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バックボーン(2013年02月24日)

今日の日経新聞を読むと…ロシアから電力を直接輸入する構想が書かれています。皆さんはこの記事から何を連想するでしょう。カタルは超電導線を想像し住友電工の株価水準は何処に位置しているか?調べてみました。同時に市場人気の高い古河電工も株価水準を確かめた次第です。一つの動機が様々な連想を生み行動に繋がる。これが乗数効果とも言われるものですね。人間は突然の臨時収入が在ったりすると何かの消費行動に繋がります。株が上がって儲かると消費が増えますね。ところが株が下がると追証が必要になり可処分所得が減りますから消費も控えます。この現象が資産デフレの悪です。アベノミクスの効用は非常に大きいのです。基本的に日本は長い間、バブルの反省をして地価を大きく下げました。今では土地の価格は収益還元法価格、つまり採算に会う利回り投資になっています。

今の時代は全ての資産が妥当価格を、下回っている状態です。つまりお金が合っても正常に働かない状態ですね。通常、お金は高い利回りを求めて動きますが、少しでもリスクが存在すると、僅かなリスクを嫌い行動が制限されているのです。その原因は冒険する人間を社会から叩き出した為です。どの会社にも行動する人間が減っています。マニュアルがおかしいと思っても、マニュアルを守る社会構造になり、人間が自ら考えて行動する尊厳を規制したためです。三和銀行、UFJの事件はその象徴的な現象です。僕はマネタリスト的な考え方ですが、竹中平蔵の行う改革をやり過ぎだとあの時に批判しました。UFJの自己査定を強引に歪め、不良債権認定をした為です。その為に鐘紡も解体され消えました。何故、民間に委ねかったのでしょう。あの処理過程には、常に利権が絡み動いたように感じています。全ての根源は郵政が抱える財政投融資資金ですね。

どの世界でも異端者が存在し社会のダニもいますが、やくざにもやくざの論理があったのです。いわゆる任侠の世界ですね。武士道と言っても良いでしょう。全てを否定するマニュアル社会の風潮はなかなか消えません。DeNAがSNSで叩かれ、グリーはコンプガチャで叩かれ、サラ金の過払い認定の異常な解釈など…。これでもか、これでもか…と社会に画一化を強要してきました。息が出来ないくらいに…。バブル崩壊も桃源社や秀和などに留めるなら分かりますが…。百歩譲り、日債銀、長銀など拓銀レベルならまだしも…。しかし現実はUFJまで広げたのが正しかったのかどうか意見は対立します。いっそうの事、日本国をすべて米国マニュアルに移行した方が、どれほど素晴らしいか…。米国は復活が出来る社会構造ですが、日本はこの復活でできない社会になっています。NHKの「いつか陽のあたる場所で」と言うドラマの現実は常に存在します。刑事罰だけでなく民事の世界でも…。米国は破産してもやり直しがきくし、税金が7年もさかのぼって請求できるなんて、すばらしいですね。失敗してもやり直せるチャンスがあります。

社会にユトリがない日本は、面白味がないのです。ユトリとは…バブル期に生まれるのですね。米国は今、難しい時期に差し掛かっています。過去、日銀はこの過程で何度も同じ失敗を繰り返しています。バーナンキが批判に耐え、緩和を続けることができるかどうか…見ものですよ。ブツブツの薪ストーブの暖炉の話を何度か用いています。ストーブが冷えている最初の時は、薪を何本も入れて暖めねばなりません。少し暑いと感じるくらいまで…燃やし続けるわけです。完全に暖まれば後はセーブしても良いわけです。しかし米国も金融危機の反省がありますから…どうなるか分かりません。今の注目の焦点の一つです。此方の話題は良く紹介されますが、インドの外資規制緩和の話はあまり伝わっていません。ここが日本の弱点ですね。メディアの馬鹿さ加減が、良く分かります。中国を上回る大国のインドの動向は非常に重要な世界経済の要素の一つですよ。弱小のヨーロッパの個別国を取材するならインドの取材陣容を拡大させるべきですね。僕は1月号の雑誌「選択」の記事でこの動向を知った次第です。日経新聞などは全く取り上げていません。

さて冒頭の話題に戻りましょう。長々と解説した裏にはユビキタス(007)の話を解説したかったのですが…皆さんには知識的なバックボーンが存在しませんから、本題に触れる前に予備知識が必要になります。この「超電導線」の夢は、なかなか実現できません。理論的には既に技術は確立され、電力ロスがなくなる送電線の技術は可能ですが…超電導状態を保つ為に冷やす必要があり、その工夫が出来てないのです。夢の素材と指摘されるカーボンナノチューブなど…開発に時間が掛かる研究はたくさんあります。実はソニーの出井さんは有機ELやSEDの方に力を入れており、液晶を軽視したために今日のソニーの転落があります。それまでソニーは世界NO1だったのですね。しかし出井さんの経営の判断ミスでソニーは此処まで転落したのです。

むかしカタルは「トッキ」と言う弱小企業の技術に関心を抱いたことがあります。有機ELの製造装置を開発していたのです。その後、キャノンに買収されましたが…。技術開発は大変なのです。超電導などの技術開発は既に10年以上も続けられているのでしょう。20年以上かな? 冒頭の住友電工と古河電工の業績に違いはワイヤハーネスの存在が大きいのでしょう。自動車はしばらく好調なのです。一つの技術が世の中で一般化されるには時間が掛かるものもあります。007のQBは3年間かかりましたね。今回採用されたカーナビは一つの例に過ぎません。カタルがベンチャリの失敗を取り戻す銘柄として、送り込んだ有望性が消えた訳ではないのです。皆さんは株価が下がると関心が薄れるようですが、一番大切なことは需給バランスでも株価でもなく、その会社が何をやってどう変化して行くか?と言う会社の本質ですね。会社の方向性と言うかアイデンティティーと言うか…価値観の考え方なのですね。理念を共有できるかどうかなのです。

007の開発した技術を見てみれば分かります。WiFi、SQL、そうしてQBなど…株価に皆さんは関心を抱いているようですが、カタルが何故、ベンチャリの損を取り戻せる有望銘柄として高い関心を抱いているか? 背景を自分で調べたことがあるのでしょうか?今の時代、全ての電化製品にはコンピューターが内蔵され、主たるソースはリナックスで動いています。テレビもエアコンもコピー機もCD機もカーナビも…。一度、自分で調べればいいのです。一つの銘柄を発掘するためには、バックボーンが必要になります。「なんでも鑑定団」と同じように、本物を見分ける力が必要になります。本物かどうかは…専門家でも難しいものですね。テレビでは簡単にみて、本物と判断していたりしますが…実際は違います。X線を用いたりインクの成分を調べたり…様々な鑑定技術があります。それでも真偽が分かれることがよくあります。

「アンティキテラ島の機械」の解析が進み、先日、NHKでは「古代ギリシャ 脅威の天文コンピューター」と言う題名で放送していました。あの番組は素晴らしい…の一言です。NHKのオンデマンドでも配信は終了しているようです。使えないシステムですね。たしかNHKは…全国の放送局でもアーカイブが見られるかもしれませんね。川口の設備が整っているようですが…もう一度見たい時に出向くと良いかもしれません。一覧はこちらから…地方局もあるようですよ。自分で確かめてください。本当はこの時代だから…全ての番組がネットを通じて見られると良いのになぁ~。

話しが飛びますが…一つの事を理解するためには、様々な知識が必要なのですね。今日は007のさわりだけになりましたが、新聞記事から、超電導の話題へ、そうして技術開発には時間が掛かるという話を、ソニーの実話から紹介しました。出井さんは薄型テレビ(液晶)の時代ではなく、いきなり有機ELやSEDに移行すると思っていたようです。その判断ミスが、今日のソニーの凋落に繋がりました。しかし現実は、ようやくLGが先日、有機ELの量産計画を発表していますね。株と同じで、やはりタイミングは難しいのでしょう。いよいよ壁掛け時代の幕開けです。何れ壁紙のように有機ELが扱われるのでしょう。さてここで連想されるのはIGZOの時間的な先行性を生かせるのかどうか…。最近、公募増資を含め鴻海精密工業への増資見直しなど…色んな話題が生まれているようです。産経新聞は良くフライング報道をしますが、今回はどうなるのでしょう。一般論として、この業績下では公募などは出来ない筈ですね。

おそらく…日本の事ですから産業革新機構の出番がまた来るのかも知れません。ルネサスのように…。何しろ財政投融資を餌に、官僚は自分達の存在を強調したいのですね。アメーバーのように勢力図を広げる集団です。日本が成長方向に向かうなら許せますが…、国民の財産を餌にして自分達が生き残る利益集団ですからね。自民党下で復活していますね。日本株は本当にこの方向性で大丈夫かな?