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コラム

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かたる銘柄の双日について…(2006年04月30日)

今日はかたる銘柄の双日について大きな変化がありましたから考えてみました。優先株の一括消却です。双日はMSCBを3000億円発行しこの償却に充てるといいます。これで不確定要素がなくなり普通の会社になりますね。業績はすこぶる好調に推移し計画を上回りました。今期の予想も実に堅い見込みのように見えました。例えばその一端が窺えるのは資源関連も経常利益見通しを減額している事にあります。281億円の実績が今期予想では228億円と53億円も減っています。おそらく今期の490億円の最終利益はかなり角度が高いのでしょう。

多くの株主が懸念するのがMSCBの転換により売り圧力が掛かる点だろうと思いますが、月間300億円を限度とする売却は4285万株(700円で計算)になります。一日の出来高が500万株程度では消化は難しいでしょうが、1000万株程度なら簡単に償却できますね。営業日数が20日間として5%が基準と考えています。一体、誰が買うのでしょうか? 引き受けは、全額を前回(600億円)、実績がある野村證券が引き受けました。この際に野村證券はIR説明会の海外キャンペーンを催し、受け皿対策として外国人投資家を主体に販売しました。

前回はまだ不確定要素が強く残りましたが、今回は確実なリストラと実績が背景にあり、一括償却で財務リスクが軽減されますから、国内投資家にも販売できますね。その為に、おそらく双日は復配を実行するのでしょう。野村證券の力はすごいのです。近年は投資銀行のような業務をこなし始め収益を上げています。昨日の日経を見れば一目瞭然です。野村の利益は3043億円に対し、ネット証券4社合計で608億円です。過去の蓄積が開花する時代になりました。推測するに3000億円を捌ける裏付けがあるのでしょう。何も3043億円を稼ぐブランドリスクを犯してまで、双日のMSCBを受ける理由がないからです。分かりますよね。この意味は…前回は消化過程で株価は200円程度上がっていますね。

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かたるの予想も株価は上昇すると思っています。しかし…当初のかたるの予定が今回の処置により覆りました。故に普通の株となった双日に対する興味は大きく落ち込んだのです。この違いを簡単に説明すればオリコと日本信販(UFJニコス)の違いでしょう。両社ともかたる銘柄として取り組んできた株ですが、両社の決定的な違いは資本政策にありました。再建を急ぐあまりオリコは発行株式数を増やし、UFJニコスはあまり増やさなかったですね。両社の株価の推移を見ていただければ分かります。

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双日に対する大きな株価への夢は今回の処置で消える事になります。しかし双日の会社はまともな普通の会社になるのです。故に機関投資家が積極的にファンドに入れる事になるのでしょう。だから株価は上がるのでしょうね。プロである野村證券が自社ブランドを賭けて臨む仕事ですからね。株主の皆さんにも喜ばれるでしょう。…が、夢を追い求めるかたる銘柄から卒業する事になりますね。この程度の解説で良いですかね?既に業績を読んでもあまり意味がないのです。

しかし商社の株価ポジションが大きく変わる可能性があります。多くの市場参加者は資源価格に依存する商社の収益構造は一時的な利益で継続性がないとPERでは判断していますが、世界戦略を考えると商社株の居所が大きく変わる可能性があるのです。何故なら、アメリカの都合により資源価格の操作が実行されているからです。一つは戦後復興に入ったイラクへの投資を確実に回収する為に、資源価格を高値で維持する必要があります。もう一つは安全保障のバランス問題です。イラクのみならず、イランの核問題が話題になっていますが、この影で中国は軍事費を増やし野心的な行為を抱いている可能性があります。その為に日本が国防費を増やす必要があるのですが、僅か3兆円の移転費で、もめているのが現状です。しかしよく考えて下さい。公務員の不正受給の年金に対し税金が16兆円も投入されるのです。(昨日の読売新聞に掲載)呆れるマスコミ報道です。何故、日米安全保障費の必要性を説く報道がなされないのでしょうか?

GDPの高成長を毎年続けるには中国は多くの課題を残しています。ソロソロ限界ですね。重慶の公害問題など環境問題のみならず、資源の投下回収コストが見合わなくなっています。つまり中国の軍事費を削るために資源価格など引き上げるのが世界戦略として求められているのです。この意味は分かりますね。エネルギーや食料に対する可処分所得は先進国の方がはるかに楽なのです。故に中国経済は減速するまで資源価格の高値は維持されるのでしょう。

長く続くなら商社のPER評価は大きく上がる可能性があります。誰が仕掛けるか?危険な果実をとりに行く投資家が存在するか?分かりませんが…市場の総意が低いのです。ありえるシナリオです。株で儲けるには、常に「少数派の論理」が儲けられる和泉なのです。分かりますかね?双日は「大勢派の論理」が安全の会社に傾きます。50万円のみずほが100万円を付けたようなものです。しかしかたるは、あの時点でみずほに興味を失っていましたからね。同じことが双日にもいえます。おそらく株価はこれから上がるでしょうが、既に興味はないのです。

120円の利益なら希薄化により60円で、PER14倍なので840円程度が妥当株価なのでしょう。