ピンチはチャンス(歴史観)(2011年03月27日)
昨日、NHKで大聖堂のドラマが終了しました。
舞台は1120年のイングランドでヘンリー1世の世継ぎが暗殺される場面から、キングズブリッジ〈架空〉で聖堂が建てられる物語です。宗教と権力が結び付き、いつの時代も変わらぬ抗争が描かれています。イタリアを旅したとき、一流と呼ばれるホテルに泊まりましたが、立地は良いのですが内装などは古い建物を改築したために今一つでした。日本では、丸の内の東京中央郵便局?の建物を保存する模索が伝えられていましたが、絶対に残すヨーロッパと、壊す概念の日本は文化の違いを感じます。たしかに日本でも京都や奈良では歴史的な建造物は残っていますが、観光遺産と言うか商売の為に保護しているようなイメージです。金閣寺や清水など…高い観覧料を取られます。坊さんは税金も払わず大儲けでしょうね。でもそのおかげで維持されていることの意義もあるし…難しい判断です。
株をやっていると「時代の流れ」を考え、歴史観が要求されます。それは企業が変化するからですね。企業の成長にも隆盛があり、その前には必ず低迷期が存在します。企業が没落していくと何度か再生を試みます。しかし折角の再生が一時しのぎの場合もあります。一例を挙げれば…おそらく鉄鋼業界、あれほど未曾有のリストラクチャリングを経験したのに、あの時に海外展開を図らずに、チャンスをものにできずに大きく出遅れました。
逆に世界的な成長企業に育つケースもあります。最近ではコマツでしょうか?2002年3月コマツは大幅な赤字に陥ります。その時〈2001年10月〉の坂根社長の言葉は此方です。少し古いですが、他もの僕が手掛けた企業で任天堂もそうですね。トランプやかるたしか作ってなかった零細な堅い会社が冒険をするのですね。「ゲーム&ウォッチ」1980円だったかな? 今から考えれば、チャチな時計とゲームをくっ付けたおもちゃです。これがファミコンに化けるのですからね。歴史とは面白いものです。チャンスを生かせる企業と生かせない企業の差は面白ものですね。
このように隆盛の前に多くの場合、必ず急激な落ち込みがあり、その苦難を乗り越える為に、もがくわけです。その苦難が糧となり希望を持って臨めば、必ず成功し初めて本当の再生が果たせます。よく先輩が昔「カタル君、夜の明けない朝はない。夜明け前が一番暗いんだよ。」…と落ち込む僕を諭してくれました。その言葉は今でも励みになっているように感じます。今回の震災の被害者の方も希望を抱き行動することでしょう。
IRNETを始めたころの思い出に、十名ほどの人に日揮の推奨理由を送ったメールを思い出します。1999年春の話ですね。実は日揮はプラント建設の見込み違いで多大な損失を計上し倒産の危機を迎えていました。その頃、運よく石油価格が上昇し始めカタルは取り組んだのを思い出します。しかし取り組みが1年、早かったのですね。その為に折角、有望な株に出会ったのに、そのチャンスを生かせませんでした。多くの読者の人も経験されたことでしょう。売った瞬間に株価がどんどん上がる経験はありませんか?

それはよく知らないから…、無知だから当然の帰結ですね。
現在は市場のエネルギーが非常に低く、市場への参加者が少ないので、折角、大きく育つ環境下にも拘わらず、株価が育たないことが良くあります。本来なら確実に1000円になる筈の株が600円程度の評価しか与えられない。それは市場が正常に機能していないためですね。
ブルドック事件を盛んに引き合いに出すのは、最高裁の今井判事が下した判決です。市場から株を買ったにも拘わらず、グリーンメラーと認定され買占めだと言って、株主としての権利を認めてくれませんでした。明らかな差別です。日銀券は日本ではどこでも通用しますが、ある人が日銀券を使おうとすると、あんたの金は要らんと言って、品物を売ってくれません。法治国家の筈なのに…差別が生じる。最近でこそ、選挙での一票の価値が問われ最高裁はようやく修正に動いていますが、島根の人間と東京の人間では人間の価値が違うのです。それも5倍程度ですから…。まだ価値を認めてくれていますが、株券の場合は株主によって増資を受け取れる人間と、お金でしか受け取れない人間と分けられたのですね。
このような外部環境が、日本の場合、大きく影響し市場が疲弊していきました。まぁ、ブルドックだけでなく根本は金融政策の不備です。デフレ政策を維持しているからですね。おそらく消費税が引き上げられれば、政策官僚は政策を転換するのでしょう。いまイギリスでは壮大な実験をしています。でも株価は確りしていますね。つまり緊縮財政を乗り切っているのでしょう。一方、米国はヘリコプター作戦を実行しています。空からお金をばら撒いています。二つの相反する実験は、なかなか面白いですね。
先ほどの歴史の話です。
今回の震災は歴史的な価値があるのでしょう。しかも米国の金融危機の後で世界経済が立ち上がる時に発生しています。同じく、昨年10月に日銀は歴史的な政策を実行しました。日銀が直接、資産価値を高める為に行動を起こしたのですね。米国はこれほどお金をばら撒いていますが、まだ節度ある行動です。しかし日銀はわずかな金額とはいえ、破格な行動に出ました。白川さんの心中はジレンマでしょうね。白川さんは日銀だけに頼られても…と叫びたい心境でしょう。
世界の枠組みを変える未曾有の金融危機、日本では未曾有のデフレ。そうして未曾有の震災です。かなり深い亀裂ですね。歴史観から観て…です。僕らは、この数百年に一度と言うタイミングでしか起きない震災の時間に生きています。しかもこのような世界的な情報革命であるジャスミン革命の時期に遭遇しているのです。大きく歴史が動き動乱しているから、価値観が大きく変化します。新しい価値を早く身に着け行動することが出来れば、飛躍できるチャンスでもありますね。タイムマシン論は、ある意味でチャンスが転がっているのです。
故にルネサンス、再生なのでしょう。戦後の復興を乗り越える震災からの再生か…。