債券利回り(2013年01月27日)
あれほど…世間を騒がした欧州危機も峠を越え、ユーロ圏の市中銀行は中央銀行へ1371億6千ユーロ(16.7兆円)の資金を、2年前倒しで返済されると言います。嘘を申告していたギリシャの国債利回り推移は、ジャンク債顔負けの宝物銘柄でしたね。あの時にイタリア国債への投資を進言した野村の元社員は、自分の意見が通らずに辞めることになりましたが彼は正しかったのですね。野村はリスクを取る余裕もなくチャンスを逸しました。振り返れば、結果論は誰にでも言えますが、自分自身がその環境下で決断を迫られると、どう対処するのでしょう。この投資に失敗すれば、あとがない状況であれば、どうしても冒険は出来なくなります。つまり投資で成功する秘訣は、「一か八かの状況に追い込まれないこと」ですね。常に余裕を持たねば正しい判断はできないという事です。国債投資でも簡単に資金を増やせる訳です。(上はギリシャ、下はイタリア)


ギリシャは当事者であり、なかなか投資は出来なかったでしょうが、イタリアは問題ないと早くから考えていました。通常、株式投資でも二番手銘柄が成功する確率は大きく減ります。ギリシャ国債の最高利回りは44%ほどですね。それが10%近くに下がっているという事は4倍以上になったわけです。二番手のイタリアは7%を超えたところで世間はワイワイと騒いだのです。現在は4%台ですから1.25倍程度ですね。それにしてもギリシャ国債は仕手株なんてものじゃないですね。債権価格推移でみれば120円台から、いきなり20円台に急落し、そうしてまた4倍にもなるのは大儲けのチャンスだったとも言えます。クーポン・レートによりますが、5%のものが44%の最終利回りなら、債券価格は13円になり、それが10%に戻ると69円になりますからね。7%なら18円が81円です。つまり瞬間に売られた44%の利回りと言うのはすごい数字です。
ここで余談ですが、仮にアベノミクスが失敗した場合、2%の国債がどのように価格変化するか考えてみました。3%への金利上昇は91円程度で予想の範囲ですが、5%まで金利が上昇すると76円になり、7%まで金利が上昇すると債券価格は64円になります。つまり35%程度の損失を抱えるわけですね。これがアベノミクスの失敗系の現実ですね。自分で債券価格を計算してみると良いですね。僕が計算した表を掲げておきます。黄色が5%クーポンの場合、緑が7%の場合、ピンクが2%の場合で、上の数字は利回りの数字で左が年数です。赤字が債券価格の変化ですね。

この二つのグラフは、なかなか興味深い現象で、この値動きから僕らは多くの事を学ぶことが出来ます。自分自身が、どの程度、リスクを許容できるかと言うのは、大きな問題です。中には生活費を賭けて冒険している人も居るでしょうし、生涯資金を確保したうえで余裕資金を投資している人も居るでしょう。投資している人の年齢によっても、どの程度のリスクを背負えるかも変わります。若者は仮に失敗しても人生をやり直す事が出来ますが、老人が失敗すれば、再びチャレンジするチャンスは、かなり減ります。人それぞれによりリスクの感覚は大きく違いますね。証券マンの現役時代によくこの事を考えました。このお客様には大型株しか薦められないとか…。しかしカタルの性根は博打好きで、どうしても流動性より、値動きを重視する傾向が強いのですね。同じ銀行株でもリスクウェートは大きく違います。
通常、デフレ環境では1番手しか相場になりません。更に相場の持続期間も長く続きません。市場に参加者が増えると、リスクの許容度が上がり始めますね。それは皆が儲かっているから冒険を出来るようになるからです。昨年の11月は株価位置も低く、リスクウェートはそう高くありません。しかし現在の株価位置は高く、かなりリスクウェートは上がっています。加えて首つり足の連発は、かなり強弱感が対立していることを示唆していますね。通常は投資残高を減らし、様子見する株価位置です。ただカタルは何度も述べていますがハイリスク投資を信条としており、もっとも効率のいい投資を探す傾向にあります。だから2倍、3倍に資金が膨らむわけですが…。その反面、リスクウェートは非常に高いのですね。今、このリスクウェートを更に高めるべきか? 今は悩んでいます。
多くの皆さんは安全で儲かる銘柄を探すのでしょうが、そんなものはありません。大きく儲かる可能性があるものはリスクが高く、株価の変動率が高いのですね。だから失敗したらお金は物凄く減ります。その代り、成功すれば何倍にもなっていきます。でも安全を求めれば、こんなに株価が上昇しても、せいぜい2割、3割の世界なのでしょう。比較的、安全と考えられている国債などの債券投資でも、こんなに価格変動が起こるものなのです。日本国債などゴミ屑みたいなもの、アベノミクスが失敗するリスクも当然あるでしょう。もしそうなれば、7%どころの金利上昇で済まないかもしれませんね。過度に金融政策への依存度が高まると、アベノミクスのリスクが巷で騒がれるようになります。今は、全く心配はありません。しかしリフレ政策とは「もろ刃の剣」なのですね。リフレ政策下では、株式は安全資産です。ましてや3%もの配当利回りに推移する株価水準ですからね。