思わぬ相場の真実が発見できる

コラム

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青い鳥症候群(2005年07月10日)

♪毎日、毎日、僕らは鉄板の…♪と言う歌があったけれど…それと同じように、よく続くものだと感心します。多くの読者の方は、たぶん20歳の後半から40歳くらいまででしょうから、今日はその人達へのメッセージを書こうかと考えています。実は僕自身が転職組みなので、その気持ちが良く分かるのです。

当初、かたるは小さな証券会社に就職しました。馬鹿だったのです。どの会社が業界で一番か? など、全然考えたこともありませんでした。自分の生きている行動範囲の中で一番の証券会社が、かたるの地元の証券会社だったのです。初めて野村證券が一番だと気付いたのが、入社して1年目だったのです。辞めて野村に行こうと思ったのですが、当時の上司だったFさんに止められました。

当時は証券界の事は良く知らずに仕事も分かりません。社内研修も無いような会社ですから、簡単な勉強会があって証券外務員の資格試験を受け、株の知識は新聞だけが頼りの有様です。分からないことは上司に聞くのです。僕は恵まれていました。本店第一営業部の配属で、株式部長から直接、株のイロハを学んだのです。彼の株式の腕はこの業界でもかなりのものでしょう。株で家を建てた伝説の儲け頭の一人でしたからね。相場を当てて儲けたのです。仕組みの利益じゃないですよ。彼は水晶振動子が普及する時に、日本電波工業への投資で大儲けしたのです。株価は10倍程度になったそうです。当時はネジ巻き時計でしたからね。その後、上司の転勤と共に柏崎に転勤になり、営業の現場を渡り歩いたのです。

しかし、やはり捨てがたかったのです。やるからにはトップを見てみたいのです。だから野村證券に研修にやらせて欲しいと言ったのですが、系列が違うし…仕方なく親会社の一番出来る店が、当時は新宿支店で、その店へ3日間の研修に行かせて貰います。そこで歩合セールスのKさんに巡り合い、歩合セールスに憧れてこの世界に入りました。なんと、それから6年も待ったのです。当時、歩合セールスの資格は社員経験を10年間積まねばなりませんでした。あとは本に書いてあるとおりです。

多くの人は仕事に対する姿勢が、いい加減なのでしょう。どの世界でもエキスパートはすごい実力です。伊藤園の本間さんは車のセールスをしていたそうですが、すごい実績なのですね。たしか300台程度だったかな?…数字は忘れましたが天文学的なセールスだったのです。一ヶ月だけでも、車を10台も売ったことのあるセールスは何人居るのでしょう。僕らの世界では、たぶん数億円と言うレベルでしょう。今は手数料システムも変わり金融庁の検査もありますから、適正レベルがあるのしょうが…かたるの場合は、まだもう少し上があるわけですね。

山本五十六の言葉を思い返して下さい。
「やってみせ,言ってきかせて,させてみせ,ほめてやらねば,人は動かじ。」良い言葉です。上に立つべき人間はこうでなくては、部下は付いてこないでしょう。先ず「率先垂範」があるのですね。そうして理論を学んで、その理論を後進に伝え、実際に手助けをして相談に乗る。そうして批判ではなく、良い面を見つけ褒めるのです。子育ての基本ですね。子供を叱っては駄目なのです。褒めるのですね。そうやって温かく見守るのです。

人生の基本姿勢。それは自分が出来ないことを他人に押し付けてはなりません。出来なければ一緒になって頑張る姿勢が必要なのでしょう。一所懸命に頑張る姿が相手に伝わるのでしょう。私は「青い鳥症候群」と言う言葉を使っていますが、自分にとって理想の環境を追い求め、無駄な時間を費やすより、今、与えられた環境が最良なんだ。これが自分の使命なんだ、運命だと思い、最善を尽くすのです。この観念がないから、もっと良い職場を求め、折角、積み上げたキャリアを捨てて冒険をするのですね。自分自身の実力も省みないで…

結婚も同じようなものでしょう。昔は全く知らない同士が結婚し、子供を作り、家庭を築いたのです。幸せとは追い求めるものではなく、自らが育てるものじゃないのかな?早い話は、相手は誰でも良いのです。そりゃ、暴力を振るうような馬鹿は駄目ですが、普通のレベルならそれで良いのです。人間は与えられた環境に順応する能力がありますからね。簡単に離婚したりする人が増えましたね。社会環境に恵まれているから離婚できるのでしょう。我慢を楽しむ「心のゆとり」があれば、大概の不満は克服できます。

不満の多くは驕りです。自分を過大評価しているのです。歩合セールスの多くは、社員時代は、みなエリートでした。大手証券で自分が店を支えてきたと自負する人物ばかりです。多くは支店長経験者や中には役員クラスまで居ます。しかし自分自身の足で食えるようになるのは至難の業なのです。歩合で5年、10年喰えれば、どの世界でも通用するでしょう。出てみて初めて看板に支えられていたと気付くのでしょう。一度、底辺から自分を見つめてみれば良い。そうすれば、自分の置かれた環境が如何に素晴らしいか分かるでしょう。

与えられた環境を自ら作るのは大変ですね。親元を離れ自立も出来ないで、何を、理想を言っているのか?会社に守られて、会社のお荷物なのに転職?馬鹿じゃないのかな?与えられた責務も果たさずに自己主張ばかりする。先ず社会の責任を果たすのです。簡単なことから始めれば良いのです。選挙には必ずいく。ゴミをその辺に捨てない。タバコの投げ捨てもしない。社会のルールも守れない奴が青い鳥症候群に陥るのです。自分を生かす道は他にある。あるわけが無い。だって簡単なことが出来ないんだもの。

約束したなら実行しなくてはなりません。出来ないのなら約束をすべきではないのです。出来ることからやれば良い。簡単なことを目標に一歩一歩、歩めば良いのです。求める前に与えるのです。自分に出来ることを、精一杯、相手にぶつければ良い。相場の世界も同じ精神です。一所懸命に考え、それを実行に移し、敗れたら反省し、次回に役立たせる。多くの場合、また同じ失敗をします。この試行錯誤の試練が、訓練がやがて人を育てるのでしょう。今ある環境のなかで精一杯、背伸びをすれば良い。その世界の天井が見えたら、次のステップを考えれば良いのでしょう。転職なんかトップになったら考えれば良いのです。 『かたるクラブ』で「相場の考え方、見方かな?」を今日は書く予定です。