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コラム

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QE2(2010年11月07日)

QE2(量的金融緩和策第2幕)の話しを株式教室でしなかったので…今日はこの政策を考えてみます。基本的に経済環境は、人間の感情が行動に表れ、その結果の増幅なのでしょう。
株価が上がると豊かな気持ちになり、手持ち資金を使い消費に走ります。消費は伸び設備投資が膨らみ需要に見合う供給体制が整えられ、設備投資などの二次的な作用が働きどんどんと拡大に走ります。この利益が企業業績の向上により更に株価を押し上げて、無限の経済拡大へのステップになりますが、ある時に歪みが生じバランスが崩れますね。

見込み生産とか…儲かると確信して過度の投資に走ります。これがバブルの現象ですね。しかも自己資金ではなく他人資本に依存しレバレッジをかけます。これは人間なら当然の感情ですね。もっと儲けたい…。日本の不動産バブルも米国のサブプライムローンもそうです。不幸な事に米国ではCDSなどの金融デリバティブの発展と同時進行だったために傷口が広がったのでしょう。米国は日本ほど深刻な不動産バブル状態ではなかったと思います。でもCDSなどの金融デリバティブ機能が未熟だった為に(市場の不整備)混乱が生じたのでしょう。

さて難しいかな?
簡単に解説しているつもりですが…原点は人間の感情なのです。ここが問題です。
日経新聞など…世の中の流れを作り出す誰かが、例えばノリエル・ルービニNY大教授の話しを紹介すると…皆が書き始めます。かれは米国の経済崩壊を予言していたそうです。でも別に彼が有名なわけではありません。内容を知っていれば誰にでも簡単の予測できる崩壊の現象ですね。彼は今、QE2は効果がないと述べています。しかし…そうかな?

FRBのバーナンキの狙いは期待インフレ率を高めることであって、流動性の罠に陥った日本と同じ轍を踏まないように…過剰な流動性を市場に与えています。ここでフリードマンが登場します。たしかにこの金融政策だけで最終的に解決するわけじゃないでしょうが、少なくともインフレ状態になり期待インフレ率が高まりますから、今のようなお金を大切にする経済状態では的確な政策手段でしょう。問題は金融規制との兼ね合いです。折角、QE2により期待インフレ率を高めても、金融規制の強化で銀行の融資態度が変わらないと政策効果が打ち消されますね。日本はまさにこの状態です。金融庁の指導が厳しく貧困政策が続行されています。だからいくら日銀が笛を吹いても貸し出しは伸びませんね。この状態が「流動性の罠」です。

米国は丁度、三重野元日銀総裁が金融政策を担ったときと同じ状態です。
比べてみれば分かりますが、180度違った正反対の金融政策を実行しています。だから米国は大丈夫ですね。深い落ち込みになりませんよ。加えてデッカプリング現象があります。新興国は成長し需要を作っています。この原稿を書くにあたり、この年になって…大学時代に勉強してない為にフリードマンの考え方の走りを勉強しました。一度、彼の本を読まないとなりませんね。彼はマネタリストで僕と同じ市場原理主義者のようです。基本的に小さな政府、規制撤廃で自由な国を求めていますね。民主党は何でもかんでも国が面倒を見ようとする大衆迎合主義の考え方、共和党や自民党は自己努力により自己責任の下で頑張ろうとする考え方なのでしょう。

株高なのにノリエル・ルービニを持ち出しQE2に疑問を提示した書き方を日経の高井宏章と言う記者はしています。こんな時は次のことを考えるのですね。既に期待インフレ率は高まりつつあります。つまり米国のキャッシュは動きますね。アップルにしてもマイクロソフトにしても…お金の使う方法を検討しているでしょう。日本ではDENAが的確なタイミングでお金を使いました。ただngmocoの価値は結果論ですから…。僕が実際に調べているわけじゃないし語れる道理がありませんが、行動するタイミングとしては経済環境にマッチしており、素晴らしいの一言です。

話は逸れましたが、要するに次のステップは危険が思い浮かびます。インフレの副作用です。今の段階で言う言葉ではありませんが、確実にQE2は物の価格を押し上げます。そうです。商社株や住友鉱山がメインの相場になる可能性があります。コマツやファナックは現在新値街道ですが、まもなく衰退しますね。何故なら、中国などの新興国の一人あたりのGDPは先進国より低い為に、人件費が上がり、原材料費が上がりますから、まもなく息切れする筈です。今は資源なのでしょうが…。

日経さんは、もっと明るい話しを新聞の載せるべきなのです。人殺しや社会批判など、もううんざりです。だから僕は…昔にまもなく戻ります。