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無知の恐怖、第一夜(2005年01月16日)
前回は進入禁止のエリアに足を踏み入れ警報が鳴り、警備員が英語で喚きながら追い返されて、仕方なしに、英語で問い合わせる覚悟を決めてデルタ航空に向かった場面でしたね。そうして幸運にも荷物を発見した所まででしたね。
心の中で「ラッキー」と叫んだのです。かみさんに不甲斐無い場面を見せずに済みましたからね。なにしろ「英語は出来ないけれど日常会話など何とかなるよ」と例の株屋気質で大言壮語を吐いてきたのですから…さて、タクシー乗り場です。この例題は会話ブックに載っていました。近くの警備員に「タクシー乗り場は何処?」って聞いたのです。思惑通り、彼の反応は指差して応えてくれます。ここで重要な事は、両手の空いている警備員に尋ねないと、指差しで応えてくれない恐れがありますからね。何しろ英語は分からないのです。身振り手振りだけが頼りですから…
タクシーは並んで待っていました。采配人のような無駄な人間が居るのですね。まぁ、これは日本にも居るかな?日本のタクシーと違い親切ですね。運転手が出てきて、荷物をトランクに入れてくれます。日本ではこのサービスをしない運転手はたくさん居ます。トランクの鍵を開けるだけで、後は自分でやれと言ってる人がね。さてアメリカらしく高速道路は無料のようで片側6車線の良い道路です。問題は料金です。乗る時に運転手は案内板を指差し何やら言ったのですが…OKか?と聞いたので、OKだよ。応えたのですが…運転手はメーターを倒さないで走り出したのです。メーターはあるのですよ。にも拘らず…
そこで案内板をみると、どうも料金らしき表示が書いてあります。空港とダウンタウンは一人20ドルらしいのです。その下に二人になると13ドル、三人になると10ドルとか表示されてありますね。この解釈が難しい。一人目は20ドルでその後2人までは13ドルなのかな?つまり20+13=33ドルなのだろうか?それとも13*2=26ドルなのか?三人になると20+13+10=43ドルになるのか10*3=30ドルなのか?何しろ次の場面での会話ブックは「Keep the change」としか書いてないのです。「How much?」と聞くのは、一度OKと応えているのに、格好悪いし…
タクシーはリッツ・カールトンに着きました。実はリッツ・カールトンはアトランタには二つあり、運転手に聞かれたのです。これは想定していた会話なので運転手に聞かれても「ダウンタウン」と、かみさんに自慢げに直ぐに応えられたのです。迷いに迷った僕は20ドル紙幣を二枚渡し、例の用意した会話を使いました。「釣りは良いよ」って…運転手が非常に喜んだのです。彼の反応を見て顔は笑顔ですが、僕の心は泣いています。失敗した。あの表示は二人の場合は13ドルづつと言う意味なんだな。そう言えば「each person」と書いてあったな。ポケットには10ドル紙幣もあったのです。運転手は喜ぶ筈だよね。彼にとってアホの日本人は幸運の女神に見えたことでしょう。しかし大雑把な国ですよね。ダウンタウンと言っても広いだろうに。。。日本なら新宿から中央区までだと6000円はとられますね。いくらアトランタが狭いといっても…日本と比べ料金は安いようです。20分ほど、かなりのスピードで走ったのです。
チェックインは予約リストを見せ、デポジットを払って難なく通過です。荷物を運んでくれたポーターにも5ドルは多いかな?と思いながら払ったのです。彼はご機嫌でした。やはり2ドルぐらいで良かったようです。人間は進化するのですね。相手の反応を見て育つのです。株と同じですね。株の値動きを見て行動する心理と似ています。あれ?このホテルは三流だな。と思いました。歯ブラシもスリッパもないのです。あれれ?トイレもウォシュレット機能がついてないのです。リッツは良いホテルだと思ったのに。。。
何やらメイドがノックしています。出てみると…と言ってもさっぱり分かりません。「アイスがいるか?」と聞いているようですね。頷くと彼女はアイスを入れて持ってきてくれました。ポケットを探り、今度は2ドル、そこで僕は「スリッパと歯ブラシはあるか?」と日本語で聞いたのです。勿論、身振りを交えて…スリッパは通じないようですが、身振りを交えた歯ブラシは分かったようです。「toothbrush?」と聞いてきましたから…そうだティースと言うんだな。彼女の反応は…指でついて来いと言うのです。
仕方なしに、廊下を彼女の後についてテクテク歩いてゆくと、プライベートルームに入り彼女はゴミ箱を漁っているのです。彼女は得意そうに歯ブラシの箱を僕にくれて、もう一つ探しています。ありました。二本の歯ブラシが手に入ったのです。よく見ると、そのゴミ箱に袋入りのスリッパがあったので、これも頂戴と言って、手に持ったら彼女は「良いよ」って言います。もう一つないかな?と、ゴミ箱を探しましたが見当たりません。そこで彼女に「もう一つない?」って聞いたのですが、彼女は首を振るばかりです。仕方ない一つあれば良いか。。。彼女に5ドルあげたら喜んでいましたね。ゴミ箱漁りと言っても、客が使わなかった新品のものですから…

しばらくすると、またドアをノックするのです。手にスリッパを持っています。彼女には1ドルにしました。そう何回も何回も違う人間が来て、何やら言われるのは嫌ですからね。このホテルの料金は300ドルの部屋なのです。どうせ寝るだけで翌朝には直ぐに飛行機に乗るだけなので安い部屋にしたのです。しかしオプションが付いていて…年末なのでディナーが一人100ドル追加すると食べられるのです。これは出発前に日本語で予約していたのです。年末を海外のホテルでかみさんと二人だけの夜を過ごす。
年末でディナーパーティーとなっていましたから、かみさんは黒のドレスを買って行きました。…結婚して初めて見るドレス姿です。背中が大きく開いているのです。何やら、おっぱいに着けています。良く見るとトイレが詰まった時に、スッポンスッポンするあの形をしています。こんなブラジャーもあるのか、驚きましたね。…流石、馬子にも衣装と言いますから…僕も面倒くさいけれど、タキシードは持ってなかったので背広に着替え食事へ…会話ブックと電子辞書は大の友達です。ポチ君行くよ。流石に犬でなく物ですからワンとは吠えません。
お決まりのシャンパンを貰い、どれか選ぶコースのようです。既に何種類か書かれています。メインは定番のステーキにしました。しかし、まいるのです。量が多いしあまり美味しくありません。外人はでかいですからね。おそらく僕らの2倍は食べているでしょう。もったいない話です。ほとんどの料理を食べずに残すのですから…事前に決められているコース料理のせいか会話はあまり必要ありませんでした。せいぜいグラスを傾けて「May I have another one?]と言うぐらいです。いよいよ精算です。周りの外人を見るとサインをするのですがチップは置いてないようです。おかしいな?いらないのかな?兎も角、部屋番号とサインをして部屋に戻りました。(実はこの行動はおかしかったと、後で気付かされます。)
酒が入ったせいか、飛行機疲れからか、部屋に戻ると直ぐにダウンです。眠ってしまいました。夕食は7時の予約でしたから9時ごろから寝たのでしょう。目が覚め外を見ると、ゾロゾロ人間の集団が歩いています。時計を見ると12時15分前です。かみさんを起こし、僕らも急いで着替えて、街に出てみました。周りは黒人が多くでかいのです。1メートル80センチなんてもんじゃないですね。1メートル90センチぐらいあるのでしょう。プロレスラーがわんさか歩いているのです。多少、恐怖感があります。アトランタはキング牧師の町ですからね。
かみさんは「帰ろうよ」と言いますが、「もう少し歩こう」と言って、コカコーラのカンバンの前まで歩いていたら、大空に花火が上りました。12時を超えたのです。新しい年の幕開けです。テレビのNYで見かける光景ですね。互いに抱き合って何やら言っています。口々に何やら叫ぶ外人が大勢居ます。いや僕らが外人か…車のクラクションは鳴りっぱなしです。明日の朝の飛行機が早いので、花火が終わったら帰り始めました。暗い夜道は恐いですね。しかし新年と言うこともあり、至るところにポリスマンが立っています。こうしてアメリカでの第一夜は過ぎて行きました。
明日は10時のフライトです。上手く飛行機に乗れるかな?また恐怖の空港が待っています。