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正義と天秤(2013年03月31日)
今日はカタルの以前からの仮説である「新興国から先進国への里帰り説」を解説しようと思いましたが、その前に準備作業が必要のようです。
この説は金融デリバティブの発展により、先進国から新興国に流れた資金を糧に、新興国の成長率が高まり、躍進したBRICsの誕生を支えたのは、金融デリバティブの発展であったと言う考えが前提になっています。(現在起こっているキプロス騒動も、この流れの中に存在します。)この資金の流れが、新興国と先進国の溝をかなり埋めたので、今度は、流動性の供給拡大などにより、この資金循環が新しい経済の潮流を生み、先進国へ帰ると言うカタルの「先進国への揺り戻し」説に繋がっています。この話を裏付ける現象として、インドネシアの財政赤字問題からルピアが売られたのは、その流れの一環だろうとも…考えていたわけです。そんな中で、先日、3/26日経夕刊に登場した「比較優位と空洞化」と言う法政大学の渡部亮教授の十字路の原稿に、カタルの説との関連性を感じ…(調べたら、彼は野村総研の出身なのですね。第一生命とも人脈があるらしくコラムを書いていました。このシリーズはなかなか面白そうなので…時間があれば読んでみたいと考えています。)このコラムは、僕の仮説を裏付けるものであるように感じて、自分で調べる必要性を感じた訳です。僕の頭の中の想像を、膨らませる貴重なパーツになるので、頭の中を整理しておく必要性があります。だから皆さんには、少し難しいかもしれません。でも敢えて、解説に挑戦することで、僕の頭の中を整理できますからね。その為に、このレポートを書き始めた訳です。
僕はレポートを書くに辺り、目的は有望な株が見つかれば良いだけの話しなのですが…。その前提になる経済環境は、非常に大切なのですね。「失われた時代」と言われるように、日本は「選択ミス」を連発しています。カタルが何度も引き合いに出している澄田日銀元総裁から三重野元総裁達の経済運営は、明治以来、培ってきた日本の富を失う元凶になっています。加えて最近では2006年の選択なども…その実例の一つです。この辺りの背景がわからないと、カタルが、普段、述べている株の解説も理解できないのですね。日経夕刊の比較優位は、リカードの学説に起因していますが、僕の読者のレベルが、どの程度の知識レベルか? 対象としている年代もネットでは見えず、何処に焦点を充て解説するか…は難しいものがあります。ここ、しばらく007の解説をしていますが、年金生活者が冒険するのは限度があります。自分でリスク・コントロールが出来ますか? 問題は此処なのですね。ただ冒険をしなければ果実を得られないのも事実です。この選択は難しい。Jトラストは度々引き合いに出すカタル銘柄の一つですが…カタルも当初は、ボロの仕手株と考えていました。それはバックの人脈が、その筋だからです。しかし僕が注目した眉唾とも思えた一株利益が維持され、だんだん本物の株価になってきましたね。この推移は007にも似ています。この背景を理解しないと、なかなか銘柄の素質は見抜けません。
冒険に多額の資金を投じる人間は、本来は、まともではありません。一般的には…です。金持ちは日本の税制では、なかなか誕生しづらいのですが、少なくとも3世代はかかると言われています。初代が松下幸之助でも、盛田昭夫さんでも、豊田佐吉さんでもそうなのですが…最初の基礎を築いた人は、様々な選択を強いられます。その選択が正しくとも、時代背景で敗れることもあります。この辺りの感覚が分からないと…なかなか株の本質を知ることが出来ません。そこで正義とは…何か? 選択とは何か?と言う背景を、今日は考えてみたいと思っています。
日本の弁護士バッジには、秤がデザインされていますが、ひまわりは正義と自由を、秤は公正と平等を意味しており、弁護士は自由と正義、公正と平等を追い求めることを表しているといわれています。この秤の起源はエジプトの死者の書にあるようで、正義のシンボルとされてきました。関心のある方は此方を読まれると…ある程度は背景が分かります。この「正義を決めるのは我々だ…」との暴言を吐いた東京地検、ホリエモンが逮捕され、江副さんが挫折したのは…何故なのでしょう。三木谷さんや孫さんは生きながらえて、日本の社会秩序の淵を歩んでいますね。同様に野球のイチロウやAKB48の秋元康さんは自分自信との戦いに、限界まで向かい合っている人達なのでしょう。一流と呼ばれる領域を維持するのは大変な努力が必要です。それこそ超人的なスケジュールをこなし、自分の限界を超えた能力を常に追求されるのでしょう。その選択を成し遂げても社会環境に恵まれないと、ホリエモンや江副さんのようになります。この違いは紙一重なのでしょう。
ホリエモンの経緯は、皆さんが良く知っているでしょうが、江副さんのケースはあまり知らないでしょう。一般的な事件の概要は此方から…。ホリエモンとよく似たケースです。しかしその内部事情は分からない人も、多く居るでしょうから、山本清治さんが書かれている此方のブログが良いでしょうか? 清ちゃんも良い素質を持った証券マンでした。僕と似ていますね。株をこよなく愛し、僕ぐらいの株好きは、どの証券会社にも、昔は多く居ました。昔の和光証券は相場の創り方が上手く有名でしたね。その為に僕も和光に憧れ、興銀常務の杉下さんの伝手で、和光の歩合セールスになったのですが…。清ちゃんはその裏舞台を支えた生き証人だから、彼の発言は本物ですよ。株屋らしく話がいつも大きくなりますが…。リクルートの事件などの判断は、難しい選択ですね。
あの時に地検が潰さなければ、日本の労働環境の仕組みが変わっていたかもしれないのです。ホリエモンの場合もそうですね。フジテレビの買収の背景を考えると日枝さんだって、取締役会で突然、鹿内一族を闇討ちにした裏切り者と言う説がありましたね。なにも権力を誇示しなくて、もしライブドアとフジテレビが合併していたら、今頃はインターネットテレビのソフト会社が誕生し、世界を席巻していたかもしれません。ネットとテレビの融合は避けて通れませんからね。歴史の選択は面白いものです。皆さんは知らないでしょうが、僕は日興証券の人と付き合いがあり、松下幸之助は信用取引をしており、何度か追証に追い込まれたそうです。実話ですよ。あの経営の神様と呼ばれる松下幸之助は…相場に手を染めていました。日興証券のTさんの話です。そのTさんのお客さんでホンダの一次下請けの親父さんは、ホンダの内部情報を手にして、ホンダを大量に買いまくっており、彼は日興でトップセールスマンに輝いたこともあります。まぁ、昔は、こんなものです。
僕の知り合いだった岡三のKさんの得意先は、藤田商店でした。マックの創設者ですね。
小説ではなく、真実は「正義の認識」は、紙一重なのですね。この辺りの感覚が分からないと株の神髄と言うか…見極めの意味は、なかなか理解されないでしょう。だから加藤あきらは、よく神社に御参りをしていました。天の神の裁きがどちらに転ぶかは…僅かに違いなのです。その違いは天気かも知れません。たまたま雨が降ったので、時間をずらしたことが成功に繋がるケースもあるでしょう。よく破たんしたヘッジファンドのマネージャーが、あと一日あれば事態は変わっていたのに…という事があります。相場の世界はそんな運にも左右されます。人間の感情などは微妙なものなのですね。今日の冒頭は厳格な学説などの話しから入りましたが、リクルート事件の認定は、当たり前だった常識が、ある日、突然、認知されなくなる事件でした。「死者の書」に出てくる天秤は、僅かな違いのバランスが保たれているのでしょう。相場のシナリオも似たところがあります。