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コラム

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労働生産性とは…(2007年01月21日)

先日、内閣府から発表されたドルベースのGDP統計から下のグラフを作成しました。この10年日本は失われた時代の克服に時間をとられましたが、アメリカは一貫して成長しています。一方、嘗ての覇権国のイギリスさえ、金融ビッグバンから成長を取り戻しているのです。日本と何が違うのでしょうか?

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私は資金配分の仕方が問題なのだろうと考えています。厚生省のグリーンピア問題を始め、多くの資金の使われ方が非効率になり、官製談合が指摘されています。日本の官僚はむかしは優秀だったのです。資金の適正配分のより高度成長をしましたからね。ところが、矛盾を隠そうとするために、ごまかしが横行し歪んだ予算体系になりました。一般会計より多い特別会計の存在は、最近まで多くの国民は知らなかったのです。しかもマスコミも公表をしません。官舎問題一つ取ってもそうですね。都心の一等地に安い賃貸料で利用できる特権などは、ほんの一部の現象です。本間正明税調前会長の愛人宿舎問題などが表面化したのは記憶に新しいですね。僕なら開き直るのに…「この制度が合法的に認められているから僕は利用しました。この合法的な制度がおかしいなら、全ての官舎などの利用認定する税制を見直します。本来なら所得認定すべきですから」…といえば、日本は前に進んだだろうに。 まぁ、こんな事例は他にたくさん存在します。

安倍政権は掲げた首相補佐官制度など新聞を読んでいると、前に進むのが困難な様子ですね。こんな中で、先頃、経済財政諮問会議が「日本経済の進路と戦略」をまとめました。そのイメージの成長率が下のグラフです。14兆円からの財出削減を実施し、名目成長率を3.9%に高めるというのです。そうして2011年にプライマリーバランスを達成させ、増税なき成長路線を掲げています。実現できれば素晴らしい事です。

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さて、この中で何が実現の為に必要か?
会議資料によると、
1.生産性の上昇「規制改革なくして成長なし」
生産計画倍増、生産性の上昇、中小企業のIT投資の促進、イノベーション25
2.グローバル化「開放なくして成長なし」
EPAの加速、強い農業への道筋、金融・資本市場改革、海外とのアクセス飛躍的拡大(空港・港湾などの24時間化)、対日直接投資の加速
3.人材活用「人材活用なくして成長なし」労働市場改革
ワーク・ライフ・バランスの実現、集中的・効率的な能力支援プログラム、就労促進型福祉への転換、ハローワークへの市場化テスト導入

今日はこの中で労働生産性の向上に的を絞って考えて見たいと思います。
労働生産性とは何か? …ですが、経済式は付加価値を生む従業員と言うことです。

労働生産性=付加価値÷従業員

このためには労働装備率を上げて、付加価値の高い事業を手掛けなくてはなりません。分かりますかね? 先頃の税制改正で設備投資の償却期間を短縮し、残存価格をゼロにしましたね。これは労働装備率をあげる政策の一つです。

私が日立の経営を批判するのも利益率の低い事業に経営資源(お金や人)を投じているから駄目だと言っているのです。逆に東芝は本業に関係ないと思われる会社を手放し、原子力や半導体に力を注いでいます。この違いは分かりますね。

労働生産性とは、一人当たりの売上も増やさねばなりません。一人当たりの売上の基準値は8000万円で、一人当たりの売上総利益は1500万円、このうち人件費はおよそ800万円が、上場企業の平均値だそうです。あなたの生活はこの平均値を上回っていますか?ここが問題です。自分の給料がどうのこうの…と文句を言う前に、自分はどれだけ社会に貢献しているか? 自分が日本にとってお荷物なのか? よく考えて下さい。

結論を言えば、売上高利益率が高い業種に就職して、売上を伸ばす事が労働生産性をあげ、日本のGDPを上げる事に繋がります。今の日本は世界で14番目の地位でどんどん下落しています。株式市場で儲けるという行為は何か? 労働生産性の高い企業に投資をすることですね。労働生産性が高い企業しか日本の残れないのです。必要ないのです。必要のない企業はいずれ淘汰される運命が市場経済です。過酷のようですが現実は厳しいのです。