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3Qの謎「2」(2013年04月29日)
今日は3Qの謎をテーマに…株価と業績の時間軸について考えてみます。3Qの謎とは…3Q発表時に減額修正をした業績が正しいのかどうか?…と言うものですね。株価を決めるのは企業業績数字の絶対値ではなく、業績の変化率の方が株価に与える影響は大きいと述べました。多くの人が間違えるのはこの点です。だからPERが割安だとか…の説明文を掲げ株価を評価します。しかし実際の株価は業績の数字の水準ではなく、むしろ未来の業績の行方に関心が向かいます。だからカタルはいつも「見えない利益」の話をしていたのです。新聞に踊る数字は前期のものです。既に終わった話で2ケタ増益とか書いてありますね。株式市場では既に株価の評価が済んだ過去の話が載っている訳です。

そこで「3Qの謎」にカタルが注目したのは、そもそも3Qの減額修正は間違っていたのではないか…と言う疑問です。JVCケンウッドは海外資金の借り入れの為替評価と言う特別損失、アークも子会社の整理損と言う一時費用の発生による減益を元に、四季報では今期(2014.3)の数字を予測しています。この数字は劇的な環境変化により、そもそも増益になる筈ではないか?…と考えている訳です。何れの企業も円安の恩恵を受けるはずの業態です。ところが株価は前回の四季報予想と今回の四季報予想のギャップが大きかったために株価が下げていました。まぁ、下値横這いと言う表現の方が正しいかな?この間に他の株は2倍にも3倍にもなったのですが、3Q時点の減額修正が響き、株価は物色に圏外だったのですね。ところがその前提条件が間違っていた。…となれば、株価はその修正に動く筈ですね。この事が謎となっている為に「3Qの謎」と呼んでいたのです。

アークは、その疑問に応え始めています。つまりカタルの読みを、市場は認知し始めていますね。それならばJVCケンウッドもグリーもその時期が到来している筈と言う仮説が成り立ちます。皆さんは間違っています。新聞の表現に踊っていますね。既に証券会社の好業績も株価に織り込まれているのです。この時期は心理的にどうしても前期の結果に心が引きずられます。しかし既に前期は終了して、今期、つまり2014年3月の数字が問題になる訳で、2013年3月の数字と2014年3月の数字の変化率が問題になるのですね。この認識が必要です。そこで木曜日に発表されたJVCケンウッドを見ると前期の決算を再減額修正しました。それはこの間に再び円安が進み海外の借入残高が増えた為に為替の評価損を計上したのですね。前期時点でこのポジションを解消したようです。つまり国内の借り入れに切り替えたのでしょう。しかしここで注目して欲しいのは、今期の四季報の予想数字を、会社側の予想が上回っていると言う点です。つまり円安効果が見込まれ企業業績も改善されるのでしょう。
ここで業績推移の方向性が問題になります。今までは3Q発表時点では減額方向だったものが…4Qの発表の時点では2014.3月の数字が、増額方向に方向転換したのですね。業績の谷を抜けたから再減額修正にもかかわらず5円配当を維持すると発表したのでしょう。つまり会社側は、今後の数字に自信を持っているのでしょう。そうでなければ、配当を減額しますね。おそらく7月末から8月に掛け発表される1Qでは、この動きが再確認されるのでしょう。そうなれば株価は騰がる方向になります。JVCケンウッドの魅力はカーナビが主力で最も好調な業界である自動車業界に大きく影響を受けます。更に…株価マジックです。1/10に株式が併合されています。昔は300円が地相場のケンウッド、つまりその会社の価値があるのに、今は20円から30円の間の評価だと言う点ですね。昔の株価で、おそらく50円には評価が変わるのでしょう。つまり今の株価では500円台が正統な評価なのでしょう。この想定株価とのギャップは、およそ2倍あります。だから何処かで株価の再評価が実施されます。ただ最高裁での裁判を抱え、この金額は僅かなのですが不確定要素もあります。通常は会計法の保守的な観念からして、既に金融庁からの指摘があった段階で、その損失を業績数字に反映させ損金の積み立てをしている筈ですが…果たして損金処理をしているかどうか、この辺りは調べていませんが、金額から見て株価に大きな影響を与えるものではありません。金曜日の前期の数字を受けての株価下落は間違った動きで修正されると考えています。今日はJVCケンウッドの解説ではありませんから、この程度にして…。
あくまでも、今は、この時期の業績と株価の考え方を示したものです。つまり前期の数字に惑わされないように…。見えない利益の評価は、これから実感として追々理解されると思います。今回、発表される今期予想の数字は、時間的な概念が長く本来は予測が難しいので、企業は非常に保守的な数字を発表します。マツダが決算予想の数字を弾き出す前提に、為替を90円にしたように…通常のサラリーマン経営者は、チャレンジ精神がないですからね。この時期に今期を100円と読むのは、輸入業者の電力やガスのような経営者でしょう。この前提数字を見ただけでも、どんな経営者か…性格の予想はつきますね。アナリストは色んな観点から、会社の姿勢を見抜き数字を予想して行きます。しかし会計法の糊代は非常に大きく、マジックは至るとこに存在しますから…数字を的確に当てるのは難しいですね。在庫管理だけでも大きく利益は変化します。だから今のこの時期は利益を隠す傾向にあるのでしょう。
最近、野村証券のCMが多くなっていませんか? 至る所に…決算数字のマジックは存在します。「3Qの謎」、つまり、かたるは環境が好転し、前回発表した四季報数字の方が、今期の予想として正しいのではないか?と言う仮説を支持している訳です。その予想数字を元に、株価を推測した方が正しいのではないかと思っています。だからアークやJVCケンウッドはこれから物色されるはずです。