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迷い(2010年10月10日)
ようやく長かった日銀のデフレ政策が変わり、株式市場にも春が訪れる可能性が出てきました。車の両輪のように、あとは金融規制緩和が金融庁から打ち出されるかどうか…。
この度合いにより、日本経済の回復状況が大きく変わります。無論、日銀の政策転換も不退転の決意かどうかも怪しいのですが…先ずは方向転換がなされたことは嬉しい限りです。

長い期間、日本は年功序列や終身雇用制度を守る為に内外価格差を設けてきました。洋服の価格推移を見れば明らかで…既に内外格差は縮小しました。この20年間で雇用の流動化も進み、正社員の首切りの社会的な環境も整いました。一度は持ち合い解消も進んだのですが、2005年から2006年の揺り戻しで整理の時間が延びましたね。ライブドア事件は不幸な結果に終わりました。その後のブルドックソース問題は、世界からのガラパゴス化で資本問題を先延ばししました。故に論理的に割安でも、世界からお金が入らない現象が続いています。
ただ同時に民主党政権の誕生で、国内雇用から呪縛を解き放れたわが国の企業は、アジア地域中心に投資を加速させています。立ち上がりがずれた為に、サブプライムから金融デリバティブの崩壊であるリーマン・ショックを通過した、この時間軸のズレにより、欧米ではなく、アジア地域に資金を集めたので、これからの日本経済は明るいものがあります。世界の中で一番デカップリング現象の恩恵を受けやすい環境が整っているのでしょう。まもなく中国に続きインドの時代が幕開けします。幸い、インドは中国とは資本の形態が違い日本企業にとっては進出がしやすい環境が整っています。あまり評価されていませんが、御手洗前経団連会長の成果でしょうね。何度か日本株式会社を引き連れてインド、中国、ベトナムなどのアジア地域を回っていました。
遅れているのは政治ですね。なかなか統合も出来ませんし地域主権も委譲されません。官僚組織は流石にしぶといですね。失われつつあると言っても小沢氏の社会問題化を創作したり鳩山政権を潰したり、まだ勢力を握っています。菅ロボット内閣を誕生させる力はなかなですね。しかし彼らにも内部分裂があるのでしょう。いつまでも失われた時代を演出する力もありません。相場はここから面白くなりますね。強弱観が対立する「強気相場」が始まりました。世間からの評価はなかなか変わりません。だから買いにくい難しい相場展開が続く序盤戦でしょうが日銀のインフレターゲット論は心強い限りです。円高でも大丈夫です。輸入物価が下がりますから、さらなる金融拡大政策に追い込まれます。
自分達、自ら目標値を設定したのでFRBが拡大策を取っている以上、対抗しなくてはなりませんから、株安の原因の資産デフレ対策にも着手し、株安の一番原因だった元凶が取り除かれます。敵の大将が降参したのだから後は「烏合の衆」と考えるのが普通でしょう。問題は自己資本比率規制との考え方をどう扱うか?でも時間の問題なのですが…。果たして間に合うかな?まだ転換の意義を理解していない人も多く、立ち上がりを強くする為には後押しの政策が必要ですね。金融規制が実際に緩和されるかどうか分かりませんが振興銀行や武富士は象徴的なダメ押しと読んでいるわけです。
今からこんな事を述べると…馬鹿のように聞こえますがトヨタと日産の株価の逆転もありえますね。トヨタは不幸ですね。この時期に章男さんという御曹司を充てたために日本国を裏切る経営を取り辛いのです。その点、外人部隊のゴーン氏は日本の土着性に縛られません。だから簡単に中国にEV技術も供与し競争の先頭を歩んでいます。もし日本人の社長なら日本の技術を売り渡す行為は、背任行為に映りますね。僕が長い間、政策批判を続けながら株を売れなかった感情に似ています。悪政を批判しながら転換に賭けて株を買ったのです。政策転換がなく…とうとう追い込まれました。まさか、ここまでやるとは…。
今でも不思議に思いますね。何故、官僚政権はここまでデフレ政策を堅持したのか?と言う疑問です。分からないでもありません。おそらく消費税ではないか?と考え、どうせなら消費税を15%~20%に上げさせてインフレ政策への転換を目論んでいたのでしょう。だから菅さんが消費税引き上げに言及した時に、あえて賛成しました。もう一つは消費税を引き上げれば発行する国債が減り、有り余るお金は株式に流れると言う読みもありました。株屋が考えるスピードは世間様の時代時間とたいぶかけ離れています。
1992年の夏、和光証券の副社長だった和光不動産の小川さんはかたる君に言いました。「今回は銀行が傷付いているから、時間が掛かるから田舎に帰りなさい」と諭されたあの領域かもしれませんね。通常は「石の上にも3年」と言いますから、ここから3年が目処かもしれません。マツダはそんな時間認識なのかな? 年初に日産のマーチ生産移転などを読んでおり、円安の可能性も視野に入れていましたが実際は大きく外れ違いました。しかしこの構造はむしろ加速しています。続々と企業は海外投資をしますが国内投資はしませんね。だから為替も「極み」の部分なのでしょう。
転換点なのですが…スピードが分かりません。だから迷っているのです。