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株式相場を考える(2007年01月08日)
新年を迎え新しい年の相場を考えて見ます。まず、日経平均株価です。

上のチャートを見てわかることは、株価は上手く出来ていますね。2006年は2005年の上げ波動を調整する一年だったという事です。昨年は新興株の下落した一年で、後半には新日鉄―5401を中心とした低PER銘柄の物色、トヨタ―7203を中心とした国際優良株の物色と言う二大勢力が活躍した年でした。残念ながら、新規参入のネット族が好む新興株式は大きく下落した年です。しかしこの現象は、ある意味で意義のある値動きでした。ディーリング相場と言う目先の値動きだけで売り買いをする相場を戒めた現象と言う見方ができます。既にベテランの域に達する私がこのページを通じて警告を発する事ができず、自ら踊っていた事を考える自分の未熟振りを、悲しむばかりです。今年は少し勉強をしようと考えています。
本日の日刊工業新聞の最終面にありますように、原油価格の動向は非常に重要ですね。通説ではBRICsの発展により世界的にエネルギーの需要が高まり、需給関係が逼迫し原油価格が上がった。と言う説を打ち消す見方が、石井氏(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)より発せられています。
彼の説は「そのような通説の影響もあるだろうが、主要因は商品ファンドの影響だと言っています。世界の石油価格はWTI(米国産標準油種)先物市場で決まっており、未決済残高は04年始めに60万枚から、昨年末は120万枚(12億バーレル=約9兆円)に膨らんでいる。」と述べています。つまり市場に溢れる資金が商品ファンドに流入し価格を押し上げた投機だというのです。原油の在庫量は充分あり、逼迫はしていないというのですね。
この見方は当たっていると思います。この原因を支えているのが日銀だと言うのが僕らの通説ですね。世界の投機資金を支えているのは、日本の低金利で円・ドルキャリー取引だというのです。今日の日経新聞にも、わが国の個人金融資産の3.1%の46兆円が海外資産だという記事が載っていました。この増え方が急だと報道されていますね。このような仮説に立つと、日銀の金利調整機能が世界経済に多大な影響を与えるという事になります。これがポイントの1ですね。

日経新聞にも報じられていますがアメリカ経済の行方です。住宅需要の予測は重要です。個人の買い物の中で一番高い買い物が住宅で、関連商品の家電や内装費など膨大なお金を消費しますからね。次は車でしょう。故に、この指標からは目が放せないのです。下のグラフは内閣府の資料からのものですが減速傾向は明らかですね。おそらくFRBは今年前半に利下げをするのでしょう。アメリカ経済の運営はプロのスタッフがやっており、日本とはずいぶん様相が違います。だから減速はするが適正な成長は保たれるのでしょう。
今日に日刊工業新聞によれば(日経は何故か報じていない)、ようやく、内閣府はバブル経済の発生と崩壊と言う実証研究に、政策の教訓として着手するそうです。「失われた時代」に対する反省の論文をようやく作るのです。アメリカはこのような事態が生じるとペコラ委員会に代表されるように、直ぐに検証しその成果を政策に反映させます。そうして大犯罪を犯した実行人物に実刑判決を下すのです。日本とえらい違いですね。
良く考えて下さい。この失われた時代により自殺者は何万人増えたのか?いわば、政策実行者は自分の手は汚していませんが、間接的な殺人実行犯です。私が日銀の澄田や三重野を批判するのはここに原点があります。内閣府は既に彼らが高齢になりほとぼりが冷めたから研究に着手するのでしょう。情けない日本人気質ですね。脇道にそれましたが、アメリカ経済の行方がポイント2です。

実は一般的に報道はされていませんが、中国は軍備を巨大化させており、しかも先端技術を取り込んでいます。先頃、アメリカの空母に魚雷の射程距離内まで中国の潜水艦が近づいたと報じられていました。スクリュー音が小さく探知できなかったようです。由々しき事態です。既に覇権国家の道を中国は歩んでいるのですね。元の自由化に絡み米中関係が重要な問題となります。この時期は北京オリンピックか上海万博の辺りでしょう。中国経済問題がポイント3です。
一方、日本経済は絶好調の経済環境を迎えつつあります。建設機械などの需要は減速しそうですが、高水準を維持しています。世界的な需要に支えられ、設備投資までは好調ですね。今年は設備投資から消費に、景気循環が上手く移行するかがポイントでしょう。国内景気の焦点は輸出と設備投資と消費ですが、消費動向が一番のポイントです。ポイント4です。
一番、難しいのは日銀の金融政策ですね。市場の理解を得ずに金利を上げると景気の一時的な後退があります。マネーサプライなどの指標は利上げ環境にないのです。しかし経済の正常化と言う意味では必要な処置で、双日がMSCBを選択し正常化を急いだ為に株価が急落した現象と日銀のジレンマは似ています。何れ正常化するんだから、急がなくても…と思うのです。中国の「元の自由化」の少し前に、金利を正常な状態に戻せば良いのです。この辺りは政策担当者の腕次第です。
もう一つが安倍政権の政策ですね。中小企業金融公庫の次期総裁に帝人の安居さんを招き官僚社会主義派に一矢を報いました。ヤラレ続きの改革派は何処まで巻き返せるか?
さて、このような外部環境の中で株式相場を考えるわけです。スペースがなくなってきましたね。おそらく昨年末の急騰の流れを調整し高値保ち合い(たかねもちあい)のあと、新高値を試す力強い上昇相場を想定します。銘柄選別を考えると最初は昨年の流れですが(2月中ごろまでかな?)、その後は新興株式の方に、歩があるのでしょう。(何しろ安値だから…)特に楽天―4755の活躍には興味をそそられます。まだ買っていませんが…買ってみたい気がします。しかし問題はチャート波動ですね。今年は余裕がないので目先銘柄を手掛けようと思っています。
実は昨日は一目から見てみましたが…日立メディコ―6910やダントー―5337などのPBR1倍以下のM&Aが候補に挙がったけれど触手は沸きません。M&A株投資など、所詮は、負け組み投資だからね。まぁ、しいて考えればメディコは日立にとって必要な会社かな?売るべきですね。僕が経営者なら売ります。そうして医療関連部門から撤退します。クラリオンは賛成です。もっと力があるうちに自動車部門を強化すべきですね。デンソウなど大物の買収を考えれば良い。まぁ、デンソウは無理だけれど…
既に騰落レシオからは調整局面入りなので、目先的に買いから入るのは難しいように感じます。しかし来週はソフトバンク―9984が、唯一の関心銘柄かな? ここは重い位置ですからね。先週来、買いに入っていた大口の買い筋が継続的に買うかどうか…かなりの株を買わないとこの位置は抜けない。しかし需給などの観点からみると、勝負をしても勝てそうですが…業績面との見合いをどう考えるか? 難しいね。
株式投資を勝てる勝負だけするなら、もっと簡単な局面で相場に参加すれば良いのです。勝てる勝負だけ参加すれば、確実に儲かるでしょう。新しい新春銘柄などを出せなくてごめんなさいね。今年一番の期待の星は、やはりベンチャーリンク―9609でしょう。2月に決算発表しますが、カーブスの黒字化や七つの習慣などは上がりの段階(数が増えれば利益が増す)。新規分野の伸びが予想され(夢がある)、目先は兎も角、業績面からの不安が消える期になります。故に新高値を狙える場面が来ると思っています。まぁ、目先じゃないからね。この話は…。かたる投資の真髄はのんびり投資だから…現物で慌てずに下がれば買うのみ。だから皆には退屈なのでしょう。
全体予想を加味したので長くなったけれど…僕の考えには裏付けがあるのです。いちいち例を挙げて統計数字を引っ張れば、レポートを書くのに、かなり時間が掛かるからね。本職なら、いざ知らず…本当のレポートをのぞむなら、かなりのお金が必要かな? 人件費だけで数億円必要でしょう。