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コラム

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政策は市場経済に適応したのか…(2013年06月09日)

皆さんの動揺が伝わってくるようで…市場原理主義の性格をもっと知っておいた方が良いのでしょう。最近、民主党の海江田さんが安倍さんに『1人当たり国民総所得を10年後に150万円以上増やすとの目標について「非常に誤解を招く、あえて勘違いを狙った表現だ。総所得だから企業のもうけも入っている。言葉のマジックで国民に誤解を与えることはやめてほしい」と批判した。また、株式市場の乱高下に関し「どう感じているのか、首相の直接の言葉を聞きたい」と強調。衆院予算委員会の集中審議を与党が拒んでいることに触れ、「安倍さんを隠していると感じざるを得ない」とけん制した。』と報道されています。安倍さんがアベノミクスの成果として、円安と株高を述べたことに対し、最近の市場の動揺を焦点に、選挙戦への発言をしています。

へぇ~。日本の政治家も株価の動きを議論の対象にするようになったのか…と感心しました。日銀総裁だった三重野さんは、株や土地が下がっても経済に影響はないと述べた時代から20年ぐらいが経過し、ようやくグローバル環境下に、システムが移行し始めたようにも感じています。「株価は全てを知っている」この効率的市場仮説の考え方は、市場経済下では命題になっており、過去の事例では概ね正しいのでしょう。世界恐慌を反省の糧として、金融危機の動揺を鎮めるために、FRBは量的緩和政策を実施し株価を支えました。資産価格が劣化すると、国際会計基準では減損会計を実行しなくてはなりません。株価や土地などの資産価格の現実化を、会計上で反映させます。工場や機械設備も、買収した会社の「のれん代」も含め、会計に反映させるのですね。例えば日本航空のジャンボ機(747-400)は、実に1671億円の評価損を問われました。基本的に飛行機の減価償却費は毎年計上するのですが、時代の変遷で陳腐化し市場価値がなくなっても、日本航空は会計上の減損会計をせずに投資家を騙していました。シャープが最近、市場から問われた動きは、工場の稼働率の問題です。稼働率が落ちれば、工場の減損会計を会計事務所から求められるわけです。そうすると数千億円もかけて建設した工場の価値が失われますね。グリーにも買収した会社の価値が、果たして正しかったかどうか…会計士により、意見が分かれるのでしょう。計画通り進んでないと、常にのれん代の処理の仕方も問題になってきます。まぁ、極端な話、昨日まで価値があった品物が、ある日突然価値を失う訳ですね。馬券のような存在だと言う考え方です。

日本は長い期間、デフレ経済を続けてきました。理由はバブル期の処理ですね。昨日、掲げたダヴィンチの創業が1998年という事は、その時期に我が国の地価が収益還元法価格になったわけです。つまり金利水準を考えて地価を買って投資しても採算利回りになったわけです。ダヴィンチの金子さんは非常に優秀で、外資から資金導入をして日本の不良債権物件の中から、投資利回りに合う物件を安値で買ってきたのですね。大手銀行が不良債権処理を急ぐあまり、市価の1/2や1/3で投げ売りした物件を買って、収益を上げてきました。ところが拡大し続けるはずのタイミングが、不幸にも逆風に変わり上場廃止に追い込まれました。アベノミクスが成功するならダヴィンチは再上場するのでしょう。

ながなが昨日の続きを書いていますが、政治家が市場原理主義に沿った考え方をするなら日本は大丈夫ですね。市場は常に政策を監視しています。今回は為替の変動にも拘らず、自動車などの生産が日本に回帰しない現実を、安倍政権に示しており、同時に財政問題の片手不足を、市場は問うているのでしょう。参考に本日の日経新聞の「製造業は国内に戻るか」11面や、12面の「日立は復活したか」の記事は面白かったです。ハードではなくソフトなのですね。キャノンが成長したのはプリンターを安く販売し、インクや保守などのランニングコストで儲けを出す仕組みを構築したことですね。しかし最近、インクもネットで安い海外ものを買う事が出来るようになりました。この考え方は携帯電話会社の高い収益性もそうですね。一度、インフラを構築すれば、後は全て儲けです。

カタルが昨日、ケネディクスを掲げた意味をお分かりいただけますね。健全な経済では資産効果は非常に重要なのです。日本の製造業にとって、安い電力や生産を支える物流環境、更に生産を支える町工場などの仕組みが非常に重要なのですが、長年のデフレ環境で製造業の基盤が失われていますね。だからきっと失われた製造業の回帰を目指すには、遅すぎたのでしょう。アークの動きは、その事を示唆しているのかもしれません。そうなるとホンダの伊藤さんが述べているビックデータの活用が、ITS(高度交通システム)の利用と絡み、先進国に相応しい方向性を示しています。ユビキタス社会への対応ですね。日本は高度な物流システムが存在し、宅急便のネット管理など素晴らしいですね。自分が送った品物が、何時頃に着くかも分かりますし、今、どこにあるかもわかります。最近では、バスの現在位置情報などを、スマフォで観る事が出来ますね。バス停で待つ時間がなくなります。

人間の行動時間が、より効率的になれば、新興国の人件費に対抗できるようになります。先日、三菱電機の冷蔵庫の製氷機が壊れ、電話したら翌日に修理に来てくれ、尚且つ、修理費は無料でした。何故かな? きっとリコールの対象製造品だったのかもしれません。しかし迅速なこのような対応が、ウリになるなら日本製品は世界で売れますね。その意味で最近のドコモのスマフォの使い方を教えてくれる遠隔サービスは、面白いアイディアです。採算に乗せられるかどうか分かりませんが、通話料の定量性なども打ち出し、日本は進化を続けますね。捨てたものじゃありません。確かに、東芝のテレビの4K対応などは必要な技術でしょうが、同時に本日の東レの増田さんの発言は、重要です。「技術に勝っても顧客に支持されて富を生まなければ、本当のイノベーションではない」この発言は、東レは必ずコマツのような推移を歩むと言う証にも感じられます。今はまだ早いのでしょうが…来年にはコマツのような相場が期待できるかもしれませんね。

メールが多くなっていますが、ドル平均法投資の意味や、自分の力量の考え方、更に株は株価を買うのではないのですね。相場観より投資術を磨かないと株式投資では儲かりませんよ。自分の技量を知ることですね。メールを拝見していると、どうも心配です。…と言っても、カタルもまだ会得しているとは言えませんが、最近、カタルはこの事に気付いたのですね。基本はお休みなのです。何度も申し上げていますが難しい時期ですよ。今考えられる最善策は「ケネディクス」4321なのですが、黒田さんは本当に市場原理主義者なのか?異次元緩和は期待を超えましたが…果たして、本物かどうかの真価を市場から問われています。新興株の2段下げは、ある意味で容認です。相場のエリオットの波動論からすれば、当たり前の動きです。一般株の2段下げも予想され、黒田さんの対応が重要になりますね。しかし基本は、株は株価で買うものではなく、時間概念で投資判断をすべきなのでしょうね。きっと…ある意味で決算発表が転機になったアノマリーの現実は、予想されていたもので、当然なのです。果たして期待通り収益が出てくるのかどうか…。秋になれば分かり始めますね。早くからカタルは、マツダは最高利益水準を買っており、秋までお休みトヨタも同じだと述べていました。しかし現実は期待感が強く、その後も株価は上昇しましたね。

007はもう心配をする株価水準ではありませんが、時間概念が不足していますね。僕は前から述べているように、来年の2月になれば裏付けが見え始めると考えています。しかし小型株なので、ある日突然、始まることもあります。2010年の時は、全体相場は全く、駄目相場だったのですが、あっという間に、株価は5倍程度になったのですね。時代の技術革新の進歩は速く、特にユビキタス社会が到来し始めており、ホンダの伊藤さんに発言にあるように、ビッグデータの活用が問われています。何も大型のスーパーコンピュタなど必要ないはずですね。スマフォに組み込むソフトはSQLでも充分なはずです。村田と協業したという事は、3年の開発が、半年になるのでしょう。第一弾が5月なら、次は11月頃かな?とも考えています。やはりいつまでも、僕の中ではピカ一の存在に変わりありません。