6重苦(2012年03月25日)
英語が理解できない私は、米国の中古住宅販売統計を自分で見てグラフを作成していますが…途中で数字が変わることがよくあります。日本でも時代の変化で新基準対応をして、昔のデータと共に新基準のデータを示す事があるので、そのケースかな?…と考えています。ただ言えているのは、昔は10か月ほど在庫を抱えていましたが、最近は月間販売数(季節調整済み数)に対し、在庫が6か月台に縮まってきました。昨年の9月以降、急速に在庫が減っています。ただ売買単価は20万ドル超えしていた2008年当時より大きく下がり、現在は15万6600ドル前後で推移しています。この水準は、ほぼ安値圏、昨年の夏は17万で回復していたのに…ここに来て最終処分の投げが加速しているらしいですね。

前回、報告した銀行団と政府の和解により、この在庫が大幅に増えるとの危惧を抱いている向きがあると述べたけれど覚えているでしょうか? 銀行団が260億ドルを払い隠れ在庫が367万件あるとのことですね。最近の価格下落はこの影響かもしれません。しかしこれで金融危機後の懸念が払拭される最終工程に入ってきました。この後、GSE(政府系の住宅公社のフレーディマックやファニーメイ)などの処理が終われば、ほぼ金融危機の後始末は終了です。CDS(Credit default swap)の処理はAIGの復活で終わりです。民間の行き過ぎた行為が是正され、新しい時代に入りますね。日本はバブルの後処理が終わったのは2003年でしょう。1989年から14年間かかりました。米国は2006年かな? 表面化は2008年9月ですね。
あの年は情報の大切さを知った年でしたね。最初はサブプライムだけと、高をくくっていましたが、サブプライムからCDSに向かい金融の基礎概念が歪んだのでしょう。今だって、このCDSの評価は微妙ですね。今回のギリシャ問題でも…結局は話し合いで妥協点を求めるわけで倒産したかどうかの処理が曖昧なので、CDS本来の持つ機能が発揮されているかどうか疑わしいものです。FRBが一所懸命に金融機関に代わって流動性を供給していますが、この実験の成果は成功なのでしょうね。今の所、過度のインフレにもなっていません。今の所、終わったはずの中央銀行の会合の成果は報道されてないようです。一般に目にする情報だけでは未来の読みは難しいですね。
世界的に雇用確保の為に法人税が引き下げられ誘致競争になっています。しかし…日本の基礎条件はだんだん悪化しています。日経ビジネスかな? 最初に6重苦の話しを目にしたのは…私は1年前の東電の処理から疑問に感じていました。先ずは最近になって緩和傾向ですが円高ですね。この原因はデフレにあり日銀の金融政策姿勢が一番の原因です。だから2月のバレンタイン緩和は驚きだったのです。官僚組織が機能してなく経済連携も遅れています。これに対して経済産業省は最近になってアジア向けのコラボ(アニメとの合体とか…複合的なビジネス)の売り込みを始めています。しかしポーズかな? 結果が出てなんぼですからね。財務省の行った円高対応緊急ファシリティーの1000億ドルは最近ではヒットの政策ですね。あの対応で円高への警戒感が生まれましたね。介入だけでなくいろんな方法があります。
原発の流れを見ていると過度の環境規制問題は日本人の一方通行的な性格でイワシ民族と言われる所以です。みんな原発反対です。私は原発賛成派です。現実な問題として電力の確保は必要で、直ぐに自然エネルギーに置き換わるわけではありません。既存の設備を上手に使うのが政治です。その点、橋下さんに期待はしていますが、落胆も同時に感じています。自然エネルギー買取の単価が問題になっていますが、1キロワットあたり42円程度に設定して、ビジネスの方向性を持たせればいいのです。ここで僅か数円の攻防をして、何になるのでしょう。将来、自然エネルギー立国を目指すなら45円でも良いのではないでしょうか? 原発反対の報道が華やかだが…そのエネルギー政策において、日本の未来像を考える方向性に向かわせる報道を、メディアはするべきでしょう。今は45円だとしても、将来は30円になるかも知れませんね。技術は進むのです。経済産業省の試算では水力が1キロワット辺り11.9円、火力は10.7円、原子力は5.3円だそうです。国際比較の電力料金は下記のグラフの通りです。

グッドウィルを倒産させたように労働政策はふらついています。最近ではパートの従業員に対し年金加入が義務付けられ企業負担がますます増えています。国際競争でアジアと比較すると、低水準の労働単価の他にも色んな制約があります。このような企業立地環境の中で新規の雇用創設が可能なのでしょうか? アジアと生産競争をしても勝てませんね。だから技術革新性のある産業の誕生が望まれますね。産業革命は蒸気機関などを始め、様々な技術革新が起こり、鉄道から通信まで革新的な時代進歩がありました。100年前後、この流れは続くのでしょう。インターネットが登場し情報化の流れが加速し、人々の意識変化が芽生えています。価値観の多様化が生まれ、画一化教育に馴染まなくなっています。
産業革命の時代も、長い期間、変化が続きました。今も似た環境でしょう。未来都市の建設を推し進めて欲しいものですね。どうせ実験なのですね。モデル都市をフクシマに造れば日本全土に変革の嵐が生まれ、内需が振興されますね。世界に先駆けSFの世界の未来都市づくりを官僚が音頭を取りやって欲しい。予算の獲得に走るから実現できないのですね。しかし官は制度を変えることが出来ますね。税制処置の緩和や費用を認めることで損金処理認定など…仮にフクシマで行う経費を費用認定すれば、多くの企業が実験に参加しますね。費用なんか掛かりませんね。その造成された未来都市を販売すれば採算に合うんじゃないかな?
ネット文化の発展とスマートシティーの建設は情報化で結びつきますね。現状の消費税法案なども大切かも知れませんが…夢のある政策を国民に訴えることが、何故、できないのでしょう。きっと自然エネルギーの買い取りに対しても、国民はコスト負担に文句は言わないでしょう。大勢は賛成するでしょう。原発も稼働させ徐々に変化を模索し、現実的な対応をして欲しいものです。今日は雑感を述べました。相場は調整入りでしょう。どのような形になるのか…しかし6重苦の問題は未解決であり、相場もおそらく修正の域を出ないのでしょう。米国もバラ色ではないことが、中古住宅販売を通じGSEの処理の重要性が理解されましたでしょうか? 決して弱いわけじゃないのですが…何か違和感も抱いている背景を綴りました。金融の貧弱な国は、成長は出来ません。金融は武力と同じですね。
何故、長年、カタルが金融株に強い関心を抱くのかお分かり頂けると思います。しかし今回は見過ごしました。野村の劣後債発表はエルピーダの増資のようにも見えたのですね。事前には銀行申請の話がありました。銀行なら倒産しても多くの顧客が保護されます。まぁ、本物の金融相場にこれから変化するかもしれません。ここで重要なキーワードは「円・ドルキャリー取引」の原点の日銀の金融政策なのですね。きっと間接的な話しだから、自殺者などの統計推移を自己責任に感じられないのでしょう。白川さんにとっては別次元の話なのでしょうね。しかし現実は蟹工船の世界が広がっているのです。劣悪な労働環境しか残された雇用がないのでしょう。株屋だから金融政策と自殺者の統計やうつ病患者の増大が目につくのでしょうか? デフレは縮み志向の世界ですね。でも人間は希望を抱き、明日はきっと良くなると信じて行動しているのです。