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コラム

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日本村(2012年09月02日)

「清貧思想」と言うのは決して悪くはなく、むしろバブル期などにおいては、戒めの言葉として利用されてしかるべきでしょう。しかし現在は誰が考えても沈んでいる時代です。清貧思想が行き過ぎて弊害が目立っているのに、尚、生活を犠牲にしてまで清く正しい行動を模索するのかどうか…一例を掲げれば、戦後、配給だけで生きようとして亡くなった人がいるそうですね。多くの人は生きる為に闇市を利用しましたが…自分の思想を貫き餓死したというのです。NHKの梅ちゃん先生のドラマで採り上げられましたが、実際に東京地裁の山口良忠という裁判官が、配給だけで生活をして亡くなったそうです。当時、朝日新聞に報じられ美談化されたとか…。

原発問題も似たような事例でしょう。私は原発開発を止めるべきではないと考えていますが、仮に100%廃止だとしても移行期間を設けるのが現実的な考え方ですね。最近のニュースを見ると細かな事がニュースとなって取り上げられる事例が増えたように感じます。今日だって読売新聞に人間が、酔って蹴ったので車が壊れ逮捕されたとか…。社会的に地位が高いとされているメディアの人間だから問題視されているのでしょうか? 昔なら逮捕などせずに、一晩、牢屋に泊めて、後日、示談処理してそれで終わりでしょう。それを逮捕したために人間の一生を棒にふらせてしまったのです。

私の感覚がルーズなのかもしれませんが、許容範囲がありますね。車のハンドルにアソビがあるように…。何かマニュアル社会化されドンドン荒廃して行くような気もしています。一つの方向性に傾斜しすぎ、全てにユトリがなくなっているように感じますね。テレビのCMは健康食品が多い事、この国は何処かおかしくなっています。

昔の日本は時代に合わせた規制を用いたものです。丁度、パチンコ産業が広がり過ぎないようにルールを規制したり、緩和したりして手綱をコントロールするやり方が日本村論理を維持する裁量主義だったのです。ところが僕のようにライブドアとオリンパスの処置を問題に批判する人間が増えてきて、何時しか裁量の権限がなくなってきました。大岡裁きは日本村社会の良さだったのでしょう。UFJ問題辺り…からかな?不良債権の認識問題は恣意的で難しい判断ですからね。見る人の立場により大きく変わりますね。結果論は誰にでも言えますが、現在進行形の不良債権処理は難しいのですね。

結局、小泉・竹中改革(市場原理)は、日本村社会論理に敗退しますが…、その後のパナソニックやソニーまでもの荒廃ぶりを見ると、どちらの選択が正しかったのか?分かりませんね。主義主張を貫くのは大変なことです。米国は市場原理を歪めないように、公正な競争精神を歪めないように教育されています。故にこの時期でも論理的な経済価値が維持されているのでしょう。日本はまやかしの市場経済を取り入れ、実態は江戸時代から続く村論理を優先してきました。株式持ち合い構造により、市場原理を利用し資金を円滑に回してきましたが、株式先物を導入され日本村構造を壊された印象ですね。プラザ合意の意味は、戦後の米国保護と言う傘から、追い出されたわけですね。

まやかしの市場原理しか取り組んでこなかった日本は、グローバル時代の本当の競争に敗れているわけです。根底は教育でしょう。何故、この環境下で米国株だけが正常な評価基準で客観的な評価を維持しているのでしょう。どう考えても教育問題でしょう。市場原理の根底は市場にあります。自由な市場は公正なルールで維持されるのです。それを信じる国民は小さい時から市場原理を、公正な競争精神を叩き込まれるのでしょう。親に大学の教育費を出してもらう国と、自分でなんとかする風土の国とでは生きる真剣さが違うのでしょう。だから米国はテロに立ち上がったのですね。公正な競争精神を歪める卑劣な行為に対し、経済的に採算が合わない非効率な軍事行動をとったのです。その根底にあるのは市場原理を守るためですね。もしテロを黙認すれば力の競争を許すことになります。腕力が強い人間が勝ち組になりますね。世界のルールは誰もが参加でき、公正なルールの中で戦うというものです。米国がやくざ絡みの資金の移動に厳格なのも理解できます。不正な競争で得た資金だからです。

終身雇用や年功序列は儒教の島国で生きていく上での智恵だったのでしょう。野田政権は間違った選択はしていませんが、官僚色の強い政策ですね。この官僚組織はこの仕組みの根底に生きている組織です。だから組織力で小泉・竹中路線が潰されたのだろうと考えています。当然、新日鉄の三村さんの選択も日本村論理の選択だったのです。2006年からの日本の選択を見ていると、実際に株価が低迷している現実を理解できますね。一方、市場原理を選択して世界に広げている米国は金融危機発端の国で、一番痛んでいる筈の状態なのに、その環境下で市場原理の原則を維持しているのですね。

JNJ(ジョンソン・アンド・ジョンソン)にしても景気敏感株のGEにしてもPERは21倍、17倍なのです。つまり5%の価格水準を維持しているわけですね。ところが日本株はPER10倍水準以下です。10%の理論価格さえも維持できない市場評価なのです。歪んだルールの選択を市場が証明しているのかもしれません。