思わぬ相場の真実が発見できる

コラム

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現状分析(2011年02月27日)

残念ながら、まだ明確に相場の方向性が見えません。もともとジャスミン革命がなくても、どんな形になっても資源価格の高騰は市場経済への新興国の参入により決まっています。何度も書きますが、新興国の人口は先進国のおよそ3倍です。その人たちが車を中心に文化的な生活を営むことで、様々な資材が高騰し資源価格を押し上げ、エネルギー革命が起こるのでしょう。EVも原子力発電や太陽光発電も全て一貫の流れですね。この為に自動車株や資源株が高騰しやすい背景があります。

一方、日本と同様に先進国は内外価格差競争にさらされ、労働集約型の非効率な産業が淘汰されます。先進国の経済活動は供給過多になり生産調整を強いられ構造転換が求められます。内外価格差調整ですね。その為にデフレ状態になりやすいのですね。市場が日本のように開かれてないと、更に落差が非常に大きなものになります。苦しみましたね。バブル崩壊の清算が「住専」や「りそな」で、もうすぐ終わります。永遠22年ですからね。実はこの時間調整は非常に貴重なものです。相場を考える場合、休んでいる時間が長いほど次の相場は大きくなります。

先進国のデフレは新興国のインフレにより調整が促進されます。今の現象はその動きでしょう。ジャスミン革命もインターネットと言う情報インフラ革命によりグローバル化が促進した形なのでしょう。ようやく新興国のインフレが始まり、先進国と新興国とのギャップが埋まり始めました。このインフレは、先進国に打撃を与えるものではなく、もうすぐ
先進国の出番になります。日本の場合、在外価格差で維持された鎖国制度が崩壊し、グローバル化の洗礼を受けました。ジャスミン革命も政策のグローバル化ですね。日本は独自ルールの崩壊(2003年まで)と先進国の洗礼(金融ショック)を二度に分けて受けました。今回のリーマン・ショックは駄目押しでしょう。

あと残された、考えられる構図は日本の財政問題です。
この処理がどんな形で進むのかは見えません。急激な円安になり物価高の中で調整するのか? 決断力のない政治情勢が痛みを先送りしているから生じていますが、菅政権が追い込まれて、唯一、人気を回復できる政策は、自らの定数削減と公務員改革でしょう。そうして痛みを自らが率先して行い、改革が完成するのでしょう。イギリスの株価はあれだけの緊縮財政を実施しているのに意外にしっかりしています。つまり自民党政権で実施した公共事業投資は前時代的なもので効果を発揮しませんでしたね。しかし光通信網などの整備にも使われデジタル化が進み、役所のインターネット申請も入口に位置していますから、まったく意味がなかったわけではありませんが効果は薄かったですね。

あの無駄が生きる素地がありますね。今ではインターネット通販が当たり前で、世界で最も効率的な物流システムが構築されています。きっと新しい時代の入り口に一番近いのは日本でしょう。財政難でお金もないしPFIを使った効率的な社会構成が世界で最初に完成される素地はたくさんあります。問題は政治家もそうですし、経営者も早く時代の変化を感じることでしょう。コマツのように目覚めた企業は体質も強くなります。重工は変身できるかどうか分かりませんが、ようやく変化の兆しが見えているようですね。日立は既に変化し始めていると信じていますが、調査をしたことがないから分かりませんが、今のところ内部変化が進んでいるように感じます。

日産のゴーンさんのようにグローバル視点に立った経営者が増え、明らかに日本経済は変革を迎えていますね。遅れている内需の方向性を決めるのは政治ですが、さらなる情報インフラ整備は必要なのに、先日の総務省の選択は3年もの時間を無駄にするもので残念でした。その為にステップを飛ばしソフトバンクは好業績を背景に、一足早くアジアのインフラ構築に動き始めたように感じています。背景には格付けにより金融圧迫が薄れ、動けるような環境になってきましたね。楽天も海外進出しDENAも動いています。

私は、菅政権は嫌いですが岡田さんの考え方は筋が通っているようにも感じています。小沢氏を好きなので、処分などすべきではなく団結して事に当たるべきだ思いますが、新しい政治スタイルを確立し始めているようにも感じますね。もう少し分かりやすい説明と、議員の定数削減や公務員改革などを目に見える形で実施すれば、扉は開けるようにも思っています。まずは政治家の定数削減と公務員改革を実施し、それを梃に財政再建を行いPFIを活用し民間力を高めるべきでしょう。その為の法令改正が必要ですね。このままでは一流企業は、みんな本社を日本以外に移転しますね。

さて長くなりましたが、こんな環境下で相場を考えると日本の置かれた環境下は地政学的に優位に立っています。人口を多く抱えるアジアに位置しています。さらに何と言っても相場論的に22年もの低迷期間が魅力的な大相場の条件を作っていますね。今はその入り口に位置しているのでしょう。新興国のインフレは日本にとって最も理想的な形なのです。まだ市場はインフレ懸念を充分理解していませんね。ようやく評価し始めたところで、私のように資源高は先進国とって新興国と対抗できる武器だと言う認識が市場にありません。

新興国は人件費、先進国は資源高と言う武器があります。少し分かりにくいでしょうか?先進国はGDPが高いので物価高の影響は受けますが、新興国ほど深刻ではありません。日産自動車のマーチに見られるように労働集約型の儲けが少ない部門を新興国に移転し、効率化投資に向けた転換期を日本は迎えます。丁度、炭素繊維のように加工などが技術的に容易になり普及期を迎えてきました。このような事例はたくさんありますね。何も素材だけでなくスマートフォンの進化もその一環ですね。マッピーだったかな?GPS機能を利用したSNSもありますね。要するに効率化社会が構築されSFのような未来社会が構築されますね。ロボットもその一環です。

大切なのは米国の戦略ですが、中国の成長が米国の脅威になりつつある現実があります。ステルス戦闘機開発や空母の製造を受け、米国は戦術を変え始めているようです。間もなく全人代総会が開かれますが、最近、中国は海洋開発にも熱心になってきましたね。一部では東西冷戦下の日本と似ている構図が存在すると言われています。これから起こる米中間の対立構図の中で、日本は漁夫の利を得る可能性があります。

具体的にグローバル化がどんな変化を日本にもたらすかと言えば…そうだな。日産自動車が1999年にリバイバルプランを打ち出しました。おかげで系列化の部品メーカー構造改革を迫られました。売上高利益率はたぶん系列下の中では、日産が一番低いでしょう。その為に日産の部品メーカーは、販売先をドイツ車メーカーや中国車メーカーに広げましたね。所謂、日産が鞭を使ったおかげで、グローバル企業に脱皮できたのです。鬼怒川ゴムなんかを見ると、そう感じますね。万年、100円~200円台の駄目会社だったのです。その会社がこの度の成長期で、変貌し始めました。河西工業もそうでしょう。

同じことが日本経済全般に言えます。財政赤字でどうにもなりません、故に知恵を出した変革を求められます。幸い日本は社会基盤の更新需要期を迎えます。この機会に電線の地中化を含めた新しいインフラ整備網を構築できれば世界で一番快適な国づくりが実現できます。リニアの物流システムが整備されれば、この空間を利用してゴミを資源化もできますね。国際会計基準もその手助けになりますね。日本独自基準が消えてグローバル化視点に変化しています。丁度、DENAが国内に拘っていましたが、海外進出を求められている構図に近いですね。こんな事例はたくさんありますよ。地味なメーカーではピジョンやTOTOなども大きく成長する可能性を秘めています。

考え方の基礎ができれば、その方向性で銘柄選別をして取り組めばいいのです。今はその端境期でようやく日本が新しい世界に向かうための入り口に立っているように感じる次第です。ただし一度もう少し資源高の洗礼を受ける可能性はあります。ジャスミン革命もまだ終焉を迎えたわけではありません。故に石油の発想に至っているわけですね。まともな銘柄を好む人は石油資源開発、リスクを選択し大きな値幅を狙い人はAOCだろうと考えている次第ですね。