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小説(2010年10月31日)
今、読んでいる本はなかなか面白いのです。
むかし小川是と言う人が、証券局長に就任した時に、株関係の小説を何篇か読んで仕事に臨んだという話しを聞いたことがあります。彼はその後、国税庁長官を経て大蔵事務次官に就任した後、日本たばこ産業、横浜銀行と天下りを繰り返しました。野村證券が沈む切っ掛けの証券不祥事の時の担当者です。その時、小説を読んで業界の事を語る人間に反発を覚えたものです。
でも最近は一理あるかもしれない。…と感じています。
一昨日、日中首脳会談が突然キャンセルされ、大きな反響を呼びました。最近ではレアメタルの話しが良く話題にのぼります。事情を知らないと奇異に感じますが、これまで読んだ小説に描かれている中国像など考えると、なるほど…と奇妙に納得できます。
中国関連で読んだ小説の代表は「ワイルドスワン」です。文化大革命の自叙伝です。このユン・チアンさんが書いた毛沢東をテーマとした「マオ」も読みましたね。最近では真山仁の「ベイジン」と言う中国の原子力発電所開発をテーマにした小説を読みました。このベイジンは中国の共産党幹部の考え方がよく出ています。
このような小説を書くために、かなり作者は取材をするのでしょう。山崎豊子さんのようには取材に時間を割くことはないでしょうが、それでも実際に起こったことを題材に脚色して行くのでしょう。「運命の人」は、西山さんと言う実在する記者がおり、記事にしたために更迭され、その後の人生は歪んで行きます。先日、リクルートの江副さんがテレビで地検の話しをしていましたね。やはり取り調べの全面可視化は必要でしょう。密室では公平ではありません。今でこそ、国策逮捕とか…何処まで真実か分からないと言う風潮が生まれてきました。厚生労働省の村木厚子さんの誤認逮捕が切っ掛けになっています。でも僕は前から疑っていました。ライブドア事件も、かなり作為的な部分があるのだろうと考えています。最近ではメディアの方向性が定まっており、情報は故意に作られていると考えています。
ここ1年ほど、WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)を読むようになって日経新聞の薄っぺらな部分が見えてきます。一方、残念ながら嫌いだった朝日新聞の情報力が光るようにもみえます。ネットの情報も中国が発信している視点は、日本と異なり、また違う考え方を与えてくれます。つまり同じニュースでも、取材する立場が違うと、観方が大きく異なる場合があります。株を考える上で必要なバランス感覚ですね。
僕は株屋で株屋の視点で市場を見てきましたが、やはり歪んでいましたね。今度、株屋を辞めると違う観方が生まれるかどうか…楽しみな実験です。冒頭の面白い小説と言うのは宮城谷昌光さんの「太公望」です。現在は「上・中・下」の中です。