方向なのですね。時代の進化が早まる筈ですね。おそらく相場のスピード変化も、同じ原理なのでしょう。カタルは昨日、運動エネルギーの話をしました。質量と速さの2乗が運動エネルギーの源なのですね。つまりベクトルの世界の話です。相場とベクトルの話は実に面白いのですが、長くなるから今日は止めましょう。

とりとめない話題に、皆さんは感じるものがあったでしょうか?