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玉石混合(2012年06月17日)

市場経済と計画経済、市場価格と内外障壁を用いた価格統制、何れも日本を襲ったグローバル化の現実です。高度成長時代の日本は終身雇用と年功序列などの仕組みがうまく機能していました。大蔵省が必要な所に予算配分し、NTTや電力会社に社債発行を認め、社会基盤整備を重点に投資をしてきました。安い原材料を輸入し日本の技術で加工し輸出する加工貿易で国の富を蓄え、1ドル360円の為替評価が現在は1ドルが80円を切る水準になっています。実に4.5倍も円の価値を高めたのですね。しかし…1997年の名目GDPは523兆1983億円だったのに、この2011年は468兆2576億円にしか達しませんでした。89.4%の水準です。

シャープ、パナソニック、ソニーの株価を見れば、日本がグローバル競争に敗退したのは明らかですね。我が国の会計は誤魔化しの世界のためか分かりにくいのですが、ここでは一般会計の見てみましょう。一般会計の歳出は基本的に右肩上がりの図式です。しかし歳入は横這いを続け、金融危機後の推移をみると一段と減少し始めています。ところが長らく85兆円を上限に推移していたのに、民主党政権になってから95兆円と10兆円も跳ね上がっていますね。歳入は一段と空洞化の影響で減っているのに歳出は増えているのです。いきなり強制的に全予算を2割、削っても正常化の道は遠いですね。経済が沈み始める平成初期の時代に、自民党政権は無駄な公共事業投資を連発しました。構造改革を避け延命策を講じたのです。しかし結果はこの有様です。

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大蔵省が築いた過去の栄光を全て無駄にする計画経済の挫折。おそらく消費税法案は財務省の目論見のように通過するのでしょう。海外勢の評価も高くなるでしょう。しかし…私には小沢氏の反対の理由も、同時によく理解できます。一般会計予算を30兆円も削るとどんな世界になるのでしょう。ここ数年の特例公債発行額は、看過できるものではありません。平成15年以降、建設公債の残高を上回り一般化しています。故に消費税の引き上げもやむなし…なのでしょうが、身を削る選択である「事業仕分け」の作業は、いつの間にか消えてしまった印象です。旗頭に見えた蓮舫議員は、最近は表舞台に登場しませんね。全ては狡猾に立ち回る財務官僚の青写真通りの展開なのでしょう。

冒頭に掲げた計画経済は既に敗北しているにもかかわらず…日本の体制は旧態依然のままですね。グローバル時代において政府は民間企業と足並みを揃え海外展開を計る時代になっています。わが国は民間が主導ではなく、全てにおいて役人様が主導する体制なのですね。大震災後の報道を見ていると、震災復興の進展が遅いとメディアは政府を叩いています。事故があるたびに、細かな法令が改善されドンドン自由度が奪われているように感じるのは、私だけでしょうか? レバーなど大嫌いな食べ物ですが、生レバーを食いたい人にはどんどん食べて貰えばいいのです。安さを求め旅行をする人は、危険というリスクを背負って安さを求めればいいのです。格安航空機の就航が話題になっていますが、安いと言うことは、リスクが存在するのは当たり前の良識でしょう。仮に大きな事故があれば補償問題もない可能性さえあるのでしょう。

グローバル化と言う概念は、玉石混合の世界なのですね。価格の安い商品は安い理由がある筈です。しかし伸びる企業は必死になって安くても良いものを提供する努力をしています。ハニーズ(2792)の事例をみると…よく分かりますね。なにもユニクロだけが注目されている訳じゃありません。早くに一大消費地の中国に進出し、いずれ店舗数や売り上げで逆転するのは日も来るでしょう。

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安全基準を満たさない商品を販売する会社も増え、安全・安心の神話も崩れていくのでしょう。信じられるのは自分の判断基準だけです。株の世界も同じですね。インターネットの一般化により情報が溢れていますが、選択する目が備わってないとなりません。かたるは自分の失敗を正直に語っています。ベンチャリはリスクのある株でした。日本を取り巻く環境はドンドン悪化しています。一流と思われていたパナソニックやソニーが沈んでいます。野村証券などは瀕死の重傷のイメージですね。しかし株の儲けは危険度が高く、売られている株が正常な評価になる瞬間が、一番、変化率は高いのですね。インサイダー疑惑などがあり、リーマンの残党をこれまでは生かし切れていない無駄な投資をした嘗ての巨人は、このまま倒産の道を歩むのか? それとも踏ん張りを見せ、不死鳥の如く甦るのか?いったい、どちらなのでしょう。

消費税が引き上がり、日本の財政不安は一時的に緩和され、欧州危機が回避されると…。一度、株価は調整を入れているので、再び買われる場面があるかもしれませんが、抜本的な改革を先送りする消費税引き上げの可能性は高く、やはり最後は急激な円安、物価高のガラガラポンの世界まで行くかもしれませんね。デフレ脱却を日銀だけに頼っているように、世界中で中央銀行への期待が株価を押し上げています。しかし危険な選択です。同時に面白い時代に突入することになります。東京に出てきて23年の鬱積を晴らす新時代の到来は近いかもしれません。ただ駄目な市場ですが…、沢井製薬だとか、ピジョンとか今日採り上げたハニーズなどは、市場からはそれなりの評価を与えれれているのですね。