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変動率は人気なのか?(2006年08月13日)
株式投資には色んなパターンがあり、ボラティリティーの高い銘柄を好む種族もいれば、リスクを嫌い、安全性を求める種族もいます。しかし多くの投資家には、その区別も付かない人が大勢いるのかもしれませんね。その為にチャート分析があります。過去、数年の動きを調べ、自分の投資する株式の変動率を見ながら、最大リスクを念頭に入れ、投資するかどうか決めれば良い。例えばソフトバンクは昨年の5月に1230円を付け(分割修正価格)5220円まで行き、先日、1894円まで売られ、現在は2380円です。常に売買代金第一位を誇る大商いを演じ人気株ですが、大きな変動の為にリスクも孕んでいます。(424%上昇後、63%下落し現在は25%の上昇です。)
一方、トヨタ自動車は昨年3800円を付け、そこから6950円まで行きます。その後、全体の調整と相まって、5430円まで売られ現在は6260円です。(82%上昇、21%下落後、15%上昇)両社を比較すれば誰でもトヨタ自動車の方が財務内容も確かで確りしている会社だと考えるでしょう。しかし何故、日々の売買代金はソフトバンクに軍配が上がるのでしょうか? 人気が歴然と違うのですね。その人気の一つを支えるのがボラティリティー(株価変動率)なのでしょう。上下に激しく動くのは、鞘が抜ける可能性が高くなります。反面リスクも孕んでいるのです。
日経平均株価を見ると、6月2日のあとの7月4日に15710円を付け7月18日に14437円に下落し、現在は15565円と戻り歩調ですが、未だに7月4日の高値を抜けていませんが、トヨタは、既に4日の6070円を抜き、6260円に位置しているわけです。一方、ソフトバンクの7月4日の高値は2765円ですから、未だにはるか上に位置しています。つまり、人気株のわりに戻りは遅く、株価が遅れているとも取れるし、内容が悪い為に市場はその程度の評価してないと判断しているのかもしれません。
ここ数ヶ月はトヨタに歩があったのですね。下の比較チャートを見てください。ソフトバンクの決算数字は分かりにくいのですが、ボーダフォンの買収だけの利益で、一株辺り67円の利益が上乗せされます。(ボーダフォンの第一四半期を4倍しソフトバンクの発行株式総数で割る)そうして、先日、試算したKDDIの利益1860億円とNTTドコモの利益4880億円の合わせた数字の1/3を確保できれば212円の一株利益になります。アナリストの立場からすれば、既にかなりの評価を与えている事になります。

KDDIはPER16.9倍、NTTドコモは16.4倍の水準です。仮にソフトバンクが、ナンバー・ポータビリティー制度の覇権を勝ち取っても、212円の17倍として3604円前後が、現時点では株価の限界なのでしょうね。一株利益67円の17倍の1139円のボーダフォン利益とソフトバンクの持ち株評価の1332円を加えた2471円辺りが、現在の妥当株価と推測され、今後の展開次第で3600円を目指す可能性があると考えた次第です。奇妙な現象ですが、私の最大目標値が現在のトヨタの比較株価位置にあたります。偶然なのかな?
かなりソフトバンクに肩入れした見方ですが、日経平均株価が上がる為には、トヨタなどの国際優良株だけでは限界があります。やはり大きく崩れた個人好みの株式の戻りがないと市場は活性化しません。そう考えると個人投資家の人気株が上がり市場に勢いを付ける。そういうシナリオを描き始めたのです。果たして皆さんはどう考え、どう行動するのでしょうか?