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信用創造と乗数効果(2013年01月14日)

先日、何気なくNHKを見ていたら、大正デモクラシーと大本教「出口なお」などの解説をしていました。大正デモクラシーって? 教科書で普通選挙権運動などを推進した吉野作造などの名前は知っていましたが…何にも時代背景も知らずにいましたから、インターネットで調べ始めました。まだ途中ですが…。何やら、時代背景が似ている様な気もしたので参考になるかな?と考え調べ始めた訳です。やはり歴史は面白いですね。此方のサイトは…時代背景を分かりやすく語っているようです。このサイトの捉え方は参考になるでしょう。

さてこれから、日本はどう進むのか?と言うのは、難しいですね。
民主党政権下では、鳩山さんは急ぎ過ぎましたね。僕は日米同盟の見直しを含め、憲法改正など日本の根本的なあり方を再構築する必要性を感じています。中途半端な自衛隊の形を徴兵制度まで含め考え直すべきでしょう。一方、このまま日米同盟を堅持しながら、グロバリゼーションを推し進めるやり方も考えられますね。既に国家と言う存在感が希薄な時代になりつつあります。楽天のやり方は強引ですが、どの企業でもTOEICの800点は標準化しそうです。電子機器の発展により言葉の障壁も、まもなく、なくなるでしょう。TPPなどのあり方をみると国際化の流れは時間の問題ですね。金融危機は欧州問題に発展しユーロの価値は守られたように、何れ通貨も統一されるのでしょう。

僕には理解できませんが、高度な計算が要求される医薬品や新素材の開発など「京」などのスーパー・コンピュータの汎用化により、更に開発スピードが速まるのでしょう。昨日のリカードの「比較優位論」から、国際分業が効率化社会を形成している話は面白かったでしょう。石器の手斧からマウスの比較論は、実に有益な視点でした。マット・リドリーの「アイディアがセックスするとき」と言う考え方は、今の時代の象徴です。

日本が置かれた今の状況は、バブル崩壊後の再生期であり、日本は1989年、しかし米国は2006年、2007年です。サブプライムローンからリーマンショックの過程は金融工学の行き過ぎだったのですね。株価もそうですが時代を推し進める為に、先ず、大きな期待感が先行することがあります。相場は理想買いと現実買いに区別されるように、最初は夢を買うのですね。丁度、今、始まっている金融相場は、夢の理想買いの相場です。やがて理想買いは終わり、現実の利益を待つようになります。だから相場は中間反落を経過するのです。利益が出る前の調整ですね。私は、金融工学の発達によるBIRCsの発展は、その成果だと考えています。東西冷戦崩壊から市場経済の浸透は、グロバリゼーションには欠かす事が出来ない作業だったのでしょう。歴史的な現象は人類の進歩に何れも意味があるのでしょう。互いに関わりを受けているのです。見えない糸により結ばれているのですね。NYで羽ばたきした蝶が、やがて日本に台風をもたらすというカオス理論の世界の話です。皆、必要なパーツなのでしょう。

相場を観察し次の展開を予想する。今回の相場のスタートは8月でした。おそらくこの頃から、日銀はマネタリーベースの調整の反省が、芽生え始めたのでしょう。株価は正直ですね。3月中旬には下げ波動に入っています。この動きを見て、日銀は再びマネタリーベースを増やす必要性を感じていたのでしょうね。事実、日銀は7月に追加緩和策を実施し始めており、9月、10月と追加緩和を実施しています。このような行動を見て、かたるは10月末から、久しぶりに強気に変化し始めました。その為に11月に入りマネタリーベースの話を増やして、レポートを掲載しています。一般の認識はアベノミックスの成果ですが…。衆議院の解散を決めたのは11月14日ですからね。野村証券の株価をよく見れば分かります。

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実は、今日は「信用創造」の話を補完しようと考えています。信用創造の真意はお金の動きを活発化させる事です。その結果、土地や株などの資産価格が上昇します。この現象は「鶏と卵」の関係にあります。どちらが先と言う訳ではありません。しかし株価だけが上昇を続ける事でもないのです。株価の維持には、裏付けが必要なのですね。誰もが納得する価値観の共有化ですね。加藤あきらなどが、何故、潰されたか? 価値のない株価を創り上げ、自由の範疇を超えたからですね。故に加藤銘柄の担保価値が失われ、自壊しました。それでは価値のある株価とは何か? 株価を裏付ける資産価格や未来の利益を作る能力ですね。解散価値などはPBRと言う指標で、未来の利益はPERと言う指標で一般化されています。更に配当利回りも、預金金利との差で、歴然と存在しますね。定期預金金利が1%以下なのに…何故、裁定現象が起きないのでしょう。不思議ですね。益利回りの考え方はここにあります。本来、お金は金利の高い商品へ流れます。ところが現実の日本株は、この正常な価値観が働かない異常な現象下にあります。

本来、経営者は利益率が10%も確保されるなら、お金を借りてでも事業の拡大をめざし利潤を追求する筈です。ところが現状は、お金があっても先行き不安から行動を手控え、現金保有率が高まったままの状況です。わが国のバブル期の不良債権処理は2003年に終了しましたね。その後、自己資本の補強をしている最中で、その作業も既に10年が経過します。いい加減に本来の機能を発揮しても不思議ではありませんね。その現象がソフトバンクのスプリント買収資金への融資ですね。まだ米国から許可が得られませんが、イー・アクセスなどへの出資比率の見直しなど環境を整備しています。兆円単位の融資復活は、象徴的な現象の一つでしょう。M&A資金は非常にリスキーな案件です。しかもリスキーにも拘らず、リターンである金利は安い筈ですね。このような案件の融資が実行されるという事は、我が国の金融界はバブルや金融危機の後遺症から完全に立ち直っている証でしょう。

兆円単位の海外投資などが背景にあり、円安に傾いているとも言えます。何もアベノミックスの成果ではなく、時代が好転する時期に来ている訳です。あとは時代の方向性をコントロールするだけです。今のところ新政権の方向性は正しいのでしょう。株価など見ても市場の反応は良好ですね。単に株を上がることは、誰にでも出来ます。ある程度の資金を有していれば…誰にでも可能ですね。しかしその株価を支える根拠の業績が見えないと株価はやはり下がります。ベンチャリの失敗は、夢を支える支援がなかったですね。成長期はあのような企業に資金融資するのが、正常な金融機能の状態ですね。無借金企業で夢のある投資をし、お金が回り始めていたのに…。銀行などの支援は得られませんでした。2003年から2006年は、まだ不良債権処理が終わったばかりで、銀行にユトリがなかったのでしょう。今度はソフトバンクへの金融行動を見ると…時機は到来しているようです。

ここまで書いても、まだ皆さんには見えないでしょうね。
野村証券の株価は色んな意味を秘めています。現状は明らかに高過ぎますね。つまり株価を支える合理的な背景が乏しいので、500円近い株価の評価は難しいのです。しかも邦銀の配当利回りの修正も、まだ完了されていません。三菱UFJでは1%程度までは許容範囲でしょう。みずほでは2%程度かな? つまり邦銀の株価は、まだまだ安いのでしょう。なにしろ、危険な投資へ、融資を出来るほど内容が改善されているにも拘らず、市場の評価は低いままですね。このような株価修正が、今後も継続されるのでしょう。先駆した銘柄から、全体へ広がる展開が始まるのでしょう。全体水準の底上げ運動ですね。シャープの休みやアイフルの休みは、その現象の一つでしょう。故に、カタルは出直りは速過ぎると述べています。決して株価が高くて、下げると言っているわけではなく、休みが必要だと人気銘柄は述べています。マツダの変化はまだ見えませんが、おそらく同様でしょう。為替の修正も、そろそろ一服しても不思議ではありません。少なくとも、邦銀の株価修正が終了するまでは、先駆した株は、休みが必要な時期に来ていると考えています。信用創造の話は、邦銀の株価修正の意味を秘めています。

別に株価を上げることが信用創造につながるとの意味ではなく、経済が回復する過程で、マネタリーベース、つまりハイパワード・マネーの適正な乗数効果が生まれる事をカタルは述べているのですね。貨幣乗数効果、つまり日銀が供給したお金が、市場に還流し動く様子ですね。この動く様子を表したのが貨幣乗数なのです。1月5日の株式教室でこの話を掲載しています。問題にしているのは「M2」の前年度比の伸びと共に掲載されている乗数倍率の話しです。経済が活性化すると、この乗数倍率が膨らんできます。いくら電子マネーが普及しても、今の停滞する数字は異常ですね。90年代の貨幣乗数は10倍以上あったのです。本来はM2より、M3などのマネーストックの数字を用いるべきですが、歴史的な検証が出来ずに仕方なしにM2を用いています。

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信用創造の結果、株価が上昇し、地価が上がりなどの資産効果が出てきます。その結果、企業はようやく安心して、設備投資などに動くのですね。鶏と卵の関係なので、一概に言えませんが、カタルの指摘する信用創造とは、究極的に貨幣の乗数効果が高まった姿を目指しています。しかし12倍を超えるようなバブル期の現象は、やはり行き過ぎなのでしょう。日銀はこの指標を、もっと大切に扱うべきでしょうね。2006年の過剰な引き締めは、今日の日銀批判に繋がっていますね。もしあのまま緩和を続けておけば、米国発の金融危機にも早めに対応が出来たのでしょう。まぁ、結果論ですが、2006年には8倍を超えはじめたのに…、折角の自律的回復の芽を潰しましたからね。

株価を上げる作為的な信用創造は意味がありません。必ず株価が上がるのには、背景があるのです。その背景を大切に育てる事が出来るかどうかの施策が、結果として信用創造を促進させることに繋がります。成長シナリオを復活させるためには様々な仕掛けが必要で、法人減税を餌に給与水準に引き上げや設備投資など用いるのは一つのアイディアですね。このような奇抜なアイディアは長続きしませんが、一時的な効果はあります。小さな灯がやがて大きな炎に繋がるかどうかの瀬戸際にあるのが、株価を見ると良く分かります。