流動性の罠の先行組(2012年07月16日)
高齢化社会を迎え日本では介護ビジネスが華を開く時代になってきました。考えてみれば今は内需だけの成長ですが、このノウハウを海外展開しても良いわけです。中国も急速に高齢化社会になります。何より良いのはこの業界は右肩上がりだと言うことです。まだまだシステムが確立されておらず成長段階にあるようです。
日本ではニチイ学館やシップヘルスケアなどが業界トップを争っており、二番手にトーカイ、メッセージと続くようですが、注目されるのはツクイでしょうか?メッセージは買収の影響もあるのでしょうが借入比率が高いですね。今は低金利などでその財務戦略が生きており売上高営業利益率も高くなっています。ツクイは比較的、整って見えますから最近の急騰は、おそらく外資系ファンドの買いなのでしょうね。株価面で急伸しており見送りかな? むしろシップスヘルスやメッセージの方が先駆して休んでいます。ニチイ学館は5月に業績の下方修正を行っており下げた後なのですね。どうも介護だけでなく英語塾などの買収も手掛けており、介護がメインと言う訳ではなく、この辺りの評価が難しいですね。
かたるの好みは、積極戦略のメッセージかな?
ただ借り入れ依存度が高いので金利が急上昇した時に注意が必要です。この業界は厚生労働省の指導が重要な要素になります。業界最大手のコムソンが潰されたように役人様の権限は強く、役人様との付き合い方も重要なキーワードになるのでしょう。兎角、買収による急成長は歪みを生み、摩擦が増えるものですから…ハイリスクですね。ツクイも興味がありましたが株価面で急伸したところなので…今回は見送りでしょう。

株式市場に元気が戻るかどうかは、金融株の株価位置が問題になります。欧米の金融機関が格下げされ日本の銀行は相対的に格付けが高くなりました。多くのグローバルファンドは業種別セクターの比率も重視されます。世界的に金融セクターから銘柄を選ぶとすれば、欧米の銀行の比率を下げ日本の銀行の比率を引き上げるファンドもあるのでしょう。更に先日お話ししたように中国系のファンドの継続買いも予想されます。ETFを日銀が買えば必ず一定比率の株が吸い上げられていきます。増資をした後の需給バランスは徐々に改善されるのでしょうが、正直に言えば、もう一つインパクトが欲しいところです。例えば国債を利食い、その資金で自社株買いをするとか…の財務戦力が見られると面白いですね。だって、国債の利回りは1%を割れており、自社株の配当利回りは3%なので理屈上は正しい選択なのですね。
今朝の日経新聞には滝田さんが中央銀行と「永遠のゼロ」とのコラムを書いており、カタルが「流動性の罠」の日本化現象が世界に広がっている話しをしていますが、それを補う記事ですね。流動性の罠は一つの魔術です。基本は需給バランスだけで水面下では改善しているのです。問題はいつ需給バランスが変化を見せるかの時間的な考え方なのですね。日本では消費税が段階的に引き上がり、日経にモデルルームの来場者が増えているとの報道が載っていますが、住宅関連株も注目されるのです。株価面では出遅れている積水ハウスなど興味がある所です。何故、一戸建てか? その背景は中央政権から地方分散の流れが背景にあるからですね。勿論、トヨタ傘下のミサワでも同じ事ですが、こちらは株価が急伸していますからね。
世界経済が流動性の罠の状態に陥っており、新興国も基本的に資金が引き上げられています。この背景は何度もお話ししています。故に流動性の罠現象で先行していた日本株が、世界中の中で注目される時期になっているとのカタルの仮説は説得力があります。消費税の段階的な引き上げは消費を刺激します。消費税法案に名目の文字が躍ると言うことは政策が転換される可能性があるのです。良いですか、今の日本は融資を審査する人員が不足しているのです。20年以上続いたデフレ政策で、銀行内にノウハウを持った人間が少ないためですね。ここで金融庁が政策を転換すれば…簡単に火が付くのでしょう。簡単なことなのです。問題は誰が鈴を付けるか? このカタルの仮説は、いくつかの条件が整っている様子が分かると思います。デフレで苦しんでいた日本株も、そろそろ動き出す時期に来たのかもしれません。