信用創造(2013年01月03日)
新しい年を迎え3回目のレポートですが、年が変わってすぐに新しいアイディアが生まれるわけでもなく、相変わらず迷っていますね。11月14日以降の株価上昇率は高く、いつ一服しても不思議ではないし…同時に歴史的な転換点を迎えている可能性も高く、初期波動が非常に強くなるケースもあるからです。通常の上げ相場なら常識的にそろそろ一服します。しかし今回は本格的な株価上昇に向けての環境が整っています。何しろ「美しい日本」と述べた首相が「危機突破内閣」との認識です。あの時と同じ条件下なのですが、世情の見方が180度、変わっていますね。世論もようやく株屋のイメージと重なってきたように感じています。
年末の株価上昇率は非常に速く、多くの人が乗り遅れていることを考えると、これから株価上昇が始まると考えても不思議ではありません。事実、日経平均株価のチャートを見れば確かにここ5月間は陽線が続き、11月、12月は上昇率が高くなっています。この動きは近年では2009年の3月から8月までの6気月連続上昇に続くものです。最近、記憶に残っている本格的な上昇は2003年の動きですが、あの時は5月から8月まで一気の上昇でした。

「みずほ」は5月が68円から69円、6月は71円から94円、7月は96円から108円、8月は110円から145円、そうして9月が145円から250円に一気に株価は爆発しましたね。その後も株価は上昇し翌年の4月の560円を付けて月末は522円で株価上昇は一服するわけです。つまり68円の株が522円までで、およそ7倍です。(当時は1株10万円が現在の100円、つまり株数1株が1000株に増えています。)今回はその株式発行済み総株数は当時より2.26倍に増えており、当然、本格的な金融相場に発展しても上昇率は大きく鈍ると思われます。しかし本格的な金融相場を検証するには、このみずほの動きは参考になります。

現在のみずほの配当利回りは3.8%です。通常、長期金利と同じ程度になるのが普通です。つまり1%前後まで配当利回りが落ちるとすれば、株価は3倍以上になっても不思議ではありません。大手都市銀行はこれまで資産デフレの逆資産効果を受けていました。しかし今度はマネタリベースの増加に物価目標が加わり資産効果が生まれると考えるのが普通ですね。昨年、つまり今期の決算数字には持ち合い株式の減損会計もありましたが、今度は、その様な逆資産効果がなくなると考えていいわけです。みずほの総資産は165兆円もあります。仮に1%から2%の資産増加効果が生まれるなら、1兆6千億から3兆円の利益効果が生まれます。大手銀行の総資産規模が如何に大きいか?リストをご覧下さい。製造業の比でありませんね。

資産効果とはどんなものか?
米国では住宅ローンの担保に入っている家の価値が上がると融資枠が増え、その融資枠が消費に向かいましたね。返済が出来なければ家を売って返済できます。今の日本は田舎の家では価格はありますが、需要がなく売れません。税務署は物納を渋りますね。このような状況は異常です。信用創造機能が全く失われています。この問題点は大きな経済的な損失です。背景には長引く不良債権処理により土地担保金融の機能が失われたためですね。北海道の原野まで価格を付けて、売買できる状況はどうかとも考えますが、人間が生活できる環境である道路や電気、水道がある所であれば、地価の最低保証を付けても良いと思います。インフラ整備が出来ているなら、通常は坪単価1万円程度が妥当な最低ラインでしょう。問題はこの辺りまで信用創造が回復するかどうか? ここが一つの目安になります。2006年においては、株や都心の土地は値上がりしましたが、ここで日銀はバブルの反省に傾きました。まだ銀行の土地担保の信用創造が生まれる前に引き締め政策に変わった所に、金融危機の勃発でしたね。今回は2006年と同じ失敗の轍を踏まないようにして欲しいものです。
果たして今回の動きが本格的な信用創造まで、繋がることができるのかどうか?この辺りが相場の分岐点でもあるのでしょう。