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清貧思想(2010年10月03日)

僕はいつも世の中を暗くしている基準が清貧思想だと述べています。
今日はこの清貧思想について考えてみました。景気の浮き沈みと同じように、人々の心を縛る思想も時代の流れで変化します。教科書でしか知りませんが、過去の日本にも世間から批判を浴びた政策が実行された例があるようです。そうですね。時代劇に登場する江戸時代の「生類憐れみの令」と言う犬を殺傷したものは厳罰に処すという法律が代表的な例でしょうか。背景にはどうも犬好きの綱吉と重臣の確執があったとか…権力闘争が産んだ歪んだ法律だったとの見方があります。

官僚政治が連続で失敗するミスを犯し始めたのは、1985年のプラザ合意が切っ掛けだと思われます。丁度、その頃の日本は、世界で一番だという年功序列や終身雇用が確立され、このシステムが賞賛され始めていました。「村」社会から「会社」社会への転換が完成した瞬間でしょう。今日は歴史の勉強ではないので…要するに皆が与えられた事に、精一杯努力すれば、豊かになりえた時代です。ところがこのシステムが崩れ始め、秩序が壊れ始めます。この切っ掛けが、円高から生じたバブル時代を演出したのは澄田―三重野の元日銀総裁達です。

まぁ、彼らも能力がなかっただけで、過去の総裁とそう変わりませんが、それほど時代への対応は難しかったのでしょう。その清算処理が失われた時代ですね。りそなは、未だにその処理が難航しています。発生から20年ですね。明らかな官僚政治の失敗です。まぁ、彼らだけを責めても仕方ありません。マスメディアが増長し、日本独特の「村」意識が働きます。

この「村」意識を少し説明する必要があるでしょうか?
江戸時代から庶民を縛る制度が発達しており、異端者を邪魔者扱いして村単位で監視システムを作りました。今でも名残はありますが…ご近所さんの噂話です。「あそこの奥様は…」と2人や3人が集まりコソコソやりますね。昔は村単位で責任が追及される仕組みがあったようです。その為に皆が監視をして行動に制限が加えられます。つまり日本には他人と違った行動を取ると異端者に写るのです。

統率された社会環境を、日本人は好むのでしょう。むかし数学の授業の時に、解を得るために別の方法で正解を得たのですが、先生から注意されたことを覚えています。きっと文部科学省が指導するやり方と違ったのでしょう。日本人はテレビをよく見ますね。マスメディアの影響で、一般社会人も教育されています。故に地検が逮捕すれば、逮捕された人は悪人と判断します。しかし…鈴木宗男の有罪判決も私は疑わしいと感じています。

この政治家の癒着と賄賂の認定は、その場に立てば判断が難しいですね。有権者にとって良い政治家は悪人の基準かもしれません。考えてみれば分かります。地域住民が「先生、あの道路を治して欲しい」と陳情します。「よしゃ、分かった」数ヵ月後、住民の要望どおりに道路が修復され、住民がお礼に行きます。「先生、ありがとうございました。」そのお礼を貰ったら、賄賂かな? 

国民、皆が小さくなりましたね。大岡裁きの裁量権があるから、国や地域の役所に監督権があるのでしょう。悪いことをしても、全体的によければ、その悪は良い事になります。一々、停止線の前で車が止まっていたら、混乱が生じますね。あの停止線の位置では、横通りする車の確認が出来ない場所がたくさんあります。どこに基準を設けるか…難しい問題ですが、今は、やけに規制が厳しく感じます。普通は現場に裁量権が認められるものですが、現場に裁量権がなく本部が決めますね。全てマニュアルに沿った対応です。僕ら金融界だけでなく、全部の産業が同じような現象のようです。金融界では2003年前後から厳しくなったようです。小泉・竹中改革の辺りですね。

冒頭に「生類憐れみの令」の話しをしました。
おそらく役人様の嫌がらせが進んでいるのでしょう。それが2006年です。鳩山首相が「情報が上がってこなかった…」とこぼしていましたね。きっと役人様は、こう応えるでしょう。「聞かれなかったから…」と。難しい社会構造です。一方、産業界でも…ソフトバンク、ライブドア、楽天と…既得勢力に挑みますが、みんな敗退しています。フジテレビの日枝さんをはじめ、なかなか改革が難しいのが現状ですね。ソフトバンクはNTTや総務省との交渉に業績が左右されます。

つまり今の時代が大きく変化する為には、時間が必要なのでしょう。金融庁の大塚さんと亀井さんの発言を聞いてそう感じました。両者ともそれぞれ正論なのでしょうが…何処で時代観を入れるかどうか? 基本がグローバルかどうか? これから問われるのでしょう。やはり僕には空売りが出来そうもないし、高成長が続くアジア圏にお金を投じることも出来ません。これからの証券マンはきっと…国際環境を考え、グローバルな世界に視野を広げないと駄目な時代なのでしょう。

話しが飛びましたが、清貧思想は上層部の確執が生んでいる時代観なのでしょう。長く続く低迷が人々の心を蝕んでいます。自殺者や鬱病患者の増加はジレンマとの戦いの表れでしょう。心の問題ですね。今の清貧思想が続くと心が壊れます。人間はいつまでも仮面を付け続け生きられませんからね。歪んだ社会構造はもう直ぐ変化するでしょう。何しろ、一介の株屋が矛盾を感じているわけですから…変化はもう直ぐです。清貧の反対に包容力と言う言葉が対峙しているのでしょう。みなさんも多少の部下の失敗を、ガミガミと細かく言わないで、暖かく見守って下さいね。マニュアルがおかしいと感じたら、杓子定規に判断しないで、人間として生きていることを前提に物事を考えて行動してくださいね。地道な行動がやがて社会を変えていくことでしょう。