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コラム

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二面性(2006年09月18日)

ある新聞で「これで、やっと正常な姿に戻ることができる。郵政という組織に手を突っ込まれ、ガタガタにされた僕らの気持ちがわかりますか」と竹中氏の退陣の感想を、ある郵政官僚が洩らしていました。僕らの思いはこんなもんじゃないでしょう。証券界は1989年のより人員が4割も減り、インターネット化の洗礼を受け、既得権勢力はかなりの損害を被りました。私の社員時代の大手4社の地位はすごいものだったのですが、現在は、かなり低下し混沌とした状況が続いています。

同時に65歳以上の年齢の人たちが20%を突破したといいます。年金生活者が増え、日本の国に活力が欠け始めています。その埋め合わせにIT技術を使った作業効率を促進せねばなりませんが、その壁になっているのが既得権力者の壁です。彼の強引なやり方は好きではなかったですが、あれくらいにしないと日本と言う国は変わらないのかも知れないと思っております。私は株屋ですから、株式を通して日本と言う国を見つめ、株が上がる為には何が必要かを訴えているわけですが、上場企業の社長連中の株価意識の低さは嘆かわしい限りです。株価は自然に成り立っていると思っているのでしょう。

最近、新興企業の上場予備軍の若い社長連中に東京にいるせいか時々会い、話し合う機会がありますが、株価に対する責任感が非常に希薄ですね。上場するということは、社会に対する責任が生じるということですが、なかなか、この点を証券会社は経営者に伝えてないようです。上場すると創業者利益が得られるだとか…資金調達が出来るだとか…宣伝され企業イメージのアップに結び付き取引が円滑になり、従業員も集まりやすくなるだとか…いいことしか言いませんからね。

社会の公器になれば、経営者のスキャンダルが原因で株価が大きく売られ、社会的な信用はあっという間に失われ、倒産の危機に陥るような例を示しませんね。物事は表裏一体で、光と影の部分があります。植草さんは3度目の逮捕とか…有名人になったが故の凋落でしょうか…上場企業と同じような面がありますね。そうそう、最近は酒酔い運転に対する世間の目は厳しく、田舎で生活をする人たちの生活の不便さを思うと…大変ですね。まぁ、田舎の人は警察の検問もありませんから、自主判断になるのでしょうが…それにしても社会の寛容さが失われている現実を思うと何故か心が寂しくなります。

こう書くとお前は酒酔い運転の擁護派か…とか、飛躍した馬鹿なことを言う人が居ますが、田舎の生活を体験した事がないから、そんなことを言えるのでしょう。タクシーもない田舎暮らしで、どうやってコミュニケーションを維持できるのでしょう。そう言う僕も、昔は飲み会が嫌いでしたが…何か、ギスギスした社会に流れは向かっているようで、きっと、公平から公正への流れの中では社会に厳しさが生まれるのですね。効率化社会が果たしていいのか? 株屋ですから、疑問の余地などない筈なのに…株屋らしくもない。この程度の効率化の中でこんな疑問を感じるなんて…

不思議な事に、私の心の中には二面性が存在するようです。株価を考えると、もっと効率的な経済をと願って日々の更新をしていますが、一方では、社会にゆとりがなくなっている現実があります。警察官に自転車の赤信号を咎められると、お前、馬鹿じゃないの? こんな誰も通らない信号機を守って…と毒づきたくなりますが…だいたい、交通量の少ない交差点まで信号機を設置した非効率な社会があるわけで…その信号を守ろうとする警察官の職務は立派だともいえますが…こんな事を指導する暇があったら、重大犯罪の検挙率を上げろと文句を言う自分は何処か間違っているか…

c20060918a.gif何を言いたいのか…この境界線は難しいですね。全てケース・バイ・ケースです。冒頭の役人の嘆きは甘えです。IMFの出資比率はある意味で、世界の中での日本の地位を示しているともいえますが、残念ながら敗戦国の外交の成果は現れていませんね。国連の負担割合も似たようなものでしょう。それなのに、国連決議の権利は…常任理事国にもなれない。役人は職務を全うしているのでしょうか? それとも、現状に甘えているのでしょう?