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デュポン式(2012年10月14日)

新聞はざっくりとしか読んでないが、ソフトバンクの米国通信会社の買収が、様々な条件をクリアして、成功したとしてもそんなにリスクはないと思います。だってボーダフォンを買収した時の2兆円の借金はマジックで、絶対ありえないスキームでしたがCDSなどの金融の仕組みで実現し見事にクリアしました。あの時の方がずっとリスクは高く、今回の買収のハードルはあの時を基準にすれば1/5程度の感覚でしょう。このような批判的な記事を見ると嫌になります。あの当時はCDSなどの枠組みが存在し外資を利用できましたが、今回は邦銀ですからあまりリスクはないわけですね。さて外資が盛んにアプローチをしてきた金融全盛期には、無謀なソフトバンクのような事例があったから、M&Aに怯え、ライブドアのフジテレビ買収攻勢を見て、日本村社会は反撃してホリエモン潰しに動いたわけです。オリンパスとライブドアを比較すれば、フェアな社会とは、どういうものか反論が出来るのでしょうか? 

読売新聞は森口氏のIPS細胞を利用した実験例を報道し、今では虚偽報道となっていますが、過去の事例をみれば、ずいぶん嘘を報道していたものです。しかしこんなことは氷山の一角ですね。毎日、あれだけの記事を配信していれば、裏を取らないものや捏造じみたもの、引用などきっと多いのでしょう。日本と言う国は、知らず知らずのうちに偽物が多い国になっています。実力がない人間が多用されています。これだけ金融緩和をしているのに…IMFは更に日本の金融政策に注文を付けたと言います。毎年、落第点を取り続ける日本銀行、だから貿易赤字にもかかわらず円高になっているのですね。しかし反省の色もありません。東電の原発事故の反省がないと批判されましたが、五十歩百歩の世界です。

最近、WSJの報道でオリンパスのあり方とルネサスのあり方を採り上げて、日本は変わってないと日本村社会を強調している記事がありました。集団指導体制と言うか…仲間意識と言うか…主義主張の公正な社会より、正義を捻じ曲げた血縁と言うか縁故社会の日本村なのですね。ここに市場原理主義の根本的である公正な競争原理確立と、相いれない社会構成があります。故に日本化現象が長引いているのですね。でも…文革で否定された孔子の教えは、ある意味で素晴らしい教えです。「惻隠の情」と言う相手の立場に立った、ものの考え方が確立されていれば、戦前教育のように道徳教育が重視されていれば、いじめなどの問題は激減しているでしょう。儒教の精神は本家の中国より、ずっと色濃く日本に根付いています。北欧の共存精神を、我が国の官僚組織は取り入れようとしていますが、市場原理主義とどちらが正しいのでしょう。良く分かりませんね。フードスタンプを利用する敗者を鞭打つ講演をしたロムニーは劣勢に立たされ、未だに市場原理の根底を支える金融バブルが否定され、現在は反省の中にありますね。株価を見れば分かりますね。

僕は毎日、レポートを掲げていますが、読者は言葉の裏に隠された文脈を上手く感じ取ってもらえるでしょうか? 山本周五郎の作品は儒教の精神が、その綺麗な部分が、多く取り入られていますね。彼の作品の中に必ずと言っていいほどの割合で、心を打つ部分があるのですね。そうして自分の生きる姿を考えさせられるわけです。味があるのですね。長く読んでいただいている読者には、カタルの失敗などが分かるでしょうから…僕の心情の変化がくみ取れるかもしれません。僕は最後の壁が越えられませんでした。時間や考え方の違いが、そのハードルを高くしたのでしょうが…今では信じていた市場原理の考え方が正しいのかどうかも疑問を持っています。でも今のような市場原理を悪戯に歪めている市場も嫌いですね。日本村社会はある意味で卑怯ですね。経営者側の論理で市場を作り利用しているのに、いざ市場原理の論理で買収を仕掛けると、結束しM&Aの邪魔をします。だから先ほどのWAJのオリンパスやルネサスの記事に繋がるのです。

これまでもそうだったのです。それなのに…安定株主に胡坐をかき、株価を放置する経営者。買収をかけられて慌てる様子など…見ていられませんね。一例を掲げればユナイテッドアローズは真剣に経営をしていませんでした。だから株価が安くなったのを放置していたのですね。この間隙を縫ってABCマートの三木谷さんは株を集めたのですね。そうして吸収合併を模索しました。この買収が切っ掛けになり、経営者は再び目覚めましたね。しかし自社株買いなどを株価が安い時期に実施していれば、このような無駄なお金を使わずに済みました。経営陣はもともと優秀だったのでしょうね。昨日、僕が取り上げたレポートを日経新聞の記者がヒントにしたのかどうかわかりませんが…別に引用してもらっても良いのですよ。僕は何時もオープンですからね。ソフトバンクの借金の峠の話は、今日の日経新聞を見ればよく分かりますね。

孫さんは素晴らしいのですね。何が素晴らしいか?一所懸命に生きているからです。普通はこの段階までソフトバンクが成長すれば、財務レバレッジを拡大させて冒険などはしませんよ。まぁ、今回の買収話はそれほど冒険ではありませんが、ROEの分解式のデュポン式を上手く使っている効率化経営を実施しています。日本には馬鹿な考え方が存在し、無借金が良い事だと思っているアホな経営者が沢山います。基本的に売上高営業利益率が20%を超えるような優秀な経営者なら、借金をして業務を拡張させるべきですね。何の為に株式上場したのか? 意味が不明な経営者が多く存在します。ソフトバンクほど金融機能を使っている会社は見たことがありませんね。それもかなり的確なタイミングですね。円高でありQE3が実施されたところで、外資が融資の余裕は有りませんが邦銀は金余り、しかも今なら低金利で融資しますね。世界で一番、金融機能を理解して利用している経営者ですね。ただソフトバンクの株が買い場だとは言っていませんよ。市場のエネルギーはこのクラスを仕手化させるほど…ないと思っています。しかし数年後はアップルのようになっている可能性も同時に指摘はしておきます。200兆円の法螺か…QE3はインフレを生み貨幣価値を変える可能性があります。だから成功すれば良い買い物ですね。