アベノミクス・マジック(2013年02月17日)
今日はアベノミクス・マジックの疑問の背景を考えてみようと資料を集めたのですが…僕の考えを裏付ける良い結果は得られませんでしたね。少し不思議な思いです。
僕の仮説は…日銀のターゲット論などのリフレ政策により、その結果、資産価格の上昇が主眼で、為替の円安は副産物と考えてきました。故にマツダへの想いは当初からありましたが、為替をあまり重視してなかったのです。ところがメディアの宣伝は違いましたね。たしか…藤巻氏だったと思いますが、「円安が全てを解決する」ような論調が背景にあったと思います。その政策は国内の生産体制が整っている段階における90年代の話です。しかし…日銀の数々の失敗(失政)過程において…その時期は過ぎ去ったと考えています。理由は既にマーチを始め多くの汎用品が、タイなどに生産基地を移転させたからです。近年は中小企業まで海外進出する状態が日常化しています。この時期の過度の円安はプラス面効果より、マイナス面効果の方が大きいのではないかと考えているからですね。

そこで、このカタル説を裏付ける為に…、自動車の中で一番グローバル化が進んでいる日産自動車の業績数字を見ましょう。過去の四半期決算推移です。このグラフは確かに売り上げの割に利益は減っていますが、10―12月期の話は中国の影響が大きく働いている可能性があり、更に大きく円安が進行したのは最近ですから、現状の数字を調べてもあまり意味はないようですね。そこで過去の日産の輸出台数の変化を見ることにします。輸出台数も増えており、僕のイメージと違いますね。そこで生産台数を見ると…やはり国内生産台数は減っていますね。20万台ほど減っているようです。マーチの販売台数などの影響でしょう。2010年春には移管していましたね。車種別の数字が分かれば良いのですが調べている時間がありません。マーチの価格は100万から120万ほどで儲けは5万から10万円の間でしょう。タイバーツがドル円の為替と、どう関連するか調べていませんから分かりませんが、仮にドルと同じ動きなら20%の為替水準の訂正は命取りになりますね。早晩、製品価格の引き上げに繋がるでしょう。

まぁ、この推測は綺麗な数字が見えなかったので、カタルの仮説を補うと、既に海外に生産移転しているから、為替が円安に是正されても簡単に国内回帰の生産移転が進まずに、空洞化の進展が止まるだけの効果だと推測できます。例えばマツダは…規模が小さいのに昨年の輸出台数は67万台もあり日産と肩を並べています。だからマツダの株価は騰がるのです。しかし既にマツダはメキシコに、今、工場を作っていますね。
マネタリーベースの増大から、本当に期待される主眼は資産価格の上昇なのですね。毎年、働いて稼いだお金が、地価の値下がりや株価の下げで消えていたのです。その為に給与所得が上がらず、可処分所得が増えないので消費が低迷し、デフレ環境になっていました。更に空洞化の本質は、日本の鎖国政策の保護主義にありました。洋服や家具の国内販売価格を考えると分かります。国内生産体制を維持するために国内産業の保護を実施してきました。代表事例はトヨタのように国内生産に拘ってきました。そうしてグローバル化を避けてきたのですね。日米同盟の庇護の下で、この構造は成り立っていましたが、ベルリンの壁崩壊により、米国にとって日本の地位は低下し、故に国際競争に晒され、内外価格差のマジックが使えなくなりました。その結果、生まれたのがファーストリテイリング(ユニクロ)であり、ニトリなのですね。これらのデフレ銘柄は海外生産を生かし、日本の高い価格崩壊を先導し成長を遂げてきました。
まだ国内生産基盤が残っている、90年代に今のリフレ政策を採用すれば日本は復活しましたが、過去の自民党は金融マジックを理解していません。地価や株を下げては駄目なのです。それはフローの利益がストックの損失に消えるからですね。その為に可処分所得が増えなくなります。ようやくアベノミクスは、これに気付き修正をしています。ところが、為替に目が行き過ぎて…メディアが間違った誘導をしています。その為に折角のリフレ政策が、なかなか軌道に乗っていません。故に三菱UFJの株価は純資産を割れたままなのです。不思議です。
本来なら不動産株と共に、もっと株価が上がる筈です。マツダではなく、長谷工などに目が向くはずだったのです。しかし少子化で分譲よりリフォームの会社が潤うのかな? 地価が上がることで、株価が上がることで、潤う会社のスター株が生まれなければならない筈ですね。だからカタルは昨年のマネタリーベースから、今年は信用乗数の話をして、信用創造の話を展開し、総資産経営の規模の大きな会社のリストを掲げていたのです。しかし何故か、為替ばかりに焦点が向かっています。故にアベノミクス・マジックと批判ではありませんが、批判ともとれる言葉を使い、副作用の話しを述べているのですね。
成長戦略で相場が出ているのは、バイオ関連だけで小ぶりです。これでは相場が持ちません、だからグリーなどの新しい分野に期待したのだけれど、ご覧の通りの有様です。本来、DENAは、PER20倍程度の6000円程度でもおかしくない筈です。勿論グリーもいくら減益とは言え、売り上げは買収効果があり伸びています。ただ不満ですが…。何か、僕のイメージと相場の流れが違うのですね。何故、カタルが邦銀株に拘るのか? 金融の効率化が進むと考えているからです。日本向けの貸し出しは伸びずに、生産移転させた海外展開の支援が進み、円のグローバル化は促進され、貸出金利の高い新興国向けの融資が膨らみ利益が伸びると考えています。しかし現実の相場の動きは少し違います。故に副作用説が生まれる背景になっています。
G20の話もあり…日本は堂々とユーロとドルと円の為替の固定化の話し展開すればいいのです。TPPなどが進めば、為替の一元化管理に向かいます。おそらくボックスのターゲット論が採用され、何れ国際通貨が一元化されるのでしょう。米国はシェールガス効果により有利な展開が予想されます。だから自動車が米国で売れ続けますね。スバルもまだまだ騰がるし、ホンダも株価が訂正されるでしょう。でも今の水準はこれ以上望むのは無理ですね。株価水準は既に11月の世界です。9カ月も先を読み限度に達しています。
僕の読みは何処が間違っているのでしょう?
何故、予想通りに株価は動かないのかな? 野村の延長波と言うか第3波動に移行すると思ったのですね。場合によれば、一気に三菱UFJの株価が700円台に入ると考えてもいたのです。なのに…為替のマツダが選ばれたのは、僕の相場認識が何処か歪んでいるのでしょう。下がらないと思い、買い増しを続けたのは失敗でしたね。おそらくマツダが選択されたことに繋がっているのでしょう。本来、今の株価水準は、まだまだかなり低く、一度上がった株は下がらない筈なのに…。もう市場心理は変化していますね。おかしいな…。空売りなど考えるべき水準ではない筈です。マツダが上がったと言っても妥当株価ですよ。450円程度まで買われているなら分かりますが…どれもこれも…株価の伸びがイメージと違い、伸びを欠いている現状は、僕の相場観の修正を迫られている訳ですね。
見えない時は見えるまで、おとなしくしておくことですね。焦りは禁物で保守的な行動が成果を生むのでしょう。