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3Qの謎(2013年04月28日)

今日はカタル銘柄で、出遅れているグリーとJVCケンウッド、それに「3Qの謎」のもう一銘柄のアークですね。何れも3Qの決算発表時に減額修正した会社です。JVCケンウッドは木曜日かな? つまり金曜日の相場に、再減額修正の影響を受け株価が下げていました。この3銘柄のなかでグリーは少し違いますが、アークとJCVケンウッドは前四季報数字から浮上した銘柄でカタル銘柄に取り上げる前の候補だったのです。アークの解説は省きますね。上がJVCケンウッドの前の四季報の業績予想数字と、下は今回の四季報数字、更に決算発表を受けた数字を列挙しています。

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ケンウッドは昔から仕手性の強い会社で、株価は常に200円割れが安値で、通常は300円台の株価でした。しかしその後の度重なる増資の結果、株式総数が増え2010年に株式を併合し1/10になりました。つまり現状の株価の200円台は、前の株主にとっては20円台という事です。更に2011年11月に355円で公募増資を実施しています。パナソニックから財務内容の良かったビクターを引き取りリストラに乗り出しました。パナソニックにとってはビクターの社員を首切りすることは出来なかったのでしょう。その構造改革が、そろそろ終了するわけです。まぁ、ある意味で空洞化の洗礼を受けたアークと置かれた環境は似ています。ケンウッドの主力工場は山形や長野にあります。一連のリストラが完了すれば株価は戻ると考えています。今回の3Qから再減額は海外からの借り入れの為替差損が主要因で一時的な損失と判断されます。それよりはシンワとの資本提携などのカービジネスへのOEM供給の将来性や米国経済回復による業務用製品の回復などの背景を考えると…純資産以下の評価ではないでしょう。

外資系の資本家による経営らしく減額修正にもかかわらず5円配当を実施するようで、既にリストラから成長段階に移行しているのでしょう。今回のような若干の修正は仕方ないのでしょう。しかし経営者はやはり3流ですね。ソフトバンクがスプリントの買収を決めたのは昨年10月ですから…その時点では、既に円安はある意味で確定していたはずです。だから孫氏は買収金額の為替予約を入れていたわけで…優秀な経営者なら海外からの借り入れを返済し、国内の金融機関からの借り入れに振り替えますね。この辺りがマダマダです。本来、JVCケンウッドは円安メリットを受け易い体質の筈です。

さて「3Qの謎」の意味は、業績の回復が確定しているときに、株価が反応する時期の話しなのですね。今の時期はアベノミクスの影響を受け、業績が大きく伸びる株が先ず買われます。証券株やマツダ等の自動車株が買われるのは当たり前の話です。しかし株価は、今期の業績数字の伸びを既に大部分は評価して反応しています。だから余程のビッグ・サプライズがないと、株価がさらに上に買われることはありません。そこで昨日は見えない利益の話しをしたのです。株価が反応するのは変化率だと言う点です。3Qで減額修正をして、この3か月に業務環境が大きく変わり株価が買われていない企業が、今期、つまりまだ、だいぶ先の1年後の2014年3月の数字を意識するのが…この時期です。だからこそ、前期に特別損失を押し込んで、今期の数字に寄与させたアークが反応したのですね。株価が150円から360円まで変化しました。しかしこの変化は、まだ充分に株価に織り込まれていませんね。4Qである前期の正式発表から今期、つまり来年3月の予想により株価が動くようになります。だからこの4Qの発表から、1Qにかけて更に変化できる企業の株が狙い目になりますね。

「3Qの謎」とは…1月の時点で、それまでの予想を減額したのは間違いではないか?…と言う仮説ですね。もともと前の四季報数字が正しい可能性があると言う推測が成り立つのです。アークにしても特別損失、JVCケンウッドも同じような要因です。アークはリストラ費用の前期への押し込みですね。覚えていますかね? 日産自動車のリバイバルプランを…あの時はドラスティックなV字型回復が実現され、株価は大きく上がりました。あの手法に似ていますね。本来なら、今期にズレる費用を回復が分かっているから、前期に無理やり付け替えた手法を連想したのですね。アークは似ています。だから4Qの発表より1Qの時点では、増額修正がより鮮明になるのではないか?との推測が株価を支えます。つまりカタルが目標値とした750円に向け、これから再評価が起こると言う読みです。

同時期に同じような手法でJVCケンウッドは海外借り入れ為替損失を計上しました。しかし同社が主力に扱っているカーナビなどは飛躍的に販売が伸びる好環境下にあります。米国だけでなく中国もそうですね。JVCケンウッドはOEMですね。中国自動車メーカーにも販売しているのでしょう。インドネシアが好調なダイハツもそうですね。「先進国への回帰」は、ボストン・マラソンテロで威力を発揮した監視カメラ映像への需要は更に高まるでしょう。同社は業務用に監視カメラを供給しています。何となく企業の置かれた環境は大きく改善しそうですね。シンワと言う会社はカーナビを得て、パネルの一体化が実現するのでしょう。付加価値が更に高まります。音響のビクターも何となく相乗効果が発揮できる環境に感じられますね。

あまり多くを語りませんがアークと似ています。つまり「3Qの謎」とは…業績の動向と株価の動きの関係を述べているのです。カタルの最後の壁が、上がる株は分かっているが…時期が分からないと述べています。グリーもある意味で、そのタイプです。明らかにガンホーは買われ過ぎですよ。きっと背景があるのでしょう。株が上がる為には仕掛け人の存在が不可欠で…、企業業績の推移と社会環境とマッチしている所に、株価を持ち上げようとする実行部隊の存在が不可欠なのですね。「3Qの謎」は外部環境がアベノミクスで好転しているのに…何故、減額修正されたか? 株価が下がり正常な評価とのギャップは開くばかりで…そのかい離幅が更に広がっています。だから何かの切っ掛けで、その乖離が修正されるのですね。乖離が開くほど株価を押し上げるエネルギーは高くなります。

まぁ、前期の数字が明らかになり、今期の関心が移るこの段階で大切なのは…業績の良くなった企業の話しではなく、来年の3月に向け業績の変化率が高い企業を探す事なのですね。だから金融相場の第一ステージは終了し相場に変化が生まれますから、カタルは元本の引上げを何度か述べています。そうして今の時期は投資額を縮小させなくてはなりません。それは流れが変わるからです。流れが変わるときには、僕らのように来年を見てない投資家が多く、変化に対応できないと相場全体が下がることがあります。ただクロトン効果がどの程度、影響するかは未定ですね。だから安全に固執する必要はないかもしれません。投信の募集は順調のようで…高くなった株価を支える援軍は、次々に出て来るかもしれませんね。そうなると…6月のボーナスシーズンまで循環物色は続くかもしれません。この辺の感覚は相場を見ながら判断するわけです。

何故、カタルが007を除いて、アークも、JVCケンウッドも、グリーも全て株価位置が低い銘柄(相場が若い)を選択しているかの…意味がこのような解説を読めば、自ずと皆さんにも理解されるでしょう。