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コラム

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僕らは名目の世界で生きている(2012年05月20日)

JPモルガンで活躍した藤巻氏が諸悪の根源は円高にあると主張しているようです。まぁ、タイトルだけなのでどのような主張なのか分かりませんが、基本的に日本株が上がるためには名目GDPが伸びなくてはなりません。人間は実質の世界ではなく名目の世界で生きているからですね。いつから実質成長率を新聞が取り上げるようになったのか? 記憶にありませんがニュースでは名目より実質の数字を取り上げているケースがほとんどです。官僚マジックですね。彼らは自分の失点を隠すために様々な主張を用います。日経新聞の記事もそうですね。多くの人は5月17日の日経夕刊のGDPデフレーターの推移をみれば改善しているように見えます。しかし実態は昨日の「株式教室」で掲げたグラフのような展開なのです。同じデータを用いても視点を変えると180度違う展開に見えるのですね。だから統計数字はマジックなのです。前年同期比を用いたり前期比を用いたり…比較対象により人間の感覚は大きく変わります。

冒頭に円高は諸悪の根源、と述べた背景はGDPの円建てとドル建てでは大きく印象が異なるからです。日本人にとって株が上がるためには名目GDPの数字を押し上げなければなりません。政治家は一人あたりの名目GDPを押し上げる為に政治を推し進めねばなりません。その為の世界競争なのです。主眼の目的をはっきりさせないと何処に視点を移さねばならないか?分かりませんからね。全ての国家は人々の生活を豊かにするために競争しているのですね。その為に法律が存在し、規則を作るのです。生活が豊かになると言うことはみんなが可処分所得が増える政策を実行することです。それがユトリですね。経済的なユトリが出来て初めて次のステップのモラルなどの社会道徳を考えるようになるのです。安心・安全を求めても生活がカツカツなのに道徳観が育つのでしょうか?先ずは日本国民が食える社会構成が必要なのです。下のグラフを見れば明らかです。円建てのGDPは激減しており、ドルだけは伸びていますね。日本政府が弱腰だから簡単に名目成長率を押し上げることが出来るのに、実行しないだけなのです。

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僕らが儲けた2003年からの円建ての名目GDPは僅かですが伸びています。だから株価は右肩上がりに上がったのですね。ところが世界から見るとドル建ては伸びていますが、日本国内で生きている人間にとって豊かさの実感はありません。だから企業はグローバル展開を急いでいるわけです。このドルと円建ての差であるギャップはいずれ修正されるでしょうが、如何に日本の政策が貧困か分かります。誰も指摘しない。NHKも日経新聞も読売も朝日も…日本人はもっと賢くならねばなりません。情報の価値をもっと認識しなくてはなりませんね。だからいつまでも貧乏になるのです。G8でも存在感はなく、国際舞台で日本は馬鹿にされっぱなし…自国の防衛も出来ないようじゃ…無理もありません。反感を買うでしょうが、自衛隊を軍隊として徴兵制度を復活させ軍備を強化し、首相も公選制度にして地位を高め、責任をとらない政治を転換しないとなかなか…。

われわれ日本人が本当に自分で努力して自分なりの価値観を育て、メディアの批判を出来るようにならないといけないのでしょう。創られた情報に振り回される日本人の愚かさから脱出せねばなりません。