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コラム

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チャレンジ(2013年05月06日)

幾つかの事象には、注意を払わねばなりません。例えば「中国人民銀行(中央銀行)の劉士余・副総裁は、国営5大銀行が現在のペースで資産拡大を続ければ、2014年には5行合わせて405億元(約6400億円)の資本不足が生じるとの見方を示した。」と言う記事などですね。中国は固定資本形成の割合が高く、日本同様に投資が空回りしている可能性がありますね。地方政府は莫大な借金で投資をしている訳で目に見えない不良債権が積み上がっている可能性があります。一番いい事例は高炉建設などが盛んで、一時、鉄鉱石価格が暴騰しバルチック海運指数が大きく跳ね上がりました。ところが今では鉄は余っています。この根底の理由は無計画の投資ですね。日本も無駄な公共事業投資から、なかなか構造転換できず、失われた時代の要因にもなっています。その為に必要なデータを集め、分析する必要がありますね。しかし長年続けてきた公共事業投資が多くの人の雇用を支え、構造転換しようにも、なかなか体質転換ができなかったのです。結果、無駄な投資を続けてきました。株と同じで常に市場を見ながら、自分の考えを修正することは、なかなか難しいのです。カタルの失敗を検証すると、自分の考えに固執する癖がありますね。この辺りの修正は、常に必要です。

FRBが更なる資本増強を問い、欧州は青色吐息ですが…この動きに絡み米国は2006年当時の日本の段階に差し掛かります。金融危機が起こる前に、日本ではマネタリーベースの縮小に取り掛かりましたが、基本的に前年比でマイナスにさせるのはどうか?…と考えています。経済は常に拡大を続け、その拡大を支えるのは、お金の量ですね。そのお金を絞れば、当然、経済活動は縮小するのが道理です。故に今年のFRBの動向から米国経済の行方は、財政の崖の影響もあり注意が怠れません。そんな中で中国の人民銀行副総裁の話は、やはり気になる材料なのです。

日本経済新聞の景気指標欄に、1年以内に円安が終了すると言うアンケートは、ある意味でアベノミクスの副作用を心配する声でしょう。金融緩和、財政出動、新産業戦略とうまく機能し設備投資に火がつけば良いですが、海外からの国内への直接投資は、依然低く、日本には大きな壁がありますね。ヘッジファンドは悪者とのイメージが定着しています。西武鉄道の事例を見れば分かりますね。ヘッジファンドは基本的に資本原理に合っていない非効率な経営を実施しているから介入され、それを建て直し、効率企業に変えて鞘を取るビジネスです。それをNHKなどが「はげたか」などと…一方的な解釈で報じるものだから、日本人の認識に間違った概念を植え付けています。だから、なかなか構造転換が出来ないのです。日立を見れば分かります。捨てる事をしないとなりませんね。企業は常に規模拡大より、効率化に主眼を置き、営業利益が5%未満の事業は捨てねばなりません。日本は少子高齢化を迎え、少ない人間で多くの年金生活者を養わねばなりません。つまり成長力を上げないと、この壁を乗り切れないのです。

この認識がメディアにないのです。日経新聞は反省をしなくてはなりませんね。日経新聞と言う会社に、理念があるのかどうか…非常に疑わしいのです。日本ではROEの概念に基づいて経営をしている経営者は、存在感が薄いですね。それよりは規模拡大に主眼を置いているようです。常に売り上げ重視ですね。ここが問題です。売り上げより、如何に儲けるかどうかです。自社の技術を安く売り叩くべきではありません。アップルを見れば分かります。トヨタは利幅の薄い軽や大衆車を売るべきなのでしょうか? 何故、好調な米国販売において4月にトヨタは前年度比で微増なのでしょう。4月は利幅の大きなピックアップトラックが主流だったと言いますが…明らかに経営戦略ミスですね。日本のどの企業にも言えますが、マーケティングや情報に対する意識が希薄です。トヨタは利幅の大きな高級車は、国内で製造し輸出すると3年ほど前に述べていましたが、今年は米国でも生産を拡大するとか…。何か戦略がチグハグな印象を受けます。

視聴率を重視するメディアは、売り上げを重視する構造に見えます。質の高いコンテンツを如何に揃えるか?だんだんソフト資産も、質に拘るようになるでしょう。情報が溢れると…人間は時間の密度を上げようとします。株式投資に似ていますね。カタルは依然、金融株の水準が安いと考えています。三菱UFJの市場評価は低すぎますね。ユニオンバンカル・コーポレーションの行く末は、非常に注目されます。三井住友はインドネシアなどの新興国に力を注ぐのでしょうか? 企業戦略は興味深いものがあります。話しがそれましたが…、カタルは三菱UFJを買ったことがありません。しかし証券マン時代は、こればかり薦めていましたね。500円の三菱UFJは非常に安く感じたのです。故に機会があるたびに、薦める銘柄は三菱UFJでした。その株が300円台ですから…驚きです。本来なら…どう考えても800円から1000円台の株です。でもカタルは買わなかった。それは資金効率の問題ですね。もし運用資産が数百億円もあれば、絶対に欠くことができない中核銘柄になったでしょう。でも僅かな資金では、常にハイリターンを狙い効率投資を目指します。

ROEの論理です。ROEは無借金経営を嫌います。今のように金利が低いなら…自分達のビジネスで10%の利幅が得られるなら、借り入れをして事業を拡大させ利益を更に上げるべきですね。全ての選択肢を用い経営に邁進する。ソフトバンクは過大な借入により、事業を拡大させようとしています。ところがパナソニックは無借金を目指すとか…。松下銀行と言われた時代、日本で殿様に据えられた間違った概念から、なかなか抜け出せていません。だから壊れたのでしょう。「挑戦」の文字も感じられない企業に成り下がりましたね。信用取引を利用し株式投資をしていた松下幸之助が草葉の陰で嘆いていますよ。

松下は長年、4ケタを割る事が無かったのに、守りに入っているから落ちぶれるのです。サラリーマン経営者の悲劇ですね。日立も同じでした。しかし日立は最近、少し変化していますね。時代が日立に追い風なのです。この追い風を生かす事が出来るかどうか…。富士フイルムの変遷を見ると、企業と言うのは、時代に合わせ変化するのだな…改めて認識させられます。時間があれば…こちらを覗いてみるのも面白いでしょう。今日は新聞からの雑談でしたね。本当は企業業績の話しの方が、面白かったかな? でも決算数字が本格化するのは、これからです。ここで重要なことは、人間の心は前期の数字に左右されやすいですが、今期への変化率を感じられるかどうかが、今後の株価動向に変化を与えるのですね。この事に気を付けて相場を見て下さいね。