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初心を振り返る(2005年03月20日)
今日は地下鉄サリンの事件が10年前に発生した日だと言います。あれから10年です。この年はかたるにとって印象深い年でした。年初の1月17日に阪神大震災が起こり、不動建設が一大人気になります。しかし業績に裏付けのない株式は、やがて売られるのが宿命です。このブームも一時的で、また何時ものダラダラ下げていく相場に逆戻りです。まだ時間が掛かるな。と思ったかたるは証券界を去る決心をしたのです。そうして、お世話になった大物の歩合外務員のKさんに挨拶に行きました。
Kさんはすまなそうに、自分自身が500万円の手数料を上げるのがやっとの有様で、月収200万円、これが生活していく最低限度の死守ラインと言っていました。その頃の僕の収入は見るも無残です。この年の収入が340万円です。子供二人を抱え喰えない生活の為に転職を決意するのですが…Kさんは「サラリーマンに戻るのはいつでも出来るよ。しかしこの世界に戻って来れないよ。今は何も出来ないが、都庁の展望台でも行って眺めてこいよ。」と言われました。
都庁に上から眺める景色は、大都会、東京のすごさでした。見渡す限りビルや家があるのです。一所懸命に頑張ったつもりでも、回っている部分はごく僅か…ほんの一角なのですね。それを見て思いました。あと3年頑張ろう。お金がなくなったかたるはそれから借金生活を始めます。
再開を決意したかたるの年収は、その翌年の1996年は247万円、1997年は120万円、1998年も120万円でした。この極貧生活の中、子供は進学していきます。何とかしなければ…やがて転職も難しい年齢になり、自分で何とかしなければならなくなりました。1997年の暮れに一台のパソコンを買い始めます。恥かしい話しですが、このパソコンを買うときにコジマ電気のローンの決済が下りなかったのです。信用力もないくらいの極貧生活です。
これからはインターネットの時代になる。だからこの世界の知識を得る為にウェブ技術を身につけようと始めたのがこのページの始まりです。そうしてホームページを公開したのが1998年の春です。
この年の春は大変でした。どうしてもお金がなくなり、母の住んでいる土地を担保に銀行でお金を借りる為に、事業計画を練るのです。IRNETの始まりです。当時、IRと言う言葉は一般的でありませんでした。だいたい、企業にIR室など存在してないのです。
そんな中、IRの重要性を上場企業に説きながら、IRNETの構想を固め、銀行からの融資を得る為に当時の企業担当者から広告料を貰う活動を始めたのです。有名な30社を回りました。ソニーやJR東、東芝、武田…良い感触を受け、ようやく銀行の融資担当者から新規事業融資を受けられる事になります。しかし1000万円の予定が半分に減らされ500万しか融資が下りませんでした。この中で感じたことがあります。仕組み経済の壁です。当時、既に日経新聞社が官僚などと組みIR協議会と言う組織があったのです。
IR協議会と一緒にネットのIR活動をやろうとしますが、担当者段階ではOKなのに、上に持っていくと却下になるのです。
金融界は保守的です。新しいものを嫌いのでしょう。東証にも、日本証券業協会も日本アナリスト協会にも案件を持ち込みましたが、何れも壁が厚かったのです。こんな馬鹿な…民間企業の3割は乗り気なのです。なのに…これでは証券界の明日はない。呆れるばかりです。1998年中は頑張るつもりだったのです。あの時誓った3年が過ぎるまでは証券マンとして頑張る為に…しかし相場の目処は立ちません。だから、自分自身の力で喰う為の新規事業の準備としてIRNETの前身である「株式市場 日本を考える」ページを平行してスタートさせていました。
そうこうする内に、株が上り始めました。なんとか翌年の1999年には年収は1757万円になるのです。ようやく報われる。相場が立ち上がったんだ。切っ掛けは大蔵省の不祥事、例のノーパンしゃぶしゃぶ事件です。1995年から相次いで信用組合などが倒産します。東京協和、安全信用など
なんと事態が悪化しているのに、当時の大蔵省はMOF担からの接待を受け遊んでいたのです。末端の証券セールスマンは苦労して苦労して生活をして明日を信じて戦っているのに…親方はノーパンしゃぶしゃぶで遊んでいる。何故、何年も株式が下げ続け、末端の国民が塗炭の苦しみを味わっているのに、日本は変わらないのか?私が官僚批判をし、フジテレビの体制を批判する理由をお分かり頂けると思います。GDPが何年も横這いなのは異常なのです。これを異常だと認識しないマスコミ、政治家、官僚が異常な感覚なのでしょう。成熟社会のアメリカ経済が成長しているのに…わが国日本は…
マスコミはライブドアとフジテレビの経営権の戦いの報道ばかりしていますが、その陰に隠れた大切な部分を報道していません。何故、今回の騒動が起こったか?これは必然的に発生したのです。それを堀江氏批判ばかりしている。フジテレビは明らかに変身を嫌う体制派です。マスコミ連中は変身を嫌う保守派ばかり…自分達が食えるから感じないのです。大銀行が倒産の憂き目にある現実を直視しないマスコミの体質は変わらなければなりません。
私は年収120万円の生活を2年間も耐えてきました。サラ金地獄の絵模様は経験したものでなければ分からないでしょう。何故、株が上らないか?何年も何年もかけて考え、自分の力量不足を嘆き、土曜、日曜にTACに通い証券アナリストの資格を得ても何にもならなかった。最後に行き着いた先は改革しかないのです。日本自体が変わるしか方法がないのです。だから毎日小さな努力を続けているのです。
明日の日本を夢見て、未来かたるは頑張りたいと思っております。